文藝賞を受賞したおすすめ作品7選｜賞の傾向も解説【短編は？】

『文藝賞』は河出書房新社が主催している純文学系の文学賞です。新人作家の登竜門とも言われ、毎年たくさんの応募があります。過去最高の応募総数は2,360作で、その中からたった1作品だけが文藝賞受賞作品として選ばれます。

文藝賞を受賞した作品は毎年注目を浴び、たくさんの読者に読まれています。1962年に創設されてからすでに多くの作品が発表されているので、これから受賞作品を読むにもどれから読めばいいのか迷う方も多いです。

そこでこの記事では、おすすめの文藝賞受賞作品5選や日本で実施されている5大文学賞についてもご紹介します。難関である『文藝賞』の詳細や『文藝賞』の受賞商品、短編は応募できるのかなどについても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

『文藝賞』は、過去の作品を見て、純文学系の文学賞と思われていますが、実はそうではありません。公募サイトには「既成の枠にとらわれない、衝撃的な作品をお待ちしております」とあります。つまり、純文学限らず、文学界に新風を巻き起こしてくれる作品が望まれているわけです。

純文学とは、芸術性に富んだ作品を言いますが、つまり、どんな作品でも受賞チャンスがあるのです。

『文藝賞』の応募年齢に制限はありません。10代でも90歳代でも応募は可能です。最年少で受賞した方は15歳でした。才能ある若い人がたくさん文壇にデビューしてくるのは心強い限りです。このように『文藝賞』は、何歳であっても受賞できるため、どなたにも希望が持てる賞と言えます。

『文藝賞』の一次選考を通過するためには、商業小説としての約束事が守られていることが最低限の条件です。つまり、未発表の作品に限られます。さらに、無理のないストーリー展開の小説でなくてはなりません。きちんと推敲をし、矛盾のない小説が望まれます。当たり前のようですが、意外と守られていない点です。

文藝賞の受賞作品には河出書房からの出版が約束されています。小説家にとって何よりのご褒美ですが、それだけではありません。受賞者には受賞を記念して正賞の万年筆と副賞の20万円が送られます。他の文学賞の中でも文藝賞は最も副賞金額が安いです。最も金額が高いのがすばる文学賞の100万円です。作家として認められるのはもちろんですが、やはり賞金も楽しみの1つです。

ここでは文藝賞の最新情報を紹介します。2021年は澤大智の『眼球達磨式』で、2022年は安堂ホセの『ジャクソンひとり』と日比野コレコの『ビューティフルからビューティフルへ』が選ばれました。それぞれ解説していきますので、気になる方はぜひ注目してください。

2021年はこれまでで最も応募作品数が多かった年です。応募総数2,360作品のうち頂点に上り詰めたのが澤大智の『眼球達磨式』です。移動式監視カメラ『アイ』が、ある日勝手に疾走するというお話です。澤大智さんは25歳で文藝賞を受賞されていますが、実は同年不慮の事故で亡くなられています。『眼球達磨式』は亡くなられた翌年に出版されています。

文藝賞の応募作品は、通常原稿用紙100枚以上の中編から長編小説と決められています。しかし2023年に発表される予定の60回目の文藝賞では、限定で短編部門も設けられました。枚数の違いは以下の通りです。

• 短編部門：400字詰原稿用紙換算20枚以上50枚以内
• 中編・長編部門：400字詰原稿用紙100枚以上400枚以内

『新潮新人賞』は又吉直樹が選考委員を勤めていることで知られています。この賞が新人作家に期待しているのは「文芸の新たな可能性を拓く未知の才能の劇的な登場」と公式サイトに掲載されています。以前は評論・ノンフィクション部門がありましたが、今は小説部門のみです。受賞傾向としては登場人物の心理描写に着目して選ばれる傾向にあります。

清新な新人発掘を目的としている賞で、独創的な小説を求めています。島田雅彦が選考委員を勤めています。歴史と権威のある賞で、これまでもたくさんの有名作家を輩出しています。この賞は短編小説でも応募が可能です。受賞を逃しても、作家デビューのチャンスが与えられる場合があるので、挑戦する価値は大有りです。

『すばる文学賞』は、純文学のための賞ですが、エンターテイメント性のある小説も求められています。そのため、斬新な世界観やストーリー展開の小説が高く評価されます。受賞者の年齢は年々若くなる傾向にあり、10代・20代でも十分に受賞のチャンスがあります。『小説すばる』は女性の読者が多いので、その点も踏まえてテーマ決定をするといいかもしれません。

原稿用紙70枚から150枚で応募できます。他の文学賞と比べると短めの小説を募集している点が特徴です。また、第1回受賞者作品が石原慎太郎の『太陽の季節』であることでも有名です。選考に残るためには、正しい文章を情熱を込めて書くことに尽きます。5大文学賞の中では、最も芥川賞に近い賞だと言われています。芥川賞を目指すのであれば、文學界新人賞に挑戦するのも一つの手です。

これまで好きな作家やジャンルなどで小説を選んできた方も、これからは文藝賞受賞作品に注目してみるのもおすすめです。その年の最も斬新で最も優れた作品を意味する受賞作品ですから、刺激を受けること間違いなしです。ぜひ文藝賞受賞作品を読んでみてください。

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