片岡義男の小説おすすめ5選｜映画化書籍や代表作まで徹底解説！

小説家・片岡義男（かたおかよしお）は、文芸・映像などさまざまな分野で活躍する文化人です。趣味のバイクや旅行・自動車などだけでなく、カフェ巡りや普段の生活で使用している愛用品などをテーマにした作品も多く書き上げています。

キャッチコピーを思わせるタイトルもユニークで、オートバイや海・風など自然を感じられるのが特徴。また『ボビーに首ったけ』『湾岸道路』のように映画化された書籍もあり、映画業界に与えた影響も少なくありません。

本記事では片岡義男のおすすめ小説・作品の選び方などについて紹介します。現在の活動・2023年の新刊についても触れますので、ぜひ最後までご覧ください。

片岡義男は1974年に「白い波の荒野へ」でデビューした作家です。1975年に出世作「スローなブギにしてくれ」を発表、第2回野性時代新人文学賞を受賞したほか、直木賞候補にも選出されました。

エッセイスト・翻訳家・評論家・ナレーターとしても著名で、現在は日本語についての考察をおこなうほか、写真家としても活躍しています。

東京出身の片岡義男は第2次世界大戦中に山口県で過ごし、終戦後も瀬戸内海の町で少年時代を過ごしました。彼の作品にはその時の風景を投影したものも多くあります。片岡義男の本はタイトルが独特で、キャッチコピーのように時代の流行を象徴するおしゃれな文字列が目立ちます。

また、題材も海や星空・ドライブ・サーフィンなど、夏や自然を連想させるものが多い特徴があります。映画化された作品もあり、青春や恋愛などのドラマチックな内容で人気が出ました。

片岡作品の中でも特に有名な「スローなブギにしてくれ」は全部で5作品から構成されています。1981年に映画化・公開されて、南佳孝の主題歌も相まって大ブームとなった角川映画作品。

「スローなブギにしてくれ」では、バイクを止めて電話ボックスから友達に連絡をしているゴロ―は、突然近くに侵入してきたムスタングから子猫が放りだされるのを目撃します。

彼は猫を拾い上げてバイクでムスタングを追いかけると、今度はムスタングから少女が投げ出された、からスタートする何とも衝撃的でインパクトのある出だしの小説です。

「彼のオートバイ、彼女の島」は、1986年大林宣彦監督がメガホンを取り映画化された作品です。主人公の女性ミーヨと、信州のツーリング先で出会った男性・コウとの爽やかではかない恋愛模様を描いた作品です。

この時代ならではの写真を撮ってあげて、その後に手紙でやり取りをする恋愛スタイルが現代では新鮮さとピュアな印象を受けます。同じ時代に若い時代を過ごし、青春を謳歌した人たちにとってはとても懐かしく感じられると思います。

また、現代の若者が読んでも当時の時代背景や風景の描写が美しいと感じられる小説です。

「メインテーマ」は、1984年に薬師丸ひろ子と野村宏伸が主演し森田芳光が監督した大ヒット映画の原作です。映画版のシナリオは監督の森田芳光が担当しています。自分はこれからどう生きていくのか、をテーマにした作品です。

片岡義男はその後の著書である「あとがき」でその答えを「時間の使い方である」と説明しています。人それぞれのメインとなるテーマは、時間をどう使うのかにかかっていると訴えている作品です。

片岡義男がデビューして間もない1970～1980年代の作品は、当時話題になりタイトル名を聞いただけで懐かしく感じる人も多く、ブームを巻き起こした作品を多く生み出した時代です。

映画化された作品もいくつかあり、アメリカ文化や海・若者・青春などを題材とした、爽やかな雰囲気の作品が多いです。1970～1980年代の主な作品は以下の通りです。

• ロンサム・カウボーイ
• トウキョウベイ・ブルース
• ボビーに首ったけ
• 吹いていく風のバラッド

1990年代に出版された片岡義男の作品は、ジャンルがとても幅広い特徴があります。推理小説や趣味のバイク・自動車・アメリカ文化などについて書かれた作品があり、正に趣味が多く多才な一面を活かしていた時代です。

1990年代の主な片岡義男作品は以下の通りです。気になる作品があれば、ぜひ手に取って読んでみましょう。

• 雨のなかの日時計
• 最愛の人たち
• 物語の幸福
• 人生模様

2000年～現在に至るまでの片岡義男の作品は、普段の生活の経験からヒントを得たのもを題材としている作品が多く見られます。

たとえば、周りにある愛着を感じる物について執筆したエッセイの「年筆インク紙」やカフェが舞台の作品などもあり、のんびりくつろぎながら喫茶店で読んでみたくなる作品が多くなっています。この年代の主な作品は以下の通りです。

• 物のかたちのバラッド
• ミッキーは谷中で六時三十分
• 七月の水玉
• 言葉の人生

片岡義男は、小説家であるだけでなく父親の影響からアメリカの文化に小さい頃から触れていたため、海外の文化に影響を受けた作品も多く発表しています。

前述の通り写真家としても活躍しているため写真集を出版したり、著書「片岡義男を旅する一冊。」  などの趣味やアメリカ文化を扱ったざまなジャンルの本も執筆しています。初めて片岡義男の本を読む場合は、自分の興味がある分野が題材の作品を手に取って見ましょう。 

2023年1月、片岡義男の新刊が発表されました。書き下ろしのエッセイ集で、タイトルは『僕は珈琲』。2018年発表の大ヒット短編集作『珈琲が呼ぶ』の路線を継承し、コーヒーを片手に読めるような親しみやすいエッセイをまとめた作品です。ぜひチェックしましょう。

サーフィンやバイク・自動車・世界旅行・カフェ巡り・ファッションなど、豊富な趣味を題材にした本を多数出版している片岡義男。かつては片岡義男の作品を読み、ファッションやバイクなどの知識を得たり同じ体験をするなどの影響を受けた若者も多くいました。

その中の代表作「片岡義男と旅する一冊。」は、今までの片岡義男作品を振り返り取りまとめた特別編集の書籍です。片岡義男のファンにはぜひ読んで欲しい1冊です。

片岡義男は50年近く作家として活躍しています。片岡義男作品が好きな人は、彼に影響を受けたと思われる作家や、同じテイストの作品もぜひ読んでみましょう。おすすめする主な小説家は、村上春樹・村上龍などです。

芥川賞を受賞した村上龍の「限りなく透明に近いブルー」は、タイトルからも片岡義男作品が好きな人も好きになる作風ですので、機会があればぜひ手に取ってみてください。

日本の人気作家である片岡義男の小説は、独特のセンスや趣味、幼少時代の経験を扱っているいる作品が多くあります。タイトルだけでもおしゃれな印象を受け、つい手に取り読んでみたくなる片岡義男の小説。ぜひ片岡作品のいくつかを手に取り読み、独特の世界観に浸ってみましょう。