馳星周さんの小説おすすめ10選｜犬をテーマにした作品が豊富！『少年と犬』など

馳星周さんは、『少年と犬』で第163回直木賞を受賞した作家です。他にも、馳さんは犬をメインにした物語を数多く著してします。馳星周さんご本人も犬を飼っており、作家活動の合間にお散歩に行く習慣があるそうです。

犬の物語以外でも、マフィアや歓楽街など裏社会を舞台にした物語は多くの読者からの反響を呼んでいます。馳さんが得意とするのはノワール(フランス語で『暗闇』)といわれるジャンルで、裏社会での人間ドラマをリアルな描写で描く作品です。デビュー作『不夜城』は、馳星周さんのノワール小説でも最も長く読まれ続けています。

この記事では、馳星周ワールドに夢中になれるおすすめの作品をジャンル問わずにご紹介してきます。ぜひ最後までご覧ください！

馳星周さんは、横浜市立大学在学中に新宿ゴールデン街のバーでアルバイトをしていました。卒業後は、勁文社の『グリーンドア文庫』の編集者とフリーのゲームライターを経て、1996年に『不夜城』で鮮烈なデビューを果たしています。

ゲームライターとしての経歴があるためか、人気ゲーム『龍が如く』シリーズのシナリオを手がけました。

馳星周さんのノワール小説の原点となったのは、デビュー作『不夜城』です。日本と台湾のハーフ・劉健一を主人公とし、彼が新宿歌舞伎町でさまざまな裏社会の人物と出会いながら繰り広げられるドラマが描かれています。

1998年に、俳優・金城武さん主演で映画化された作品です。

『不夜城』も、直木賞候補の1つでしたが受賞は逃してしまいました。しかし、吉川英治新人文学賞と日本冒険小説協大賞(国内部門)のタイトルを受賞し、馳星周さんがノワール小説の作家として名前を世に知られるきっかけとなります。

『不夜城』以外では、『夜光虫』『M』『生誕祭』『約束の地で』『アンタッチャブル』が直木賞候補に選ばれました。いずれも、惜しくも受賞は逃しています。

『不夜城』の刊行から23年の時が経ち、2020年に『少年と犬』がついに直木賞を受賞します。馳星周さんとご家族はもちろん、長年の読者の皆さんも大いに喜びました。

馳星周さんの作品は、マフィアや裏社会を描く作品が多いのが特徴です。人間の心の奥深くに眠る闇や欲望を、独自の世界観で表現しています。裏社会の人間模様や先の読めない展開に、思わず釘付けになる作品ばかりです。

ノワール小説と対をなすように、犬の物語も多数著しています。『ソウルメイト』『走ろうぜ、マージ』等の表紙になっている大きな犬種はバーニーズ・マウンテン・ドッグです。どれも犬と人間の魂のふれあいを描いた作品で、読者の心を温かくさせます。

犬とその家族を巡る7つの物語からなる短編小説です。余命わずかのバーニーズ・マウンテン・ドッグ、母の遺した犬を探しに震災後の福島へ向かう柴犬など、7匹の犬を主役にしてストーリーが構成されています。

犬を飼った経験がある人もない人も、犬と家族の強い絆に気づかされる一冊です。「犬はまさにソウルメイトである」というメッセージが込められています。

馳星周さんの経験を元に描かれた作品です。

ある年の夏、11年間連れ添った愛犬マージに悪性組織球症という病が見つかります。医師の診断によると、マージの余命は3ヶ月。馳星周さんは、「マージを酷暑の東京にいさせるわけにはいかない」との思いから、マージとの最後の時間を軽井沢で過ごそうと決めました。

馳星周さんの、マージへの深い愛がこめられた一冊です。

父を亡くし、母と確執のある女子中学生・雨音(あまね)は、山岳写真家の伯父・道夫のもとへ身を寄せます。道夫は、バーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルを飼っていました。雨音が、ワルテルや道夫などの登場人物とふれあい、心の成長をしていく物語です。

雨音のように、家族関係に悩みがある人におすすめです。きっと共感とヒントが得られます。

新興宗教団体「真・マントラ言の法」を率いる十文字源皇は、弁護士の幸田敏一と共謀して勢力拡大を図ります。しかし、十文字と幸田の前には多くの壁が立ちはだかっていく圧巻のストーリーです。

上下巻の長編小説シリーズなので、長く楽しめるのは間違いありません。馳星周さん独特の、ノワール小説の世界がワイルドに表現されています。

帝国陸軍特務機関所属・伊奈雄一朗と月を背負う男・大神明が、上海を舞台にして華族令嬢を巡って争いを繰り広げるダイナミックなストーリーです。

2人の前に立ちはだかるのは、各国の特務機関、戦闘集団や四天王はいずれも強力な敵ばかり。迫力あるアクションと、血のにじむような熱い戦いから目が離せなくなります。

強い怒りを感じる狼の表紙も印象的です。

馳星周さんのノワール小説は、最後まで目が離せないスリル満点の作品ばかりです。特に『不夜城』『生誕祭』の長編小説シリーズは、長くても一気に読めてしまうほど夢中になれます。ノワール小説が苦手な人も、犬の物語を読めばハートフルな気持ちになれます。犬を飼った経験がある人なら、共感できる作品ばかりです。多種多様な馳星周ワールドを、ぜひ楽しんでください。