薪ストーブを自作（DIY）しよう｜薪ストーブの作り方・構造を紹介

標高の高い場所では気温が低くなるので、特に寒くなる冬場はテントの中でも暖を取りたい方が多いのではないでしょうか。空気の流れを調整できる薪ストーブであれば、テントの中も温められるので、就寝時も快適に過ごせます。

キャンプ用の薪ストーブは、焚き火台よりも構造が複雑なものの、製品のタイプによっては自作できる場合があります。既製品に比べて費用を抑えられるのが魅力ですが、手作り薪ストーブのイメージがつかず困っている方が多いですよね。

そこで今回は、DIY初心者の方に向けて、手作りの薪ストーブを簡単に自作する方法を解説します。薪ストーブの作り方はもちろん、薪ストーブの構造や自作キットについても取り上げるので、自作薪ストーブに興味のある方はぜひチェックしてみてください。

暖炉の燃焼室に扉が付いたのがフランクリンストーブです。小型のストーブですが燃焼室が大きく作られているので、低温で長時間燃焼させられます。暖を取るためにはもちろん、燃焼室の上部を利用すれば調理も可能です。

ただし、鋳鉄製で重く持ち運びには不向きなので、キャンプなどのアウトドアにも向いていません。ストーブの作成をおこなうのに鉄が必要なため、自作は難しいといえます。

フランクリンストーブと違い、小さい燃焼室で短時間で高温燃焼させるのがロケットストーブの特徴です。主に調理するために使用されるストーブなので、アウトドアに1台あると便利といえます。また簡単な構造なので、材料が手元にあれば誰でも自作可能のアイテムです。

さらにアルミやステンレス製のものが多いため持ち運びにも便利で、キャンプなどのアウトドアではもちろん、災害時には室内暖房としても使えます。

燃焼路はバーントンネルとも呼ばれる下から突き出ている煙突のことを指します。この燃焼路に薪をくべると薪が燃焼してガスが発生し、酸素とガスの化学反応で一次燃焼が起こります。このとき、火は内部に吸い込まれている状態が理想です。

熱上昇路はヒートライザーとも呼ばれるロケットストーブの中心にある煙突部分を指します。燃焼路で燃焼しきらなかったガスが酸素と化学反応を起こし、二次燃焼が発生します。このとき、煙突内部で強い上昇気流が起こり、ヒートライザーから火が発生する仕組みです。

燃焼路からの空気の吸い込みが増えると燃焼効率が高まります。たとえば、煙突を高くしたり熱上昇路で燃焼ガスが冷えないように、断熱材を使用したりする方法などです。少しの手間を加えるだけで薪ストーブの燃焼効率が高まります。

手作り薪ストーブに必要な材料や道具を、箇条書きにして分かりやすくまとめたので、初めて自作をおこなう方は参考にしてみてください。

【必要な道具や材料】

• 金切りハサミ
• ネジ（もしくはリベット）
• 小型ブリキ缶（4L）
• パイプ受け
• 0.1mm厚ステンレス板
• ホースバンド
• 連結金具（脚用）

本体となる小型ブリキ缶は塗料などを入れる丸型のものを使用しましょう。また煙突はステンレス板を活用します。今回紹介する薪ストーブに使用する道具や材料はどれもホームセンターなどで購入できるので、自作しやすいのも嬉しいポイントです。

本体になるブリキ缶に煙突をつけるための穴を開けます。パイプ受けをブリキ缶に当てて煙突を取り付ける場所を決めましょう。その後、ドリルを使用しパイプ受けをネジで固定するための穴を開けます。煙突用の穴は、パイプ受けの中央に煙突の直径よりやや小さいサイズで開けましょう。

このとき、曲線用の金切りハサミを使用し、手を切らないように作業用手袋を着けて行います。また取り外せない場合はネジではなく、リベットで留めるのもおすすめです。

煙突用の穴を開けたら煙突を取り付けるためのパイプ受けの曲げ加工を行います。そのままではパイプ受けは加工しにくいため、バーナーなどで熱してから少しずつ曲げましょう。パイプ受けに付ける煙突はステンレス板を筒状に巻き、ホースバンドで固定します。

煙突の長さが短すぎると、吸気・排気がスムーズに行えない可能性があるため、長さは燃焼の様子を見ながら調節するのがおすすめです。

薪ストーブが倒れてしまわないように連結金具を組み合わせて脚を取り付けます。持ち運びをしない場合はブロックやレンガを2個並べて脚として代用するのもおすすめです。

また、薪ストーブの内部はもちろん、周囲も高温になるため、地面に焦げ跡が残らないよう地面から十分に離しましょう。幼いお子さんやペットがいる場合は薪ストーブの周囲にガードを設置すると安心です。

DIYに慣れている上級者であれば、図面を用いてペール缶や一斗缶を使用して作成可能です。主な作り方は同じですが、大きいサイズになるので作業は少し複雑になります。

【材料】

• ペール缶×2
• 半直筒
• エビ曲
• T曲
• パーライト
• ステンレスベルト×2本
• トルネードポイントビス×3本
• 耐熱アルミテープ

【作り方】

1. ペール缶に切り込みを入れる線を書き、金切りハサミなどで切断する
2. 開けた穴にエビ曲を通し結束する
3. 半直筒（煙突）を仮組みする
4. ペール缶同士を接続し、煙突とペール缶を固定する
5. 断熱材を充填し、煙突を切断したら完成

薪ストーブには自作キットがあり、遊火人キンタが手がけたLIFTOFF ロケットストーブ『焚火缶』は、ペール缶にポン置きするだけで自作できます。火力が弱いので暖房には不向きですが、気軽に火遊びをおこないたい方におすすめです。製品の価格もリーズナブルで、1万円程度で購入できるのも魅力的です。

ストーブを自作してみたいと思っても、専門的な道具や材料はなかなか手に入りにくいもの。100均やホームセンターで気軽に購入できる材料で自作できたら便利ですよね。

実は、100均やホームセンターで買える材料でも、ウッドストーブは自作できます。100均アイテムを使用して作れば、難しい作業も必要ありません。

下記の記事では、100均グッズを使ったウッドストーブの作成方法について詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

ロケットストーブでは、木材の燃焼を助ける火起こし器と同様に煙突効果が生じるので、ライターで火を付けるだけで点火できます。ただし、分解した状態だと煙突効果が発生しないため、火をつける前に組み立てましょう。

ロケットストーブを組み立てたら、新聞紙・ダンボールなどの助燃剤をストーブ内部に投入した上で、薪の火起こしを行います。30秒から1分ほどして、ロケットストーブ内部に炎が立ち上がったら、定期的に木材を入れるだけで燃焼させ続けられます。

短時間で火がつく・燃え残りが少ない・煙が出にくいなどのメリットがたくさんありますが、デメリットとしては火力が強いので調理には向かない・頻繁に薪を足す必要がある・投入口に合わせて薪を加工しないといけないなどがあります。メリット・デメリット両方を考慮してロケットストーブを使うようにしましょう。

無煙薪ストーブとは、その名の通り、煙の出ない薪ストーブのことです。通常の薪ストーブが「二次燃焼」までであるのに対し、さらに「三次燃焼」と呼ばれる高温燃焼を起こすことによって、熱源をほぼ完全に燃焼させます。その結果、煙を出すことなく燃焼ができるのです。

無煙なので通常の薪ストーブよりも灰取りの頻度が圧倒的に少なくて済むほか、高い暖房効果を得られるなどメリットはたくさんあります。気になる方はぜひチェックしてみてください。

今回は薪ストーブを自作する方法を詳しく紹介しました。1台あると便利な薪ストーブ。購入を検討していたキャンパーで、DIYが好きな方は自作してみるのもおすすめです。こちらを参考にして、自作薪ストーブと一緒にキャンプを楽しんでください。