塩田武士の小説おすすめ13選｜口コミあり！新作の朱色の化身も紹介

グリコ・森永事件を題材とした『罪の声』や、大泉洋さんを当て書きした『騙し絵の牙』など、話題の作品を手掛ける塩田武士。朝日新聞「天声人語」など各種メディアでも取り上げられるほど、人気を博しています。

元新聞記者である塩田武士の作品は、丁寧な取材のもとに描かれたリアルな描写と、手に汗握る推理戦が魅力です。その小説の舞台の幅は広く、将棋の世界・新聞記者の裏側・オーケストラ音楽の奇跡など、数々のエンターテイメント作を手掛けてきました。

この記事では、塩田武士のプロフィールや、おすすめの人気小説を紹介します。新作や選び方も解説しますので、本を選ぶ際の参考にしてください。

塩田武士（しおたたけし）は、1979年に兵庫県尼崎市で生まれました。幼少期から人を楽しませるのが好きで、高校時代には漫才コンビを組んでいたほどです。

関西学院大学に入学し、在学中から執筆活動を開始。しかし、なかなか芽が出ず、卒業後は神戸新聞社に入社されました。神戸新聞社にて取材力や文章の腕を磨き、将棋担当記者としての取材経験を活かした作品『盤上のアルファ』でデビューしました。

塩田武士の小説には、ウィットに富んだ秀逸なミステリーも、笑って泣けるハートフル作品も揃っています。こちらでは、おすすめの選び方を紹介します。

プロの審査員が厳選した受賞作は、どれも精巧で完成度の高い作品ばかりです。デビュー作である『盤上のアルファ』は、審査員が満場一致で評価し、痛烈な処女作となりました。

『盤上のアルファ』は、大学在学中から小説家デビューを志していた塩田武士が、神戸新聞社での取材経験を活かして1年がかりで書き上げた魂の一冊です。第5回小説現代長編新人賞を受賞し、さらにNHKのプレミアムドラマとして放送されました。

新聞記者で将棋担当をしている主人公・秋葉と、プロ騎士の年齢制限を過ぎてくすぶっている真田が描かれています。勝負の世界の迫力、意外な結末に目が離せません。

『罪の声』は、第7回山田風太郎賞受賞・第38回吉川英治文学新人賞候補・週刊文春ミステリー第1位など、多くの賞を受賞した非常に注目度の高い作品です。

モチーフは日本中を震撼させたグリコ・森永事件。恐喝テープに使われた音声が幼い頃の自分の声だったと気づいたところから物語は始まります。2020年に映画化され、小栗旬さん・星野源さんら豪華キャストが出演しました。

話題性の高いメディアミックス作品は、塩田武士の小説をあまり読んでいない方にもおすすめです。映像を想像しながら読んだり、映像化されなかったシーンを探したり、一味違う楽しみ方ができます。

• 監督：吉田大八
• キャスト：大泉洋・松岡茉優・宮沢氷魚　ほか

• 脚本：向井康介
• キャスト：松田龍平・松山ケンイチ・小芝風花　ほか

多くの執筆作品の中から、塩田武士のその他の人気小説を紹介します。エンターテインメント性に富んだ塩田武士の小説は、読み応えのある作品ばかりです。

『デルタの羊』は、立案から発売まで2年2ヵ月を要した待望の一冊です。アニメを愛するクリエイターたちが活躍するストーリーで、主人公はアニメ製作プロデューサーです。アニメ制作の裏側や実情がリアルに描かれ、登場人物たちの熱が伝わってきます。

後半になるにつれて、「えっ」と思わず声をあげてしまう読者もいるほどの展開に。ラストの逆転劇に注目です。

物語は、仕事も恋も失った主人公の明菜が、偶然出会った老人に頼まれてオーケストラの立て直しを図る内容。美人だけど気の強い明菜をはじめ、Mっ気のあるマエストロなど登場するキャラクターたちの個性が豊かで、サクサクと読める作品です。

「笑いがいつか感動になる」の宣伝コピーのとおり、最後には感極まる感動作です。

『雪の香り』は新聞記者である主人公が、12年前に疾走した彼女を巡る純愛ミステリーです。追いかけるごとに見えてくる彼女の秘密や過去の存在…。社会派推理小説を得意とする塩田武士のイメージが一転するような恋愛ドラマが描かれています。

作者本人が「書き終えたくなかった」と話すほどに思い入れのある作品で、小説の舞台となる京都に実際に住み、生活者としての視点を養ったそうです。

塩田武士の最新刊は『朱色の化身』、発売日は2022年3月16日です。作家デビューから10年にあたる作品で、3年の年月をかけた珠玉の一冊です。

現代社会における情報との向き合い方やジャーナリズムのあり方を描いた社会派ミステリー作品。ライターとして働く主人公・大路亨が、疾走した女性を取材する中で謎や事件と対峙していきます。「事実」「真実」とは何か、考えさせられる内容となっています。

塩田武士の原点ともいえるのは松本清張氏の作品です。幼少期の頃から、童話ではなく松本清張氏の本を母親から読み聞かせられていたそうです。悪さをして破滅していく人間の姿に触れ、幼いながらに「結局、人間が一番怖い」と感じていた塩田武士。その経験が現在の作風である、深い心理描写や深層心理を露呈させる書きぶりに繋がっています。

塩田武士の小説は、一行一行にこだわりを持ち、厳選された言葉が使われた執念の作品です。読了後に何度も後味を思い出すような、深い物語ばかりです。「腰を据えて本を読みたい」「小説の世界観に浸りたい」方は、ぜひ塩田武士の小説に手を伸ばしてみてください。こちらもあわせてご覧ください。