新政酒造 日本酒 新政

昭和5年、摂氏10度以下という極低温でも発酵が進む新酵母が新政のもろみから、採取されました。これが「きょうかい6号酵母」です。この酵母の登場によって雪深い東北の寒冷地でも安定した高級酒作りが可能となりました。この伝統を生かして、6号酵母を用いた天然由来の製法に取り組んでいます。

現状の日本酒はほとんどが、醸造用乳酸という既製品の酸味料を添加して作られる「速醸酒母」という製法をもとに造られております。しかし新政酒造では2013~14年以降、既成の酸味料に決別し、2014~2015年には培養乳酸菌を使用した酒母を用いることをやめました。伝統的にして高度な技術を要する「生酛系」酒母の価値を再認識していただくための啓蒙活動もおこなっています。

地域性を尊ぶため、すべて地元秋田の素材のみを使用して作られています。新政 純米吟醸 瑠璃では、「美山錦」のみが用いられています。

酒税法では、、使用しても表示義務がない酒質矯正剤や発酵補助剤があります。例えば、速醸酒母や補酸に用いられる「醸造用酸類」、あるいは「除酸剤」、麹の代替として使われる「酵素剤」、発酵助剤である「無機塩類」・「ビタミン類」などです。これらは安全醸造のため用いられるので、使用してもラベル表示義務を逃れています。新政酒造では酵素剤やミネラル類など、最終製品に残存する可能性ある添加物についても酒に使用していません。

新政の特徴といえる舌の上のチリチリした酸味があります。天然由来の乳酸菌で醸造しているので、培養酵母や酸味料より本来の酸味が強く出てしまいます。残り香は木桶の香りを感じますので、ほのかに苦みがあります。

酸味が苦手な方は、少しビン熟成させると和らいだという口コミがありました。

余韻は少なめなので、何杯でも飲めてしまいます。江戸時代に日本で確立した「生酛造り」という高度な技術で作られています。大変手間がかかり、繊細な味になるのでガツンとしたものが好きな方には少し物足りないかもしれません。

時間が経てば少し風味を増すため、開栓から風味の変化を楽しむことができそうです。

今や全国的な人気になった新政酒造の作品は、販売されたとたんに売り切れてしまうこともあるようです。飲食店でも限定品として提供しているところが多いようですから、お目にかかったらぜひ飲んでみたいですね。

透き通ったい色はまるで白ワインのようです。ワイングラスに注いで色を楽しみながら味わう方も多いようです。今までワイン派だった方の中にこのお酒から日本酒を好きになったという方もいるようです。

爽やかさを感じる洋ナシの香りとじゅわーっと広がる果実ような甘さが特徴的です。柔らかさとシャープさという、2つの相反した要素が同時に楽しめそうです。

フレッシュさや繊細さが魅力である酒については、特に酸化に気を使う必要があります。開栓前後にかかわりなく冷蔵庫で保管し、開栓後はすみやかに飲みきることをおすすめします。このため新政酒造では酒質管理の観点からほとんどの酒を四合瓶で提供しています。ワインやシャンパンを思わせるようなデザインのボトルでSNS映えが期待できそうです。

代表取締役社長の佐藤祐輔さんは、異色の経歴を持つ蔵元当主です。東京大学文学部を卒業後、東京でジャーナリストの仕事に就かれました。2007年、経営立て直しのためにご実家である蔵に戻りました。30代で社長になった祐輔さんは、次々と蔵の改革を進めていき、現在も本来の日本酒の姿を求めて、様々な取り組みを続けていらっしゃいます。そんな若き社長を応援したいというファンも多いようです。

新政酒造の代表商品として、新政酒造 純米酒 瑠璃と新政酒造 純米吟醸酒 No.6があります。この2つの商品には大きな違いがあります。どこが違うのか見ていきましょう。大きく違う点は「火入れ」の有無にあります。

日本酒は麹菌のアルコール発酵によってできた「醪（もろみ）」を搾って作られています。搾った後の日本酒の中にも酵素が残っており、酒の中でアルコール発酵が進みます。瓶に詰めた後で変化が進まないように加熱処理を行い、品質を安定化させる処理が「火入れ」です。新政酒造 純米酒 瑠璃は火入れされていますが、新政酒造 純米吟醸酒 No.6は火入れされていない生酒です。

この商品は、6号酵母の魅力をダイレクトに表現することを目的に醸造されています。本来、無殺菌で酵素も失活されていない日本酒の生酒は、6度以下でしか品質を維持できないので、温暖期における出荷は避けられてきました。しかし新政酒造 純米吟醸酒 No.6は、蔵内でのマイナス5度以下の貯蔵管理体制により、鮮度の高い生酒、それも大変珍しい生酛純米の生酒を、通年でお届けすることを可能にしています。

ふくよかさとキレを兼ね備えた新政酒造 純米吟醸酒 No.6ですが、生酒であるため要冷蔵商品であることに注意して、検討する商品の中に加えてもよいかもしれません。貴重な商品であるため値段は新政酒造 純米酒 瑠璃の倍程度となっていますので、予算も合わせて検討するのが良いでしょう。

新政酒造の純米酒「colors」シリーズには、新政酒造 純米酒 瑠璃のほかにボトムラインとして新政酒造 純米酒 生成があります。この2点は、火入れを行っているという点では共通です。どこが違うのか見ていきましょう。大きく違うのは、原産米の種類です。新政酒造 純米酒 瑠璃は東北を代表する酒米である「美山錦」を使用してしますが、新政酒造 純米酒 希成は秋田生まれの酒米「酒こまち」を使用しています。

こちらの商品は、「亀の尾」や「五百万石」をもとに2001年に育成された新しい酒米を使用しています。秋田酒こまちは、大粒で麹が作りやすいことが特徴です。たんぱく質が少なく、でんぷん質が消化しやすい性質のため、上質な甘みになりやすいと言われています。

秋田米を使用している点では共通していますが、秋田酒こまちの甘みやフルーティーさが強く出ていると言えます。ラベルが美しく、コスパがいいので、初めての方にはこちらもおすすめです。

新政 純米酒 瑠璃について、商品概要、説明書、おすすめポイント、口コミ・レビュー・評価、他製品との比較をまとめました。

地元の素材を用いて手間暇かけて伝統的な製法で醸造される新政酒造。若き社長の伝統への敬意と先駆的な取り組みがますますファンを増やしそうです。

日本酒離れが進んでいますが、繊細な味わいとすっきりした後味により初心者や女性にもお勧めできそうです。ビジュアルの美しさや贈答に買いやすい4合瓶であることから、贈り物や持ち寄りパーティーで喜ばれることでしょう。SNSでも人気のようですので、若者の日本酒への興味に一役買ってくれそうです。

今回ご紹介した新政酒造純米酒瑠璃は、天然由来の乳酸菌を用いているため特に開栓直後は微発泡を感じます。酸味が苦手な方は購入前に飲食店などで試してみるとよいでしょう。また、これからの時期は贈答品として大変人気なので、購入を検討されているなら早めに決断することをおすすめします。