石川県の日本酒おすすめ10選！選び方のポイントや人気の酒蔵もご紹介！

日本酒は、その土地と水が大きく反映されるため、土地によって味の特徴も異なります。土地による味の違いを楽しむのも、日本酒の楽しみのひとつです。石川県にも美味しい地酒、有名な銘柄が様々あります。

北陸は寒冷な気候と白山・立山の雪解け水、そして豊かな土壌と日本酒づくりに最適な条件が揃っています。伝統の技を引き継ぐ「杜氏（とうじ）」によって味わいが変わるのですが、日本を代表する杜氏集団を有しているのが石川県です。

石川の日本酒にはどんな特徴があるのでしょうか。この記事では、ご自宅でも楽しめる美味しい石川の日本酒を紹介していきます。お呼ばれした際の手土産にも最適ですので、ぜひご覧ください。

原材料や精米歩合などの様々な基準に則って造られた日本酒のことを「特定名称酒」と呼ぶのですが、石川県の日本酒はこの特定名称酒の割合が非常に高いです。つまり、高品質な日本酒が多くあるということです。

石川県には、寒冷な気候と日本三名山のひとつに数えられる霊峰白山から流れる地下水脈、酒米「五百万石」の産地と、酒を生む好条件が揃っています。全国的に知名度の高い酒蔵や日本酒が多いのが特徴です。

日本酒の酒造り技能集団の統率者を「杜氏（とうじ）」、他の人々を「蔵人（くらびと）」と呼びます。能登杜氏は日本四大杜氏に数えられ、その伝統文化を守ってきました。

全国には30近い杜氏集団が存在し、その中でも岩手県の南部杜氏・新潟県の越後杜氏・兵庫県の但馬杜氏・石川県の能登杜氏が日本四大杜氏と呼ばれています。それぞれに酒造りの伝統技術や酒の個性があり、能登の酒は「濃厚で華やか」と評されます。

能登杜氏は元禄時代頃から始まった伝統的な能登流酒造りに最新の技術を加えながら発展し、全国の品評会でもその優秀さを何度も証明して、全国的に能登杜氏の名声を高めていきました。

能登杜氏には能登流の酒造りを極めた四天王と呼ばれる4名の杜氏がいます。それぞれのこだわりがつまった最高峰の日本酒をぜひ飲み比べてみてください。

2008年に黄綬褒章を受賞、「日本酒の神様」とも称されるのが農口尚彦氏です。杜氏一家に生まれ育ち、50年以上もの杜氏生活で、全国新酒鑑評会では金賞を連続12回、通算27回も受賞しています。

鹿野所蔵を代表する常きげんは、名水｢白水の井戸｣と自社の田んぼで作った酒米で作った日本酒で、その名には酒造りに大切な思いを受け継ぐ人を育てるという思いが込められています。

創業文政六年（1823年）の老舗蔵元である車多酒造の顧問杜氏・中三郎氏は、1956年より杜氏として日本酒造りに従事した功績を讃えられ、2011年に黄綬褒章を受賞しました。中氏は「麹の味が酒の味を決める」と言います。山廃仕込で2.3度と高めの酸度のある天狗舞は、ふくよかな味わいで酸が後味を締めてくれます。

富山県・桝田酒造の三盃幸一氏は、父も祖父も杜氏というまさに杜氏のサラブレッドでした。若手の頃より蔵元の良き右腕として手腕を大いに発揮し、鑑評会の金賞受賞の常連組となりました。

能登杜氏の造る酒は、味が濃くしっかりしているのが特徴ですが、満寿泉も厚みのある味とどっしりとした香りが評価を得ています。

静岡県・土井酒造場の杜氏であった波瀬正吉氏は、平成15年～21年の全国新酒鑑評会において、7年連続金賞受賞という快挙に大いに貢献してきました。豊富な経験と技術、静岡県の地酒の評価を高めた功績により、平成19年には静岡県優秀技能者功労表彰を受賞しています。開運は、辛口のキレのよい力強い男酒、存在感のある個性的な味が魅力の日本酒です。

石川県には有名な酒蔵がたくさんあり、酒蔵見学ができる蔵もあります。実際に足を運んで日本酒の作り方を学んだり、買って試してみたりするのもおすすめです。

菊姫は杜氏がもつ優れた技術や勘を徹底的に分析・データ化し、五感に頼らない合理的な日本酒づくりをしています。「精米を他所に頼むようなら、酒造りを止めろ」という家訓に基づき、最上質の原料米の吟味、買い付け、そして蔵の設備まで徹底しています。

全国清酒鑑評会で通算24回の金賞を受賞した定評のある蔵元で、雑味のない透明感ある味わいの北陸地区限定酒「菊姫吟醸」がおすすめです。

天正十一年（1583年）、創始者「神谷内屋 仁右衛門（かみやちや じんうえもん）」が、殿様専用の酒造りをするために、前田利家公のお供として尾張の国から移住してきたのが始まりという、非常に歴史の長い蔵です。

その後「谷内屋（やちや）」の屋号として、加賀の国の「加賀」・おめでたい「鶴」をつけ「加賀鶴」の酒銘を殿様より拝受しました。特別純米酒「前田利家公」は、そんな蔵の成り立ちを記念し造られました。まろやかな口当たりで酒米の旨味を楽しめるお酒です。

文政2年（1819年）に創業し、歴史深い加賀の地で酒造りの道を歩んできました。平安時代後期には七つの荘園があり豊穣の地として栄え、ある年の大豊作を村人たちと祝う席で、4代目当主が「八重菊や酒もほどよし常きげん」と一句詠んだことにちなんで「常きげん」という酒銘が生まれました。

酒造りは「人、米、水へのこだわり」という基本を受け継ぎ、米は自家栽培にこだわり、人を育て、鹿野酒造の酒造りに欠かせない「白水の井戸」を守り続けています。

能登杜氏の農口直彦氏の技術を次世代に継承することを目的に作られた酒蔵です。農口氏は50年以上も数値データを取り続け、感覚に頼らない科学的アプローチをとっています。また、最新機器を導入し若手蔵人とともに理想の酒を追求。

野口氏は「のどごしのキレ」を一番大事にし、「その味を決めるのは麹造り」と言います。また、お客さんの喜ぶ顔が一番とする野口氏の意を受け、蔵人が直接お酒を説明してくれるテイスティングルームも設けられています。

福光屋は、寛永二年（1625年）創業の金沢で最も長い歴史と伝統を誇る酒蔵です。手造りの酒にこだわり、酵母や麹の微妙な変化を、五感で感じ取りながら酒を造ります。口に含んだときに旨さが十分にふくらみ、あと味がサラッと心地よく消えていく「旨くて、軽い」酒を追求しています。米の旨みを存分に生かす純米造りだからこそ実現できる酒質です。

「日本文化の粋である日本酒を、食文化とともに世界に発信」を基本方針のひとつとし、海外にも積極的に輸出しています。車多酒造がこだわるのは、効率化に頼らず「手造りということ」です。

天狗舞は多くの日本酒が山廃仕込で造られ、七代当主の車多壽郎と杜氏の中三郎氏が天狗舞流の山廃仕込を確立しました。味わい豊かでキレの良い日本酒を求め続け、毎年改良を重ねています。

石川県には特定名称酒が多いがひとつの特徴ですが、特定名称酒は大きく分けると吟醸酒・純米酒・本醸造酒に分けられます。同じ銘柄でもこの種類が違うと大きく味が異なります。

純米酒は、米・米麹・水だけで造られた日本酒で、醸造アルコールが添加されておらずお米だけを原料にしているため、米本来の旨味・コク・お米のふくよかさが感じられます。純米酒は米の美味しさを引き出すように造られているので、濃醇な味が特徴ですが、最近ではコクのあるタイプから軽くすっきりしたソフトなタイプまで、さまざまな純米酒があります。

吟醸酒は、フレッシュで華やかな香りと繊細な味わいを特徴とする日本酒で、純米酒とは異なり、醸造アルコールを使用しています。リンゴやバナナのようなくだものを思わせる独特のフルーティーな芳香が特徴です。

大吟醸との違いは、米の精米具合です。銀米酒は、米を4割以上（精米歩合60％以下に）削った白米を原料に用い、低温で長期間発酵させる吟醸造りで造られます。米を5割以上（精米歩合50％以下に）削ったものは「大吟醸酒」と呼ばれます。

米の外側を3割以上（精米歩合70％以下）に削った白米を原料に用いて造るのが、本醸造酒です。4割以上（精米歩合60％以下）に削った白米を用いる「特別本醸造酒」もあります。醸造アルコールの添加量は、使用する米の重量10％までと決められており、本醸造酒のすっきりとした味わいを出してくれます。米の旨味を生かしながら、すっきりとした辛口が特徴です。

たくさん種類のある日本酒、どうやって選べば良いのか迷ってしまいますよね。日本酒を選ぶときにどこに着目すれば良いのか、ポイントを解説します。

甘口か辛口かを知りたいときは、日本酒度を参考にしましょう。日本酒度とは、お酒の中にどれだけ糖分が入っているかを数値化したものです。

酸度、アミノ酸度、アルコール度数などでも味の感じ方が変わってくるので、参考程度として捉えてください。

山廃仕込は、米を櫂棒（かいぼう）で磨りつぶす「山卸」という作業を廃止して仕込んだ酛（もと）を使って造る製法のことです。通常よりも2倍～3倍もの日数がかかる製法ですが、山吹色でコシの強いコクと鋭いキレ味が生まれます。

鹿野酒造の「山廃大吟醸」や、車多酒造の「天狗舞」などがこの製法で造られています。さっぱりしているので、お肉との相性も抜群です。

酒米に適したお米は、「タンパク質が多く脂質が少ないこと」「粒が大きい」「粒の中心・心白が大きい」という明確な条件があります。コシヒカリもような、食べて美味しいお米が日本酒にしても美味しいというわけではありません。

石川などの北陸地方で栽培が盛んな酒米は「五百万石」で、大粒で日本酒造りに適したお米です。淡麗でスッキリとしたキレの良い味わいになります。

石川県には、今回紹介しきれなかった美味しい日本酒がまだまだあります。能登の新鮮なお刺身とペアリングして地酒を楽しむのも最高です。能登杜氏の技術が受け継がれた蔵のお酒は、一度は試してほしい日本酒と言えます。酒蔵にはネットでは買えない商品もあるので、ぜひ実際に足を運んでみたいものです。