常温でおいしいビール12選|ドイツではポピュラー？美味しく飲むコツも詳しく解説

一般的にビールと言えば、冷蔵庫でキンキンに冷やして一気に流し込むイメージや、グラスもキンキンに冷やしておく日本人にとって、常温のビールは想像しがたく、抵抗があるかもしれません。

しかしドイツのようにビールは常温で飲むのがポピュラーな国や地域もあります。世界には、冷たく冷えているより常温のほうが美味しいビールがたくさん存在していて、さらに美味しく飲む温度や飲み方もあります。

ここでは、「冷えたビールが美味しい」の常識を覆す、ぬるいビールの魅力を解説していきます。日本人にとって馴染みのない常温のビールですが、この記事を読んで、世界のビールの魅力を知り、是非味わってみてください。

冷えたビールは美味しいですが、冷やし過ぎてしまうとビールの本来の味や風味を劣化させ、かえって美味しくなくなります。

長時間冷やし続けると、タンパク質が凝固して風味が損なわれ、さらに麦成分が白く濁ったり泡立ちが悪くなったりします。口の中が冷やされ麻痺状態になると、本来の甘味や酸味などの旨味や薫りを感じにくくもなります。

ラガービールはきりっとした飲み口で日本では親しまれている種類です。下面発酵と呼ばれる、中世以降に始まった発酵方法で作られています。５度前後の低温で7～10日前後で発酵する製法で、世界的主流になっています。

低温なため、雑菌が繁殖しにくいメリットがあり、一定の品質が保たれるため、大量生産に向いています。

エールビールは古くから伝統がある造り方です。酵母が麦汁の表面に浮き上がっていく、上面発酵と呼ばれる製法です。常温～やや高めの温度で、3～4日間発酵させます。

ラガーよりも高温で発酵期間が短く、芳醇な香りを楽しめるビールです。歴史が古く、涼しい気候の土地や国ではこの上面発酵による製法が主流な国も多くあります。

ラガー系ビールの味は淡麗辛口と言われています。スッキリした爽やかな飲み心地で、かつ、雑味のないクリアな味わいです。いわゆるビールの魅力の一つであるホップの苦みもしっかり感じられます。

マイルドな口当たりのためビール初心者の方でも飲みやすく、またどんな料理にも合うところががラガービールの魅力です。

エール系ビールの大きな魅力と言えば、個性的な香りです。上面発酵によって果物の香り成分が多く生じます。そのため麦芽やホップはもちろん、種類によってはリンゴやバナナなどの芳醇な香りを漂わせているものもあります。

濃厚な口当たりもエールの特徴です。深い味わいや香りを楽しみたい方はエールビールがおすすめです。

ビールの種類によって、美味しく味わえる適正温度があります。ラガービールは冷蔵庫から出してすぐの5℃から9℃、しっかり冷えている状態が最適です。

反対に、エールビールはキンキンに冷えた状態から少し温度が上がった7℃～10℃が、豊かな香りと風味を楽しめる適正温度です。エールビールは温度変化とともに甘味や旨味が増していくのも魅力です。

エールビールにもいくつか種類があります。「ペールエール」と呼ばれる種類は、淡い色にホップやモルトの香りが豊かなのが特徴です。

「IPA(インディア・ペールエール)」と呼ばれる種類では、通常のペールエールよりもホップの香りと苦みが強い特徴を持っています。さらに焙煎された香り高い黒ビールの「スタウト」や、小麦の麦芽を使った白ビールの「ヴァイツェン」もあります。

エールビールはキンキンに冷やして飲むと香りが半減してしまうため、13℃くらいが最もおいしく味わえる温度と言われています。飲む前に少し冷蔵庫に入れておくのがおすすめです。

具体的には、夏場だと冷蔵庫で1～2時間、室温が20℃の場合は冷蔵庫で1時間強、室温が10℃の冬場などは冷蔵庫で5分くらい冷やすのがベストです。

常温のエールビールを、日本の夏の気温下で飲むのはあまりおすすめできません。イギリスなどは、夏でも気温が20度ほどまでしか上がりません。しかし日本のように30～40度にもなると、常温保存のままでは温まってしまい風味が損なわれます。

日本でエールビールの本来の味わいを楽しむためには、気温が下がって室温が8～13度ほどになる秋から冬にかけて味わうのがおすすめです。

エールビールの魅力である芳醇な香りをよりいっそう楽しむために、グラスに注いで飲むのをおすすめします。

グラスに注いで飲むと、缶特有の匂いや飲み心地を感じず、本来の華やかな香りを存分に楽しめます。エールビールを常温で飲んだ経験がない方は、是非グラスに移してみてください。

ビールを温めて飲むホットビールは、本場のドイツやベルギーなどで一般的に飲まれています。

ホットビールはコクがあってフルーティーなエールビールにおすすめです。ショウガやナツメグなどのスパイスやドライフルーツ、砂糖やはちみつを加えるのがポピュラーな飲み方です。50～70度くらいでゆっくり味わって、芳醇な香りを楽しみます。

日本ではあまり馴染みのない常温で飲むビールですが、寒冷地帯の国では一般的なスタイルです。ラガービールを冷蔵庫でキンキンに冷やして一気に飲むのも美味しいですが、エールビールのように常温のままホップの風味や苦味、甘味を味わうのもまた楽しいです。華やかな味わいのエールビールを、秋や冬の冷える時期に是非常温で飲んでみてください。