今村翔吾さんの小説おすすめ10選｜代表的な歴史小説から2023年新刊まで紹介

今村翔吾は、今最も勢いのある若手時代小説家です。2016年にデビューしてから数々の受賞作品があり、2022年に『塞王の楯』で直木賞を受賞しました。時代小説の中の登場人物はどのキャラクターも魅力的で感情移入しやすく、面白いと評判の小説が多いです。

しかし、2016年から約5年間の間に数多くの作品が刊行されているため、初めて読む方は何から読んだらいいか迷ってしまいます。シリーズ物もあるので、シリーズは1作目から順に読んでいきたい人も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は今村翔吾の輝かしい経歴を紹介しながら、どのような小説があるのか紹介していきます。おすすめの小説も紹介しているので、読んでみたいと思っている人は是非参考にしてみて下さい。

今村翔吾は1984年京都生まれで、現在は滋賀県に在住しています。経歴は異色で、関西大学文学部を卒業後ダンスインストラクターの仕事をしていました。ちなみに、今村翔吾の父は、人気ダンスパフォーマンス集団「関西京都今村組」の創始者である今村克彦さんです。2012年に今村組であった美月さんと結婚されています。

作曲や守山市での埋蔵文化調査員などの仕事も経験しつつ、30歳になった2014年に専業作家となります。

2016年に今川氏真の生き様を描いた『蹴れ、彦五郎』で第19回の伊豆文学賞の小説・随筆・紀行文部門最優秀賞を受賞しています。さらに同年3月には『狐の城』で九州さが大衆文学賞の大賞を受賞し、順調なデビューを飾りました。

2021年まで多くの文学賞を受賞し、直木賞にもノミネートされていましたが受賞はならず、ついに2022年1月『塞王の楯』で直木賞を受賞しました。2022年5月からは全国の書店や学校などを巡り、講演やサイン会を行う今村翔吾のまつり旅を行いながら執筆を続けています。

今村翔吾の小説のほとんどは歴史小説です。子供の頃から池波正太郎・司馬遼太郎・藤沢周平など有名な小説家の小説を読んでいたため歴史小説を書くようになったようです。

歴史小説は、その時代を生きた人間の息づかいまで書かなくてはならず、そこを突き詰めると「なぜ生きるのか」のテーマは避けて通れません。今村翔吾は、「死を覚悟したときに残った思いがその人の真実の思いであり、人間の生が凝縮する1点を翔のが歴史小説だ」と語っています。

戦国武将松永久秀の人生を織田信長が伝聞役の狩野又九郎に語り聞かせる形で話は進んでいきます。一般的に松永久秀は悪人のイメージが強く、2度目の信長への裏切りを伝える中の話です。

しかし、久秀の少年時代が大胆に創作されることで、今までにない久秀像が浮かび上がります。己の正義を貫こうとし、戦国の世を駆け抜けた武将に胸を熱くさせられる物語です。

『童の神』は直木賞にもノミネートされた作品で、今村翔吾の代表作と言っても過言ではありません。平安時代の酒呑童子がモチーフで、京人から差別を受けながら生活を送っていた童を主体に物語が進んでいきます。

童を束ねる桜暁丸は父や故郷の人々を京人に滅ぼされ、復讐のため朝廷に戦いを挑んでいきます。差別のない世の中を求めて、どれほど追い詰められても桜暁丸たちが希望を紡いでいく物語です。

秀吉の配下となった7人の賤ヶ岳の7本槍と呼ばれた若者たちが、それぞれの視点から8本目の槍である石田三成について語られる。史実と虚構が巧みに使い分けられており、歴史の新しい一面を描き出します。

激動の世を生きた7人の生き様を描き、己の信念を貫き駆け抜けた8本目の石田三成を描いています。100年先1,000年先の国の姿を見据え、仲間を信じて突き進む物語です。

『塞王の楯（さいおうのたて）』は2022年直木賞を受賞した作品です。絶対に破られない石垣を作れば、世から戦をなくせると考えていた石工匡介と、どんな城でも落とす砲で人を殺せば恐怖で戦をする者はいなくなると考えた彦九郎の物語です。

最強の楯と至高の矛の信念を掛けた職人同士の対決です。人が争うのはなぜか、争いを始める者・争いを止める術はあるのかを考えさせられる作品です。

今村翔吾の初期から続く作品で、2022年7月現在で『火喰鳥』『夜哭烏』などの13作品がシリーズ作品です。かつて、江戸随一の武家火消しと謳われた松永源吾、別の名を火喰鳥と呼ばれた男の話です。5年前の事件により、火消しをやめていたがふたたび昔の輝きを取り戻すべく奔走していきます。

松永源吾は火消し組織の再建を要請され、ぼろ鳶組に集まった個性豊かな面々とどん底から這い上がっていく物語は必見です。江戸の町に住む人々と、再起を図る男たちの熱さを感じられる作品です。

くらましや稼業シリーズは、2022年7月現在『くらまし屋稼業』『春はまだか』など8作品がシリーズ化されています。訳あって姿をくらましたい人手助けする、銭さえ払えば神隠しにあったように逃がしてくれるくらまし屋の話です。

登場キャラクターも剣術に長けた者・智謀・変装の名人など楽しく、大胆で鮮やかに任務を遂行する姿が面白いです。ミステリー要素や冒険活劇要素も含みつつ、まるで映画を見ているような高揚感が味わえる作品です。

3巻完結予定のシリーズ1巻で、2022年2月の新刊です。カバー表紙に人気漫画家の石田スイのイラストが使用されているのも魅力的です。明治時代のデスゲームとネタ自体は王道で、最高のエンタメ時代小説です。

少々残酷なシーンがあるのもこれまでの今村作品とは違う箇所ですが、迫力あるバトルシーンなどは変わらないアクション・サスペンス時代劇です。

『恋大蛇　羽州ぼろ鳶組　幕間』は2022年3月に発行された新刊で、このシリーズ初めての外伝的短編集で、表題作の他に二編が収録されています。松永源吾ら黄金の世代が留守の江戸の町に、少し下の世代の3人が活躍する話です。

このシリーズは今だに人気が高く、この短編集も変わらず面白いと人気です。多種多様な火消しの姿が描かれ、個性豊かなキャラクターの群像劇としても楽しめる作品です。

今村翔吾の作品は大衆文学として非常に面白いものが多いので、かなり人気が高いです。口コミを紹介していきます。

今村翔吾の作品は勧善懲悪などスッキリするお話や熱くなる話が多く人気が高い作品が多いです。また、登場人物に感情移入しやすいようにキャラクターが立っているので面白いと感じる人が多かったです。

今村翔吾の小説はほとんどが時代小説ですが、どのような時代でも現代人の思いや悩みと通じる場面があります。現代人の忘れているものや時代劇の生死をかけた戦いの中で感じる人間の熱さを感じましょう。