天童荒太の人気小説おすすめ10選！悼む人・永遠の仔・家族狩り｜あらすじや口コミも

天童荒太は寡作（作品を多く書かない）な作家で知られていますが、作品はどれも名作です。ファンとしては次々と新作を発表してくれると嬉しいですが、長い時間かけて書かれた魂のこもった作品を読めるのはそれ以上の喜びです。

天童荒太の小説は児童虐待を題材とした『永遠の仔』をはじめとして、人間の闇の部分を描いた作品が多いのが特徴です。改めて突き付けられる人間の暗部や心の傷に、読者は愕然とします。目をそらしたいと思っても、天童荒太は小説の中で描き切ります。

ここでは、天童荒太の代表作・おすすめ10選・エッセイや絵本などをご紹介します。天童荒太の小説を読んでみたい方は、ぜひ最後までお読みください。

天童荒太の略歴をご紹介します。

【プロフィール】

• 本名：栗田教行
• 生年月日：5月8日
• 最終学歴：明治大学文学部演劇学科卒
• 職業：小説家
• 出身地：愛媛県松山市

【経歴】

• 本名の栗田教行名義で応募した『白の家族』が「野生時代新人賞」受賞
• 『ZIPANG』『アジアンビート』など映画の脚本を手掛ける
• その後、天童荒太名義で作家デビュー
• 2009年『悼む人』で直木賞受賞

天童荒太はインターネットに触れず、PCも携帯電話も持っていないそうです。本名からペンネームに変えてからは書きたい小説が書けるようになったといいます。そのため、本名で書いていた初期作品は文庫化の際に大幅に改稿しています。

『孤独の歌声』は1994年に日本TV系でドラマ化され、2007年にもWOWOWでドラマ化されています。また、「第6回日本推理サスペンス大賞優秀作」を受賞しています。

主人公の女性刑事・朝山風希は小学生の頃、誘拐事件で親友を失ったトラウマを抱えています。そんな朝山が、一人暮らしの女性ばかりを狙う猟奇殺人犯と向き合い、その中で過去の自分のトラウマとも向き合う物語です。心の中に孤独を抱える男女の愛と暴力の戦慄ホラー作品です。

『永遠の仔』は2000年4月～6月まで日本TV系でドラマ化された作品です。「日本推理作家協会賞」を受賞しています。登場人物の優希は子供の頃父親から性的虐待を、笙一郎は母親からネグレクトを、梁平は親からたばこの火を押し付けられる身体的虐待を受けています。

3人はある病院の精神科病棟の院内学級で出会います。優希の父親の事故死以来離れ離れになった3人でしたが、18年後再会し、その再会によって新たな事件が巻き起こります。

『家族狩り』は2014年7月～9月までTBSテレビでドラマ化され、放送された作品です。原作は1995年に発表され、第9回山本周五郎賞を受賞しています。都内で子供が家族を殺害する一家心中事件が多発します。

この一家心中事件を中心に、登場人物たちの心の葛藤が描かれます。単行本が発刊された際には、その虐待の描写の激しさが賛否を呼びました。サイコホラーですが、テーマや構成は高く評価されている作品です。

『悼む人』は第140回直木賞を受賞した作品です。2015年に映画が公開されました。主人公の坂築静人は不慮の死を遂げた見知らぬ人々を「悼む」ために全国行脚をしています。その不可思議な行動に興味を持った雑誌記者の蒔野抗太郎が、静人の取材を始めます。

この静人の不可思議な行動を軸として、彼の周囲の人々の生と死を見つめる物語です。静人と猜疑心の塊のような記者・蒔野の対比も興味深い名作です。人の生と死を考えるきっかけとなる本作をぜひ手に取ってみてください。

『包帯クラブ』は2007年9月に堤幸彦監督により映画化され、公開された作品です。ワラは、両親の離婚をきっかけに人生を投げやりに生きてきました。そんなワラがある日、病院の屋上でディノに出会います。

ディノは、ケガをしたときそのケガに包帯を巻くのではなく、ケガをした場所に包帯を巻くアイディアをワラに教えます。ワラはそれを友達に話すと、友達は共感し、ディノも加えて「包帯クラブ」を結成します。人の心の傷を描き出す天童荒太ならではの名作です。

『あふれた愛』は4つの短編からなる作品です。今までの天童荒太作品とは少し趣が違う小説集で重くはありますが、救いもある短編集です。4作品の中でも「やすらぎの香り」が心に残ったとの感想が多く見られます。

本作は4作品とも何かしらの心の傷を持った人々を描いた物語です。天童荒太は、他の作品からもわかるように心に傷を抱えた人の心情を捉えるのをテーマとした作家です。天童荒太作品のハードさに読むのを躊躇している方におすすめの作品集です。

『ムーンナイトダイバー』は東日本大震災後の福島を舞台とする作品です。主人公の舟作は、ダイビングのインストラクターをしています。舟作は、実は秘密の依頼者グループの頼みで、亡き父の友人・文平と共に立ち入り禁止区域の引き揚げを行っています。

海に潜るときの光は月の光だけです。そんな舟作にある一人の女性がコンタクトをとってきます。それはとても難しい依頼でした。その後、舟作がとった行動が気になる方はぜひ本作を手に取ってみてください。

『巡礼の家』は愛媛県松山市の道後温泉が舞台です。複雑な事情があり家を出た少女・雛歩は、遍路道で倒れてしまいます。そこで声をかけてくれた美しい女性は、3,000年の歴史を持つ温泉宿「さぎのや」の美人女将・美燈でした。

「さぎのや」は帰るところのない疲れ切った方を迎える宿屋だと美燈は言います。そんな帰る場所のない雛歩が、巡礼の家である「さいぎのや」で自分の幸せや生き方を見つけ出していく物語です。天童荒太の新境地ともいえる本作をぜひ読んでみてください。

天童荒太はエッセイと絵本の執筆も行っています。エッセイは『だから人間は滅びない』と絵本は『どーしたどーした』です。天童荒太が小説で表現する内容がよくわかる作品だと思います。天童荒太の小説の理解を深めるためにも、ぜひこの2作品を読んでみてください。

以下に、この2冊をご紹介しますので、ご覧になってください。

天童荒太は人の心の傷や闇を捉えるのがとてもうまく、作品のテーマになっているのがよくわかります。残酷な描写が多いですが、その根底にあるのは人への愛や、生と死の悲しみです。そんな心震わす天童荒太の小説を読んでみませんか。

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