放射線測定器おすすめ11選｜ガイガーカウンターも【正しい使い方は？】

放射線測定器は、2011年の福島第一原子力発電所の事故以来、密かに需要が高まっています。小さい子どもの遊び場である公園や、店先で一目惚れして購入した中古車など、あなたも身の回りのものの放射線量を測定したいと思ったときはありませんか？

ところが、放射線測定器は業務用に作られたものがほとんどで、家電量販店での取り扱いは少なく、通販での購入が主流です。しかし、実物を見ずに購入したり、製品を選ぶ基準や使い方がわからなかったりすれば、購入に抵抗が生じますよね。

そこで、この記事では放射線測定器とはどういうものなのか、選び方・基本的な使い方などを解説しています。ガイガーカウンターなどおすすめの放射線測定器も紹介しているので、最後まで読んで自分にあった放射線測定器を購入してください。

放射線測定器とは、その名のとおり放射線を測る測定器です。しかし、放射線は目に見えず、「人体に悪影響を及ぼすもの」あるいは「正体不明の怖いもの」と感じている方も少なくありません。実は、放射線にも種類があり、そのうちのどれを測定するかで測定器の機種も変わります。

放射線の主な種類とは、アルファ線・ベータ線・ガンマ線などがあります。この中で、特に透過力が高く、体への影響力が多いのがガンマ線です。一般的な放射線測定器は、このガンマ線を測ります。

放射線測定器は、「放射線が原子の近くを通ったときに、電子がイオン化して飛び出してくる現象」を利用します。飛び出してきた電子を測れば、どのくらいの線量なのかわかります。ただし、そのままでは放射線の種類を区別できません。

そこで、「透過力の高いガンマ線はさまざまな物を突き抜けるが、ベータ線は薄いアルミ板で止まる性質」を利用します。ベータ線を排除して、ガンマ線の線量を計測するわけです。なお、アルファ線は飛ぶ距離が5センチと短く、透過力も弱いため、紙1枚でも簡単に止まります。

放射線測定器全般に関する肯定的な口コミは、以下のような内容です。（個別の製品に対する評価は後ほど触れます。）

• 必需品ですし、一家に1台は当然、1人1台にしてもいいかとも思っています。 値段格差がありバージョンに気を付ける必要があるようですが、ネットの安いところで購入し問題なく作動しています。
• 緊急持ち出しサバイバルグッズの1つとして購入しました。色んな所で計測しましたが、特に問題ありません。
• 本機を選択するにあたっては、「国内メーカー」かつ、シンチレーション式なのが決め手となりました。

共通しているのは、福島第一原発事故の影響を心配されている方からのコメントが多く見られる点です。放射線の怖さを感じているのが窺えます。また、何を購入するかの選択にあたっては、大手メーカーであるのを重視しています。

一方、以下のような否定的な口コミも寄せられています。

• こんな安っぽいモノで 本当に異常を知らせてくれるのか？と疑問符が付きますね。
• ユーザーが知りたいのは、総合的な環境だと思いますので、数段階のレベルで表示してくれるとより使い易い。
• 放射線量の測定は結構大雑把な感じで、0.05よりも小さいと0.05で、9.99以上だと、9.99までしか表示されないので、細かな値や大きな数値が出た場合は、いったいどのくらいなのかははっきりは分かりません。これに頼っていいのかちょっと疑問。

放射線被ばくは生命にかかわるだけに、放射線測定器にはシビアなレビュー記事が見られます。手軽さや扱い易さよりも、精度や機能性を重視しています。

ガイガーカウンターと呼ばれるものは、正確には「GM検出方式を採用した機器」を指します。GMとは「ガイガーミュラー計数管」（上部の画像）です。GMは、ガンマ線の検出には精度が低く向きませんが、アルファ線とベータ線が計測できるのがメリットです。

「ガイガーミュラー計数管」にはハロゲンガスなどが封入され、そこに放射線が入ると反応して電流が流れる仕組みになっています。ただし、電流の強さと放射線のエネルギーは比例関係にならないため、放射線がどのくらいのエネルギーを持っているかまではわかりません。

シンチレーション検出器は、ガンマ線を検出できます。内部のシンチレータ（放射線により発光する物質）は放射線が当たると蛍光発光するもので、それを増幅したうえで電流に変換して計測する検出器です。この方式には、入ってきた放射線のエネルギー量が分かるメリットがあります。

ちなみに、シンチレータにはいくつか種類があり、どれを使っているのかで検出できる放射線が異なります。たとえば、ガンマ線検出に使われるのはNaI（ヨウ化ナトリウム）やCsI（ヨウ化セシウム）などです。

Ge（ゲルマニウム）半導体やSi（シリコン）半導体など、半導体を使った検出器が半導体検出器です。通常半導体は電気を通しませんが、放射線に触れると電気を通すようになる性質があります。これを利用して、放射線を電気信号に変え検出します。

「個人線量計」とは、その人がどれくらい被ばくしているのかを測るための測定器です。本来、放射線を浴びる可能性のある職業の方用に開発された製品で、許容量以上の放射線を浴びていないか管理するものです。

コンパクトで持ち運びやすい形状になっており、男性は衣類の胸に、女性は腹部に装着して使用するのが一般的です。また、時計と一体化したタイプのものもあります。

測定方式は、測定値を直読できるアクティブ形と、測定後に読取装置にて指示値を読み取るパッシブ形の2種類があり、一般的にパッシブ形は測定に時間がかかります。長期にわたり常時装着し、定期的（1カ月毎）に指示値の読取が必要です。

家の周囲の放射線量を計測したいときなどは、空間線量計がおすすめです。その名のとおり、空間の放射線量を測れます。機体はやや大きめですが需要の高まりに応じて、最近ではポケットに入るような小型の機体も登場し、使いやすいものも多いです。

なお、放射線測定器ながら線量計の機能も搭載されている機種もあります。双方の計測を希望される方は、この機種の選択をおすすめします。

測定の精度は非常に重要ですが、実は、精度の把握方法は簡単ではありません。精度を上げるためには、検出器の大きさや密度が関係するからです。たとえばGM管タイプなら、ハロゲンガスなどが封入された管が大きいほど検出しやすくなり、シンチレーションや半導体なら、それぞれの検出器の密度が高いほど精度が上がります。

検出器の大きさを見るだけで精度がわかるわけでもありません。電気信号に変換して電流を計測するタイプでは変換機能も精度に関わります。また、値段が高くても検出器の大きさや密度は必ずしも大きくなりません。

結局は、検出器の大きさや密度を確認しつつ、地道にレビューや口コミ情報もチェックしていくのが、最も堅実な選定方法です。

放射能測定器は、安いものでは5,000円を切るものから、高いものでは10万円超えまで価格帯もさまざまです。また、対応放射線の種類・精度・測定範囲などによって価格が違ってくるため、用途にあった製品を選ぶ必要があります。

CPMとはカウントパーミニッツを意味し、1分間に検出器に当たった放射線の数を示します。なお、CPMは放射性物質の存在量を検出器で表す値であり、人体への影響の程度と直接対応はできません。また、放射線の種類も特定できません。

シーベルトは、「Sv」と表記され、人が受ける被ばく線量の単位です。放射線を受ける側、すなわち人体に対して用いられ、1時間でどのくらい被ばくしたか、その影響の大きさを示します。一般的にシーベルトは毎時が普通ですが、毎秒や毎年を指す場合もあるので気をつけましょう。

なお、マイクロシーベルトは1シーベルトの100万分の1、ミリシーベルトは1シーベルトの1000分の1です。ちなみに、2000ミリシーベルトで20人に1人が死に至るといわれ、7シーベルトになると、すべての人が死に至るほどの強さとされています。

ベクレルは放射能の単位で、放射線を出す側に着目したものです。土・食品・水道水などに含まれる放射性物質の量を表すときに使われ、ベクレルで表した数値が大きいほど、そこからたくさんの放射線が出ているのを意味します。

ただし、一般向けの放射線測定器では、食品等に含まれる放射線の測定はできません。企業や大学の研究室で扱っているような大型の精度が高いものでないと、これらの測定は不可能です。直接人体に取り込まれる食品だけに、この点はぜひ覚えておいてください。

「放射性崩壊」と呼ばれる現象があります。これは、放射性物質が放射線を出して、他の安定した原子核に変化する現象です。つまり、放射線が観測されるのは、この現象が起きているのを意味します。

ところが、放射性崩壊はランダムに起こるため、同じ場所で同じ数値が出るわけではありません。 そのため、放射線を測定するなら、1回だけでなく数回測ってその平均を求める必要があります。なお、空間線量を測定する際は、地面から100cm離しての測定が基本です。

また、放射線測定器を使い続けるためには、機器の正確さを確認する「校正」と呼ばれる作業が必要になります。有料ではありますが、年に1回は行いましょう。

「GMタイプ」を使用する際は、以下の手順で測定しましょう。

1. まず事前に、バッテリー容量や電圧をチェックしましょう。
2. 測定器の時定数を3秒にセットし、3cm/秒程度の速度で測定器の検出部を移動させ、針が大きく振れる場所を探します。
3. 針が大きく振れる場所付近では、時定数を10秒とし、1cm/秒程度のゆっくりとした速度で検出部を移動させ、放射性物質が多く付着している場所を特定して、安定したときの値を記録します。
4. ピーク値を示す場所は1カ所とは限らないので、周囲にもピーク値を示す場所がないか、慎重に探します。

なお、測定の際は、検出部が測定対象に触れないよう気をつけましょう。

一方、「シンチレーション」タイプは、の測定方法は以下の手順となります。

1. まず事前に、バッテリー容量や電圧をチェックしましょう。
2. 測定器を地表から1mの高さの位置で地表面に水平にします。その上で、表示更新の時間（10秒）毎にあわせてゆっくりとした速度で歩き、指示が大きく変化する場所を探します。
3. 指示が大きく変化する場所付近では、60秒毎にさらにゆっくりとした速度で歩いて、最も高い値を記録します。
4. その場所を石灰等でマークするとともに、地表から1mの高さの空間線量率を測定し、記録します。

なお、高い数値示す場所は、マーキング地点を写真や絵で記録するなど、除染後に効果を確認できるよう、測定場所が正確に再現できるようにしておきましょう。

法令において個人線量計は、以下の部位への装着が定められています。

• 1つは男性または妊娠する可能性のないと診断された女性は胸部、その他の女性は腹部に装着します。
• もう1つは、頭部・頚部、胸部・上腕部および腹部・大腿部のうち、最も多く放射線に曝されるおそれのある部位に装着します。

地域によっては、自治体が住人を対象に放射線測定器を貸出を行っている場合もあります。ほとんどの自治体は無料で貸出をしていますが、予約方法や貸出期間は自治体ごとに異なるので、詳しくはお住まいの地域のWEBサイトをご確認ください。

放射線測定器にはさまざまな製品がありますが、なかには、アプリと連帯して数値が確認できる製品があります。たとえば中性子線量計 「BDKN-01,02 」は「Atexch」というアプリを通してパソコンから計測数値を確認でき、他にもさまざまな検出モジュール・サーベイメーターと接続できます。

 日本は、広島・長崎の悲惨な記憶を受け継ぐ唯一の核兵器被爆国であり、目に見えない放射線の怖さを最も理解している国でもあります。そして、2011.3.11には原発事故が起こりました。如何に放射線を可視化するか、放射線測定器の需要の高まりはその表れです。

健やかな生活を送るためにも、放射線測定器を活用しましょう。