Wi-FiのAとGの違いは？｜ゲーム・スマホにはどっちがいいの？

Wi-Fiルーターを設置してパソコンやスマホを接続しようとすると、2種類の接続先が表示されることがあります。どちらもほとんど同じ名称なので、どちらに接続すればいいのかわからない方は多いのではないでしょうか。

2種類の接続先「G」と「A」は、それぞれ異なる周波数帯と通信規格を持ちます。どちらに接続してもインターネットは使用できますが、周波数帯の違いにより適した接続環境や端末などが異なり、接続先を使い分けることで快適にネットを使用できるようになります。

そこで今回は、Wi-Fiルーターに接続する際に現れる2種類の接続先「G」と「A」の違い・特徴・どっちが早い(速い)のか・どのような場面でどちらを使用すればいいのかなどを解説します。

Gは壁や障害物に強く、遠くまで電波を飛ばせます。そのため、Wi-Fiルーターから多少距離が離れている場所でも接続しやすい点が特徴です。一部の格安スマホではAに対応していないモデルもありますが、Gであればどのモデルでも接続可能です。

一方で、Gは電話機や電子レンジなど電波を発する他の機器や、Bluetoothと同じ周波数帯を使用しています。そのため、これらの機器からの干渉を受けやすく、通信速度が低下したり通信そのものが切断されやすいデメリットもあります。

AはGよりも通信速度が早く、他の機器による干渉を受けにくい特徴があります。干渉が少ないので通信速度の低下や切断が起こりにくく、安定した高速通信が可能です。

しかし、壁や障害物に弱く、壁を隔てた場所で接続した場合や、Wi-Fiルーターから離れた場所での接続では電波が弱くなる可能性があります。また、Aはすべての機器で対応しているわけではなく、Aに接続できない機器も多くあります。

Gの通信規格は、11g・11b・11n・11axの4種類です。このうち11nと11axが最も通信速度が速いですが、古い機器では対応していない場合があるため、使用する端末の対応状況によっては速度が上がらないことも考えられます。

Gで使用されている周波数帯は「2.4GHz」です。この周波数帯は障害物に強い特徴があり、広く普及されている周波数帯なので、Wi-Fi以外にも電子レンジなどの家電製品、電話機などの通信機器でも使用されています。

Aの通信規格は、11ac・11a・11n・11axの4種類です。このうち11nと11axはGと同じ通信速度ですが、Aの中で最も使用されているのは6.9Gbpsの11acです。11acと、最も速度が速い11axのいずれかに接続できれば、高速通信ができます。ただし11axは対応する機器がまだ少ないのが現状です。

Aの周波数帯は「5GHz」で、この周波数帯を使用する機器が少ないのがAの速度や接続が安定しやすい理由ですが、前述のように障害物に弱いため本来の速度を活かすにはWi-Fiルーターに近い場所での使用が求められます。

上記の比較表でもわかるように、GとAで共通して使用されている通信規格が11nと11axです。GとAには互換性はありませんが、11nと11axに対応したWi-Fiルーターや端末を使用していれば、GとAを切り替えて接続できます。対応端末を使えばGとAを切り替えて接続でき、より快適な接続環境が得られます。

また、11axは今後普及する通信規格なので、新しいWi-Fiルーターや端末を購入する際は11ax対応機器がおすすめです。

ここまで見てきたように、Gの特徴は壁などの障害物に強いことです。速度はAより遅くなりますが、そこまで極端に速度が遅くなるわけではないため、一般的なインターネット使用であればGに接続するのが基本です。

しかし、Gは電波干渉を起こしやすい弱点があります。同じ周波数帯を使用する家電製品や通信機器などがあると通信品質が落ちてしまうので、電波干渉の原因となる機器の近くにWi-Fiルーターを置かないように気をつけましょう。

複数の端末を同時に接続すると、通信速度が遅くなることがあります。同時接続数が多いときに速度を落とさないようにするには、高速通信ができるAに接続しましょう。元々の速度が速いため、複数端末を同時接続しても速度低下を防げます。

また、Gで起こることが多い電波干渉によって速度低下や通信の切断が起こった際も、Aに接続することで通信状況の改善が期待できますが、Wi-Fiルーターの場所が離れ過ぎていると本来の速度が出ないこともあります。

Aで使用する周波数帯は比較的新しく、古い端末やWi-Fiルーターには対応していないものがあるので使用できません。一方、Gは現在のWi-Fi接続前から存在する周波数帯で、古い端末やWi-Fiルーターでも対応しています。そのため、Aに非対応の古い端末でWi-Fiに接続する場合は、Gに接続する以外に方法はないといえます。

Aに接続する最大のメリットは、安定した高速通信が可能という点です。ネット上の映像や動画配信サービスなどは大量のデータの受信が必要なので、速度が遅かったり不安定だったりすると、視聴中に動画が止まることもあります。快適に動画を視聴するには、安定した高速通信が必要不可欠です。

このような理由から、速度が遅く複数端末の接続で速度が遅くなるGよりも、安定して高速通信ができるAの方が動画や映像の視聴には向いているというわけです。

自宅でWi-Fi接続をする場合、電波干渉によってGの電波が届きにくく十分な通信速度が得られないと感じたときは、対応機器であればAに切り替えするのも1つの方法です。干渉がなくなるので、快適にネットが使えます。しかしWi-Fiルーターと端末との間に障害物が多い場所は、ルーターの設置場所を工夫する必要があります。

また、高速通信が必要なパソコンはA、スマホはGに接続するなど、端末によって接続先を切り替えて使い分ける方法もあります。

ここまでの情報をまとめると、一般的なサイト閲覧など通常使用においては、Gに接続で問題ありません。Aに非対応の古い端末やWi-Fiルーターを使用する場合も、Gに接続します。反対に、動画配信サービスなどで動画を閲覧するなど大容量のデータをやり取りするときは、Aでの接続が適しています。

また、Gで複数端末で同時接続すると速度が落ちる可能性があるため、同時接続を行う際もAを利用するのがおすすめです。

GWは、Gと同じ2.4GHzの周波数帯を使用しています。そのため、Gと同様に障害物に強い特徴がありますが、電波干渉も多い方式です。GWは古い規格のためGより通信速度が劣り、さらに暗号化方式も古い「WEP」を使用しているためセキュリティ面でも劣っており、脆弱性も高まるためGよりも情報漏洩のリスクが高いといえます。

AとAWの違いは、GとGWの違いと同様に古い規格であるため、通信速度が遅くセキュリティ面でも古い方式を使用するため脆弱性が高いという点で共通しています。AとAWで使用する周波数帯はどちらも同じ5GHzなので、障害物には弱いですが電波干渉が少なく、高速通信が可能です。通信速度に関しては、AとAWは高速通信ができるとはいえ、両者を比較するとAWの方が遅くなります。

GWとAWは、どちらも古い規格なので通信速度が遅く、セキュリティ面でも問題があります。Wi-Fiのパスワードを解析されてしまうと、個人情報などが漏洩する可能性も考えられます。

最新のWi-FiルーターならGとAのみを使用しているものがほとんどですが、古い機種のWi-FiルーターにはGとA、GWとAW両方の電波が存在することがあるので注意が必要です。GWとAWがある場合でも、安全にネット接続をするためにもGとAいずれかを選択しましょう。

Wi-Fiルーターから発せられる電波は、360度方向に飛んでいます。しかし、Wi-Fiの電波は厚い壁などに弱いほか、水や金属に吸収されやすい特性があります。つまり、厚い壁越しでの接続に加えてWi-Fiルーターの周囲に水や金属がある場合も、電波が弱まる可能性があるのです。

Wi-Fiルーターは四方を囲まれた場所や花瓶や水槽、金属製の家具の近くなどを避け、見通しの良い建物の中心や高い場所に設置してみましょう。

特にGの周波数帯の2.4GHzは、電波干渉を受けやすい特徴があります。この周波数帯は、家庭内でよく使われる電子レンジやリモコン、インターホンでも使われているため、同じ周波数帯を使う電子機器と干渉し合うとWi-Fiの電波が弱くなってしまいます。

このようなケースでも、Wi-Fiルーターの設置場所を変えてみましょう。電波干渉を引き起こす可能性がある電子機器からWi-Fiルーターを遠ざける、または設置場所を移動するだけでも電波状況の改善が見込まれます。

中継機とは、Wi-Fiルーターの電波を受け取って送信する機器です。Wi-Fiの電波が弱い場所でも、中継機を接続する機器とWi-Fiルーターの間に設置することでWi-Fiの電波が届く範囲を広げてくれるため、電波の弱さを改善できます。

使用したい場所でWi-Fiがうまく接続できない、接続したい機器やWi-Fiルーターの設置場所を移動できないときは、中継機を使うと電波が届きやすくなります。

古い機種のWi-Fiルーターは規格も古いため、電波の状態が悪くなることがあります。接続するパソコンやスマホが最新機種だとしても、Wi-Fiルーターが古いままでは十分な速度が出ません。古いWi-Fiルーターを使っているのであれば、最新機種にするだけで電波状況の改善が見込めます。

また、セキュリティ規格は2～5年で新しい規格が登場します。古いWi-Fiルーターはセキュリティ規格も古いままなのでセキュリティ面でも不安が残るため、安全に使うためにもWi-Fiルーターは一定年数使用したら買い替えましょう。

スマホを使用する際にWi-Fiに接続するなら、一般的なサイト閲覧やSNSなどの通常使用程度であればGへ接続しても速度的に問題ありません。Gの方が障害物に強いので、Wi-Fiルーターを1階に設置していて、2階でスマホを使う場合でもスムーズに使えるのでおすすめです。

しかし、動画を視聴するときは通信が必要なゲームなど、スマホで重い作業をする際は、通信速度が速いAでの接続が適しています。

Switchなどのゲーム機、またはパソコンでゲームをする際、オンラインプレイなどでWi-Fiで通信を行うことも多いのではないでしょうか。ゲームは大容量のデータを送受信する必要があるため、通信速度が遅いGに接続すると途中で途切れることがあります。

快適にゲームを楽しむには、通信速度が速いAに接続するのをおすすめします。ただしAは障害物に弱いため、障害物の有無や間取りを考慮し、環境によっては中継機も併用してWi-Fiルーターを設置する必要があります。

通信速度の速いAにつなぎたいけれど、勝手にGに接続が切り替わってしまうことがあります。そんなときは、端末のGの接続設定を削除する方法があります。接続する端末の設定で、接続したいWi-FiルーターのGの名称の画面を開いて削除すれば、勝手につながるのを防止できます。

iPhoneで接続する場合は、Wi-Fiの設定画面のGの名称を開き、「自動接続」をオフにすれば設定を削除することなく自動接続しないように変えられます。

Wi-Fiの2種類の接続先はそれぞれ異なる特性があるので、使用端末や使用目的などによって適した接続先も異なります。Wi-Fiルーターの設置場所も接続品質に関わるので、Wi-Fiの接続先の違いを押さえて、快適にネットを使用しましょう。