宮崎夏次系の漫画おすすめ7選｜一見シュールなのに深い！イラストも評判の漫画家

あなたは宮崎夏次系（みやざき　なつじけい）という漫画家をご存知ですか。キャラクターの造形すら危うくなるような柔らかなタッチで、現実的ながらも不思議な世界を描く作家です。そんな世界で繰り広げられる物語は、独特ながらも時にリアルの鋭さを覗かせます。

今回は、短編作である『夕方までに帰るよ』や『変身のニュース』そして初の長期連載作である『あなたはブンちゃんの恋』、さらには画集『変な夢を見た』や挿絵を担当した小説『きょうの日はさようなら』の紹介をしていきます。

夢の中にいるような現実感の無さ、そこに描かれるインパクトは胸が苦しくなるほど切なさに満ちています。この記事では作品の特徴やおすすめ7選など紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

宮崎夏次系は、1987年生まれで宮城県出身の女性作家です。一度聞いたら忘れられないそのペンネームは、自身の生まれた季節である夏、バイトで気に入った次、好きな形の系をあわせたもので、特に意味のない名前だといいます。

高校では美術科を専攻し、その後は美大を経てプロデビューを果たしているので、かなり若い時期から漫画家を志していたようです。メディアへの露出が少なく、謎多き女性漫画家となっています。

宮崎夏次系の作品は、現代の日本が舞台の作品が多いです。しかし、どこか現実感が希薄で絵本の世界を思わせる、淡く透き通った絵柄で構築されています。

そこで登場するキャラクター達も世界観と同じく淡い存在ですが、ふとした瞬間が心に突き刺さるリアルさを見せることがあります。この淡い世界観に描かれるリアルさが宮崎夏次系作品の大きな特徴です。

宮崎夏次系の作品は淡く繊細なタッチで描かれています。またキャラクターの多くは、その世界観に合った等身をしていますが、時折それをまったく無視したかのようなキャラクターが登場もして、作品の現実感の無さを一層強いものにしています。

そんな絵柄ながら物語の要所に、それまで漂っていた意識を一気に引き戻すような鮮烈な色使いがあり、それが物語と相乗効果で読者をその作品により没頭させる破壊力となっています。

雑誌モーニング・ツーに2012年から連載された作品をまとめた短編集で全1巻です。さまざまな2人が登場して、心を通わせる。そんな作品が数多く収められています。

世界観・絵柄・登場人物。そのどれも宮崎夏次系の特徴を存分に表されている一冊です。彼女の作品が気になった方は、まずは本作から入るのもおすすめです。

カルト宗教にハマってしまった両親と生活する主人公の少年。彼には離れて暮らす姉がいて、先生の勧めで会いに行くと、アパートの部屋でダンボールの巣を作って引きこもっていた、という不思議ながらも絶望的な状況で物語が始まります。

そんな状況をシュールかつユーモラスに描かれてい、これと同じような環境にいる読者に寄り添うような作品となっています。

こちらもモーニング・ツーで連載されていた全1巻の短編集となっています。変身とニュース。ありふれた言葉を合わせることで生じる感覚は、まさに宮崎夏次系のセンスだと感じさせる作品です。

掲載さている作品のなかで、特に『水平線JPG』の評価が高く、意外な人物が感動を呼ぶという声が多く聞かれました。タイトルに惹かれた方はぜひ手にとってみてください。

初の長編ストーリーです。主人公のブンちゃん、ブンちゃんが恋する女の子、そんな二人を見守り続ける霊、という奇妙な三角関係の物語です。

ブンちゃんは内気で物静かな少女ですが、突然グリーンランドへ旅立つなど、その姿からは想像もできない激しさを持っていたりします。読み手の理解を置き去りにするような大胆な展開は、初の長編作品に取り組んだことで進化している才能を感じさせます。

宮崎夏次系のデビュー10周年を記念して発売された画集です。タイトルのとおり、変な夢を見た後のような気分になれるイラストが満載です。コミックスで描かれたものはもちろん、小説の挿絵やさまざまな場で描かれたイラスト、さらに未発表のものも掲載されていて、ファンには嬉しい画集となっています。

イラストもコミックスで描かれたものを見開き一杯に掲載しているものもあり、改めて宮崎夏次系の描写の凄さに気づける仕上がりとなっています。

漫画家だけではなく、イラストレーターとしも活躍する宮崎夏次系。彼女が挿絵を担当した小説で、おすすめなのが一穂ミチの『今日の日はさようなら』です。

主人公の双子、明日子と日々人。退屈な夏休みを前に、いとこが一緒に暮らすことになります。そのいとこである今日子は、長い眠りから目覚めた30年前の女子高生だった、という不可思議な物語となっています。物語から漂う気怠げな空気と夏の清涼さ、それを宮崎夏次系のイラストが鮮明に表現した作品となっています。

不思議で鮮やかな宮崎夏次系の世界。作品を構成する全てにセンスが満ちていて、仕掛けられた違和感に気づいたらすでに魅了されている、そんな魔法のような力があります。気になったらぜひ作品を手にとってその世界に浸ってみてください。こちらもあわせてご覧ください。