広津柳浪のおすすめ小説を紹介｜下層社会を描く作品！代表作『黒蜥蜴』など

社会小説に挑戦してみたいけれど、どの作家の作品を読めばいいかわからない、と困った経験はありませんか。広津柳浪の小説は感情の描写が写実的でおすすめです。自然主義小説に大きな影響を与えた人物としても知られています。

広津柳浪は下流社会についてリアルに描いた悲惨小説の作家で、『明治深刻悲惨小説集』にも作品が収録されているのが特徴的です。また代表作をチェックすれば、評価が高い作品に絞って当時の社会を反映した小説を楽しめます。

こちらの記事では、広津柳浪とはどんな作家なのかといった情報や、おすすめの小説の選び方について説明します。文豪ストレイドッグスに登場した能力『落椿』の元になった作品についても紹介するので、ぜひご覧ください。

広津柳浪とは、下層社会の実態を描き、自然主義小説や社会小説への影響を与えた作家です。1861年に肥前国（現在の佐賀県・長崎県にあたる地域）で生まれ、番町小学校を高い成績で卒業し、東大医学部予備門に入学した経歴があります。しかし、1878年に肺尖カタルの病気になり、退学後に文学に興味を示すようになりました。

深刻小説・悲惨小説としての独自のスタイルを築き上げ、樋口一葉と共に評判になり、永井荷風が入門した人物としても知られています。

当時の悲劇小説の代表作『今戸心中』は、広津柳浪の名前が広く知られたきっかけとなった作品です。男女の恋愛に関係した心の機微を深く掘り下げて描いており、会話や描写が丁寧に記されているのが魅力となっています。

樋口一葉の『にごりえ』と同じく、悲劇小説として挙げられるケースが多い作品です。明治時代に暮らしていた人間について、細かく知れる小説でもあります。

舅を毒殺した主人公が亡くなるまでを描いた『黒蜥蜴』は、1895年に発表された作品です。1968年に映画化されて公開された、江戸川乱歩の同名小説とは異なりますが、深刻小説の代表作として有名になっています。

醜女のお都賀が女遊びに明け暮れる舅を毒殺したのち、自殺するまでの人生について描かれた作品です。歌舞伎を想起させる、善悪がはっきりと分かれた人物描写や舞台説明も特徴となっています。

『雨』が収録された『明治深刻悲惨小説集』もおすすめです。日清戦争後の社会的な不安を背景として、人生の暗い側面に焦点を当てた深刻小説・悲惨小説を集めた作品となっています。尾崎紅葉に学んだ作家たちの10の作品が収録されていて、講談のような流れるような文体の話が読めるのも特徴的です。

川上眉山・田山花袋・泉鏡花・樋口一葉・徳田秋声など、さまざまな作家の作品を読み比べできるといった魅力もあります。

広津柳浪の『落椿』は名だたる文豪をモチーフにした能力を使って戦うアクション漫画「文豪ストレイドッグス」において、触れた者を弾き飛ばす異能力として登場しました。『おち椿』と称される作品は、命のはかなさを椿に例えた描写が特徴的です。また、広津柳浪の作品の1つとなっている『黒蜥蜴』も作中の武闘組織の名称に使われています。

広津柳浪の小説を読んで当時の下層社会について知りましょう。広津柳浪の小説は、代表作だけでなくさまざまな小説家の作品が収録された『明治深刻悲惨小説集』でチェックするのもおすすめです。広津柳浪の小説を読書に取り入れて、明治時代への理解を深めましょう。

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