いしいしんじの小説おすすめ13選！『その場小説』やそのほか人気作品をご紹介

異世界ファンタジー作品が好きな層から人気を得ている、いしいしんじの書籍。いしいしんじの作風は、かの有名な「宮沢賢治」を想起させる摩訶不思議なストーリーだと言われています。

いしいしんじはさまざまな賞を受賞した経験があり、その作品は老若男女問わず多くの人々から高い評価を得ています。また、2022年にも『書こうとしない「かく」教室（MSLive!Books）』を出版しており、まだまだ新しい作品を世に送り出し続けています。

この記事では、いしいしんじについて詳しく掘り下げ、おすすめの作品や人気作品も解説していきます。いしいしんじの作品に興味がある方はもちろん、ユニークな小説や風変りな物語が好きな人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

ここからは、いしいしんじの経歴や作家名の由来に触れていきます。作家の背景について知れば、より作品に対しての愛情が増したり、作品の内容を深く読み取れるようになります。

いしいしんじは1994年に『アムステルダムの犬（講談社）』で作家デビューしました。小説だけではなく、エッセイや翻訳、ラジオの出演経験もあります。

いしいしんじは大阪出身で、4人兄弟の次男として生まれました。京都大学を卒業後、サラリーマンとして雑誌編集を務めていた経歴があります。また、双子の弟である「石井考典」はカメラマンをしています。

学生時代には、画家になるのを目指した時期もありましたが、知人からやめるように提言され、仏文学科へと進みました。小説の中には、いしいしんじ自ら挿絵を描いているものもあります。

いしいしんじは、作家になったきっかけは「シーラカンスの刺身を食べてみたい」と思い立ったことだと、話しています。思い立った3日後には仕事を休み、マダガスカルの近くにある島国、コモロに向かった、いしいしんじ。

その実体験は小説となり、1999年に『シーラカンス（金の星社）』が出版されました。旅行先での出来事が面白おかしく描かれている、いしいしんじの代表作です。

いしいしんじの本名は「石井慎二」で、作家名と同じになります。作家名がひながらである理由については、当時、5歳だったときに書いた初めての作品に、自らの名前を「いしいしんじ」と書いていたからと語っています。

いしいしんじは2021年から読売新聞で連載されている人生相談の記事、『人生案内』で回答者を務めています。相談される内容は恋愛・家庭問題・育児など幅広く、相談者の年代・性別もさまざまです。

いしいしんじの回答は、読者から「思慮深い」「気遣いと優しさに溢れている」「名回答だ」と高評価を獲得しています。

以下では、いしいしんじが受賞した作品を紹介していきます。「いしいしんじの小説を読んでみたいけど、どれを読めばいいかわからない」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

『麦ふみクーツェ』は2003年に第18回坪田譲治文学賞を受賞した作品です。父と祖父と共に暮らす、主人公の少年「ねこ」の成長が描かれた物語です。

幸せもあり悲しみもある人生が、不思議な世界観で書かれています。中学生からでも読める作品ですが、大人でも十分に楽しめる内容です。目に見えるものがすべてではないと教えてくれる作品になります。

こちらは、第29回織田作之助賞を受賞した『ある一日』です。2012年2月に出版され、項数138ページと比較的短く、手軽に読める小説です。主人公は43歳で初めての出産となる「園子」と夫の「慎二」の二人です。

妊娠・出産をテーマにしていますが、妊婦だけでなく、子供がいる親や、これから親になる人にも読んでほしい作品です。出産の壮絶さが伝わってくる描写があり、母親に感謝せずにはいられなくなります。

『悪声』は2015年に出版された作品です。京都の廃寺にあるコケの上に置かれた「なにか」。「ええ声」を持った「なにか」が、どのようにして「悪声」となったのかを描くストーリーです。

出版された翌年、2016年に第4回河合隼雄の物語賞を受賞しました。第29回三島由紀夫賞の受賞候補としても選出されています。こちらの作品は、他の作品に比べて、理解するのが難しい、難解な物語だと言われています。

いしいしんじが書いた作品はたくさんあり、どの作品を読むべきか選ぶのにも迷ってしまいますよね。ここからは、そんな人におすすめな、いしいしんじの人気作品を紹介します。

2000年12月に出版された、いしいしんじの長編小説、第1作品目である『ぶらんこ乗り』。項数は278ページとボリュームがあるため、ゆっくとり時間をかけて読みたい小説です。

物語の主人公は、声は出せないが、動物と話せる弟を持つ女の子です。いなくなってしまった弟が残していったノートから紡ぐストーリーになります。

『ぶらんこ乗り』は読むと、切なく哀しい気持ちになります。子供でも読みやすい文体で書かれていますが、大人に読んでほしい1冊です。

タイトルの『トリツカレ男』は、この作品に出てくる主人公、ジュゼッペのあだ名です。2001年10月に刊行され、文庫本として出版されたのは2006年になります。さまざまなものに夢中になるジュペッゼが、少女ペチカに恋をするストーリーです。

少し不気味なタイトルと表紙に反し、純粋無垢なピュアラブストーリーが描かれており、子供の読書にもおすすめです。人を愛する素晴らしさを教えてくれる1冊です。

『プラネタリウムのふたご』はプラネタリウムで拾われたふたごの話です。それぞれの道を選んだふたごが、どのように成長していくのかが描かれています。この作品を読めば、温かくも切ない気持ちになります。

音楽劇にもなっており、舞台のブルーレイが発売されています。小説を読んだ後に舞台を見ると、自分の想像していたものとは違う部分があって、より一層楽しく観れます。ぜひ、チェックしてみてください。

『且座喫茶（しゃざきっさ）』は禅語で、「まあ座ってお茶でも飲んでください」といった意味があります。2015年10月に刊行された作品です。実際にいしいしんじが参加した数々の茶会での経験が書かれています。

いしいしんじが茶道の師匠から学んだ、お茶についてや人生においてなどのさまざまな事柄が随筆されています。茶道を習っている方にはもちろん、お茶に詳しくない方でも楽しく読める小説です。

書店、寺院、カフェ、映画館、銭湯など行った先のその場で小説を書くといったスタイルで作られた『その場小説』。合計54回分の『その場小説』がまとめられたのが、こちらの1冊です。

1作ずつが短いので、サクサクと読めます。小説が書かれた場所を知れば、その場所の雰囲気が感じられる作品です。いしいしんじらしい、突飛で想像もつかないストーリがたくさん収録されています。

作家としてのいしいしんじの暮らしが、ドキュメンタリー映画になっています。タイトルは『いしいしんじ　十一のはなし』です。これを見れば、多くの人を魅了しているいしいしんじが、どのように小説を書いているのかがわかります。

およそ3年間、いしいしんじに密着してつくられたこの映画は、小説家としてのいしいしんじだけでなく、家庭のことやいしいしんじ自身のことなども観ることができます。ユニークで不思議な物語を書くいしいしんじをより深く知りたい！と考える方は、ぜひチェックしてみてください。

今回は、いしいしんじの作品について詳しく解説してきましたが、読んでみたい作品を見つけられましたか？いしいしんじの作品は、学生でも大人でも十分に楽しめる深い内容となっています。いしいしんじの作品を読めば、摩訶不思議ワールドを感じれること間違いなしです！

こちらも併せてご覧ください。