Wi-Fi5とは？Wi-Fi6との違いやメリットも！

動画の視聴からオンライン会議に至るまで、昨今は趣味やビジネスを問わずインターネットが使われています。このように多面的な用途にインターネットを活用できるようになったのは、Wi-Fiのおかげといっても過言ではありません。

無線LANの一種であるWi-Fiには、「Wi-Fi5」や「Wi-Fi6」など通信規格が存在します。時代に合わせて使われる規格も変化するため、「それぞれどんな違いがあるの？」「今使われている規格は？」といった疑問をもつ方も少なくありません。

今回は、通信規格の中でも「Wi-Fi5」にスポットを当てて、その特徴やメリットを解説しましょう。Wi-Fi5について詳しく知りたい方であれば、ぜひ当記事を疑問の解消に役立ててください。

Wi-Fiは、日常生活で無意識に使用しているケースも多く「言葉の意味をよく知らない」といった方も少なくありません。まずはWi-Fiの基本情報を踏まえ、Wi-Fi5の概要やメリットについて解説をしましょう。

Wi-Fiとは、無線通信における規格（または方法）の1つです。パソコンやスマホなどのデバイスをインターネットに接続するには、ルーターと呼ばれる接続機器を仲介させる必要があります。このルーターに対して無線通信を行う方法を「無線LAN」と呼び、無線LANの1種としてWi-Fiが存在するのです。

昨今のノートパソコンやスマホ、ゲーム機にはWi-Fiが備わっているものが多く、無線で場所を選ばずにネット通信ができます。このWi-Fiの通信規格は、技術の進歩によって世代交代を繰り返し、それに応じて呼び名も変化する仕組みです。

たとえば、Wi-Fi6であれば「6代目の新しいWi-Fiの規格」になります。年々増加する通信量や接続デバイスに対応すべく、Wi-Fiをはじめとする通信規格は、世代交代を繰り返す必要があるのです。

• Wi-Fi5の周波数：5GHz帯
• Wi-Fi5の最大通信速度：約6.9Gbps
• Wi-Fi5の使用開始時期：2013年
• Wi-Fi5の旧名：IEEE 802.11ac

Wi-Fi5は、その名の通り「第5世代のWi-Fi規格」に該当します。主な特徴として、電波干渉に強い5GHz帯の周波数を使用するほか、最大6.9Gbpsの通信速度でインターネット通信が可能です。規格としては2013年に開始されましたが、2022年の現在でも使用されています。

このほか、Wi-Fi5には「使用開始時と名称が異なる」といった特徴があります。開始時のWi-Fi5は「IEEE 802.11ac」と呼ばれていたため、古いルーターやデバイスの対応規格にはWi-Fi5の表記が使われていないケースも少なくありません。

名称が変化した理由は、後述するWi-Fi6が登場したためです。古い名称のままだと規格の区別がしにくかったため、新規格が登場したタイミングに合わせて過去のWi-Fi規格が改名されました。

現代では、Wi-Fi5に次ぐ新規格として、Wi-Fi6が普及しつつあります。おおまかな違いとして、Wi-Fi5とWi-Fi6とでは、使用周波数や最大通信速度などの点が異なります。

• Wi-Fi6の周波数：2.4GHz帯・5GHz帯
• Wi-Fi6の最大通信速度：約9.6Gbps
• Wi-Fi6の使用開始時期：2019年
• Wi-Fi6の旧名：IEEE 802.11ax

Wi-Fi6は、Wi-Fi5よりも6年後に使われ始めた規格です。単一の周波数だけを使うWi-Fi5とは異なり、2.4GHz帯と5GHz帯の周波数を使い分ける違いがあります。

また、Wi-Fi6も開始された当初は、「IEEE 802.11ax」といった別の名称が使われていました。ユーザーに伝わりにくい名前だったため、業界団体（Wi-Fi Alliance）によってWi-Fi6に変更された経緯があります。

将来的にWi-Fi7やWi-Fi8などの新しいWi-Fi規格が登場する可能性もありますが、2022年の時点ではWi-Fi6が主流です。現在販売されているルーターのほとんどは、Wi-Fi6の規格に対応しています。

Wi-Fi6の主なメリットは、Wi-Fi5よりも通信速度や負担軽減など面で秀でている点です。このほか、電力消費の軽減やセキュリティ性の向上といったメリットもあります。

• 通信速度が格段に速くなる
• 端末を同時に接続しても負担が少ない
• 電力を抑制でき省エネに繋がる
• セキュリティが向上する

Wi-Fi6は、最大9.6Gbpsの高速通信を実現できます。これは、Wi-Fi5がもつ6.9Gbpsより1.4倍も速い数値です。通信速度が速くなれば、データの送受信などを高速で行いやすくなるほか、動画視聴やオンライン会議の際にも通信が途切れにくくなります。

• 2.4GHz帯：電波干渉が発生しやすい一方、障害物を避けて電波を飛ばしやすい
• 5GHz帯：障害物に阻まれやすいが、電波干渉を発生させにくい

おまけに、Wi-Fi6は2.4GHz帯と5GHz帯の周波数を使い分けられます。電波別の特徴は上記の通りですが、障害物に強い2.4GHz帯と電波干渉に強い5GHz帯を切り替え、高い安定性を保ったネット通信が可能です。

趣味やビジネスで快適にネット通信を行うには、Wi-Fi6のように安定した高速通信ができる規格が欠かせません。ただし、最大の通信速度はあくまで理論値になります。ルーターや使用回線によって、実測値は異なる点を留意しておきましょう。

使用するルーターによっても変化しますが、通信機器はデバイスを無制限に接続できません。スマホやゲーム機などを同時に繋げば、混雑によって通信の速度低下や不安定化が発生しやすくなります。Wi-Fi6は、Wi-Fi5と比べて同時接続の負担が抑え目です。

Wi-Fi5は、1度の通信でデバイス1つとしかデータを送受信できなかったのに対し、Wi-Fi6は複数のデバイスと同時に通信を行えます。テレビや冷蔵庫などさまざまな家電がネット通信を行う時代においては、同時接続に強いWi-Fi6の規格が欠かせません。

Wi-Fi6には、デバイスの消費電力を抑えやすいメリットがあります。これは、Wi-Fi6には「通信のタイミングを調節する機能」が備わっているためです。電波の送受信が必要なタイミング以外は、デバイス（子機）の通信機能をオフにして、電力消費を軽減できます。

消費電力が少なくなれば、スマホやゲーム機などの充電頻度を少なくするのも可能です。結果としてバッテリーが劣化する速度も低下し、デバイスを買い替える頻度も抑えられます。

Wi-Fi6の通信規格は、WPA3と呼ばれる新しいセキュリティ規格を採用しています。細かい解説は割愛しますが、WPA3は通信の盗聴や改ざん、不正ログインなどの対策が強化されており、前世代のWi-Fi5よりもセキュリティが強固です。

昨今は、インターネットに接続するデバイスが増え、個人情報が流出してしまう危険性も高まっています。ネット犯罪から身を守るには、Wi-Fi6のようにセキュリティ性の高い通信規格が必要です。

多くのメリットを備えるWi-Fi6ですが、ユーザーにとってデメリットとなる点も少なくありません。たとえば、古い家電製品やデバイスだとWi-Fi6の通信規格に対応していない点が挙げられます。Wi-Fi6で通信を行えないと、先に挙げたメリットを享受できません。

おまけに、Wi-Fi6に対応している製品は、最新機器が多いぶん価格も高めです。そのため、自宅の家電やデバイスを全部Wi-Fi6に対応させようとした場合、買い替える製品によっては大きなコストがかかってしまいます。

とはいえ、Wi-Fi6をすべての製品に対応させる必要はありません。技術的な進歩を考慮すれば、将来的にこれらのデメリットも解消されますし、人によってはWi-Fi5でも十分なケースもあります。

Wi-Fi6には、Wi-Fi5と比べて新しい技術が多く採用されています。技術別のおおまかな特徴は上記の通りですが、いずれも、安定した高速通信を安全に実現する技術ばかりです。

中でもOFDMAは、駅や喫茶店など場所を選ばず電波が飛び交う現代に欠かせません。同じ周波集同士が衝突しあうと電波干渉が発生し、通信速度や安定性に支障を来すケースもしばしばです。OFDMAのように、周波数を変化させる技術があれば、電波同士がぶつかる可能性も低くなります。

Wi-Fi5は、旧世代のWi-Fi4と最新のWi-Fi6の中間に位置する無線LAN規格です。おおまかな違いは以下の通りで、世代別に通信速度や周波数などが変化しています。

Wi-Fi4は、Wi-Fi6と同じく複数の周波数が使用できます。場所にあわせて電波を使い分けられる一方、最大通信速度はWi-Fi5の約11分の1しかありません。インターネットの高速通信が求められる現代において、Wi-Fi4はほとんど使用されない通信規格です。

ちなみに、Wi-Fi4は「第4世代」を表す通信規格ですが、それ以前の世代には新しい名前が設定されていません。第3世代以前は、それぞれ「IEEE802.11g」「IEEE802.11a（またはb）」「IEEE802.11」と旧名のままとなっています。

概要の項で述べたように、Wi-Fi6はWi-Fi5と比べて通信性能が向上しています。Wi-Fi6の機能を備えた親機（ルーター）とデバイス（子機）があれば、安定した高速通信を体験できます。

ただし、親機と子機のどちらかが対応していない場合、Wi-Fi6は使用できません。仮に、親機がWi-Fi6とWi-Fi5に対応、子機がWi-Fi5だけに対応している場合、データの送受信はWi-Fi5の規格で行われる仕組みです。

なお、最新規格のWi-Fi6が普及する傍ら、新しい規格となる「Wi-Fi6E」や「Wi-Fi7」も研究開発が進められています。通信技術の進歩を考慮すれば、将来的にWi-Fi6も世代交代が行われると考えられます。

通信規格が新世代に推移しつつある一方、人によっては親機や子機をWi-Fi6に対応させる必要もありません。以下のような方であれば、Wi-Fi5の製品を使用するのも手です。

• 大容量の高速通信をとくに必要としていない方
• ルーターやデバイスの買い替えにかかるコストを抑えたい方

仮にWi-Fi6の対応機器を導入しても、高速通信が必要のない方の場合は、大きな恩恵を受けられません。たとえば、SNSの利用やメールの送信、ちょっとしたネットサーフィン程度の用途であれば、Wi-Fi5の通信速度でも十分です。

このほか、買い替えのコストを抑えたい方なども、Wi-Fi5を推奨します。もしも、親機と子機の両方がWi-Fi6に非対応だった場合、それぞれを購入するのは相応のコストが必要です。いずれにしても、現在の通信環境に満足している方であれば、無理な買い替えは控えるのが賢明です。

• インターネットの通信速度や安定性に不満を持っている方
• スマホや家電など複数のデバイスを同時に接続したい方
• 子機のバッテリー消費を抑えたい方

反対に、現在の通信環境に問題がある方であれば、Wi-Fi5の通信環境を推奨できません。たとえば、Wi-Fi5の規格で動画の視聴やオンライン会議などをスムーズに行えない場合、通信速度や安定性に優れるWi-Fi6の対応機器を揃えましょう。

また、複数のデバイスを同時に使用したい方にもWi-Fi5は不向きです。同時接続の負担を軽減しやすいWi-Fi6であれば、台数が増えてもWi-Fi5より円滑な操作ができます。パソコンやスマホに加え、テレビや冷蔵庫などを同時に接続する場合は、Wi-Fi6の規格が最適です。

このほか、Wi-Fi5はデバイスのバッテリー消費を抑えたい方にも向いていません。Wi-Fi5を規格を使うと、必要時以外も子機の送受信機能がオンになるため、バッテリーの消耗が早くなります。必要時を除いてスリープモードにできるWi-Fi6なら、電力消費の軽減に貢献します。

最後に、Wi-Fi5とWi-Fi6の通信規格に関して、よくある質問とその答えを掲載しましょう。なお、ルーターやデバイスに関わる質問であれば、メーカーやプロバイダなどのサポートに問い合わせてください。

どの通信規格に対応しているかは、ルーター（親機）のスペック別に異なります。リーズナブルな価格設定に定評のあるバッファローや、通信機器の老舗であるエレコムなど、Wi-Fi5対応のルーターを販売するブランドは少なくありません。

おすすめのルーターをはじめ、ルーター別のスペックや価格などは、別ページで詳しく紹介しています。Wi-Fi6の導入と併せて、ルーターの購入を検討している方であれば、以下のページをご参照ください。

繰り返しになりますが、Wi-Fi6のメリットは高速通信や安定化の実現、または電力消費の軽減です。したがって、高速通信が必要のない方や子機のバッテリー消費に不満のない方の場合、Wi-Fi6の恩恵を受けにくくなります。

とはいえ、将来的に通信量の増加やデバイスの拡張などが見込まれるため、Wi-Fi6の必要性は高まっていくと予想されます。今後にかけてルーターやデバイスの買い替えを考えている方であれば、Wi-Fi6の対応機器を検討するのをおすすめします。

結論からいえば、回線速度はスマホの規格や光回線の種類で左右されます。たとえば、スマホがWi-Fi5に対応している場合、ルーターもWi-Fi5の規格で通信を行う仕組みです。親機と子機は同じ規格で通信を行うといった認識でも構いません。

とはいえ、規格の種類よりも、実際の回線速度は「どの光回線を使用しているか」によって大きく変化します。もし「スマホの通信速度をより早くしたい」と考えている方であれば、契約する光回線の比較検討をおすすめします。

最も確実なのは、製品のオフィシャルサイトを確認する方法です。製品情報を記したページには、対応する通信規格が掲載されているので、Wi-Fi6で通信できるかどうかが判断できます。

同様に、製品の箱やパッケージなどにも対応規格が書かれています。店舗で確認する際は、こちらの方法がおすすめです。通信規格を考慮してルーターやデバイスを購入する場合、事前に確認しておくのを推奨します。

今回は、Wi-Fi5の特徴やメリットをはじめ、ほか規格との違いなどについて詳しく解説しました。快適なネット通信を実現するには、速度・安定感に優れる光回線に加え、自分にあった通信規格の機器を選ぶのが欠かせません。