【まずい？】粕取り焼酎おすすめ11選！獺祭・よろしく千萬あるべしなど｜飲み方も

焼酎の原材料には麦や芋などがよく知られていますが、粕取り(かすとり)焼酎は聞いたことがない方も多いかもしれません。それもそのはず、粕取り焼酎は流通量が少なく、店頭で見かけることが滅多にありません。とりわけ、今はコンビニやスーパーなどでお酒が手に入り、酒屋さんに行くことが少なくっているので無理もありません。

しかし、日本酒が好きな方ならぜひ試してもらいたいのが粕取り焼酎です。粕取り焼酎はくせの強いものやすっきり飲みやすいものがありますが、どちらも日本酒の旨味が凝縮された味わいと芳醇な香りで、飲みだすとハマってしまう人も多いのだそうです。

そこで、今回は粕取り焼酎の特徴や選び方・おすすめ11選を紹介します。飲まず嫌いな方も、飲んでみたいと関心がある方もぜひ参考にしてください。

粕取り焼酎は、日本酒製造の工程でもろみを搾ったあとに残る酒粕から、さらにアルコール分を蒸留して焼酎にしています。それゆえ、粕取り焼酎は日本酒の蔵元が製造しているケースが多いのですが、有名な蔵元や好きな銘柄の日本酒から造られる焼酎は人気が高くなっています。

味についてはのちに紹介する製法によって違いがありますが、搾りかすといえど酒粕にはアミノ酸などの旨味成分がたっぷりあるので、米の豊かな香りと奥行きのある味わいが楽しめます。

ネットで粕取り焼酎と検索すると、「まずい」「くさい」「質が悪い」などのワードがヒットする場合があり、敬遠している方も多いようです。粕取り焼酎の製法によっては、独特のくせを感じるので、好みが分かれるのは事実です。ただ、飲みやすく造られている粕取り焼酎もあるので、一概に飲みにくいイメージに当てはめられません。

粗悪なものでは？と思われているケースもあるようですが、これは戦後の闇市で出回った密造酒が「カストリ」という名称であったため、同じものと誤解されているようです。「カストリ」と「粕取り焼酎」は全く別物なのでご安心ください。

正調粕取り焼酎は、酒粕に米のもみ殻を入れて風通しをよくし、せいろの蒸留器で蒸留する製法です。江戸時代から続く伝統的な製法で、時間や手間がかかるため、この製法で造っている蔵元は限られています。

気になる味ですが、もみ殻特有の風味である苦みを感じ、無骨ながらも旨味がある上級者向けの味わいです。くせのある風味なので、初めはやや抵抗があるかもしれませんが、慣れてきたら「これぞ粕取り焼酎」と思わせる魅力があります。

吟醸粕取り焼酎は、酒粕に酵母や水を加えて再発酵させたのち蒸留する製法で造られます。雑味のない吟醸酒のフレッシュな華やかさがあり飲みやすいため、日本酒と焼酎どちらも好きな方や、粕取り焼酎初心者の方におすすめです。まずは吟醸粕取り焼酎を飲んでから、正調粕取り焼酎にチャレンジしてみるのもいいですね。

粕取り焼酎そのものの風味を味わうなら、やはりストレートです。酒粕を原料にしているので、日本酒を味わう感覚に近くなります。少しずつ口に含んで、鼻に抜ける香りや旨味を舌で感じられるよう、ゆっくりと味わってみましょう。また、全体的に度数が高めなので、チェイサーは用意しておきましょう。

ストレートで飲むにはちょっと、という場合は、氷を入れて少しずつ味の変化を楽しむのもおすすめです。できれば水道水で作った氷よりも、ミネラルウォーターなど天然水で作った大きめの氷で、ゆっくり溶かして飲みましょう。すっきりとクリアな味わいが楽しめます。

日本酒は熱燗で飲むように、粕取り焼酎もお湯割りとの相性がいいです。たちのぼる香りも楽しめます。割合はお好みですが、おすすめは半々か、お湯が6・焼酎が4です。作るときのポイントは、お湯を先に入れてから焼酎を注ぐところです。そのほうがお湯と焼酎がよく混ざっておいしく飲めます。

ソーダ割りは飲み方のなかで一番飲みやすいので、初めて粕取り焼酎を飲むときや、暑い時期などにおすすめです。炭酸のシュワシュワと弾ける泡とともに、すっきりとした爽快感を味わえます。ただ、粕取り焼酎のアルコール度数は一般的な焼酎の25度よりも高いので、酔いやすい面もあります。飲みすぎに気を付けましょう。

粕取り焼酎には、「正調粕取り焼酎」と「吟醸粕取り焼酎」の2種類があると先述しましたが、製法が違うと味わいが異なります。昔ながらの粕取り焼酎の風味や香りを味わってみたい場合は「正調粕取り焼酎」を選びましょう。

いっぽうで、くせがあるお酒に抵抗を感じる場合は、購入してから後悔しないためにも、飲みやすく造られている「吟醸粕取り焼酎」を選んだほうがベターです。販売店にもよりますが、そう試飲ができるものではないので、吟醸がおすすめです。

ワインやウイスキーのように、焼酎も熟成年数が長ければコクや深い味わいとなります。長くて30年や40年熟成といった焼酎もありますが、度数が高く値段も張ります。しかし、じっくり寝かせてあるぶん、まろやかでふくよかな味わいがたまりません。粕取り焼酎を日ごろから飲んでいる方にはおすすめですが、まずは3～5年熟成くらいからはじめてみましょう。

粕取り焼酎は、飲み方によって合うものを選ぶのもおすすめです。粕取り焼酎は割り方によって味が全く変わるため、水割りであれば軽くて華やかなもの、お湯割りであれば濃厚な味のものを選ぶのが粕取り焼酎のよさを存分に味わうことができます。

また、氷のみで飲むオンザロック・ソーダ割りには樽熟のもの、何とも割らずに飲むストレートでは熟成期間が長いものがいいです。好きな飲み方によってそれぞれ合うタイプの焼酎を選んでくださいね。

粕取り焼酎を贈り物にする場合は、名の知れた酒蔵や酒造りの盛んな地域の酒蔵が造っているものが喜ばれます。

また、産地によって味わいも違います。焼酎製造の本場である九州地方の粕取り焼酎は濃厚な味わいが多く、東北地方などは淡麗でキレのある味わいが多いです。それぞれ地方ごとの酒造りに基づいた特徴が焼酎に感じられます。贈る相手の好みを見極めて、銘柄を選びましょう。

吟醸酒と大吟醸酒の酒粕しか使わない「七田（しちだ）」は、毎年5月ごろに一度だけ数量限定販売されるため、無くなり次第終了する人気商品です。ほのかな甘みとフルーティーな吟醸香が鼻をくすぐる上品な味わいなので、初心者や女性にもおすすめです。

あの有名な日本酒・八海山の粕取り焼酎「宜有千萬（よろしくせんまんあるべし）」は、じっくりと時間をかけて減圧蒸留しており、本醸造の上質で新鮮な清酒酒粕をのみを使用しています。3年熟成の豊かな吟醸香とマイルドな口当たりですが、度数は高めの40度です。箱入りなので、贈答品にもおすすめです。

知名度も人気も高い獺祭の粕取り焼酎は、純米大吟醸酒の酒粕を使用した贅沢な逸品です。獺祭の華やかな香りと甘い果実様の味わいが、さらに凝縮されていると好評です。ただ、製造量があまり多くないため、入手が難しい場合があります。興味がある方は早めに注文しましょう。

新潟県の豪雪地帯である魚沼地方に構える青木酒造の「雪男」は、ネーミングやデザインもインパクトのある粕取り焼酎です。新潟の酒米「越淡麗」を100％使用した吟醸酒の酒粕のみを使用しており、吟醸香がふわりと香ります。ちなみに、製造は粕取り焼酎の本場である福岡県の西吉田酒造が醸しています。

端麗辛口の酒が多い新潟で、端麗旨口を目指している味わいは、米本来の旨味を存分に感じられます。

酒粕を蒸留し、シェリー樽とかめのそれぞれで熟成させた粕取り焼酎をブレンドして造られた「壱」は、酒粕の香りとシェリーの香りが見事に融合している新しい味わいが楽しめます。まろやかな味わいは、ストレートやロック、ハイボールなどさまざまな飲み方で楽しめます。

粕取り焼酎は、酒屋さんに置いてあれば味わいなどについて質問もできますが、取り扱いがない場合があります。購入するには酒屋さんに直接取り寄せてもらうか、可能なら製造元のホームページから直接購入しましょう。または、口コミも確認できるECサイトを利用するのもおすすめです。

粕取り焼酎は日本酒の酒粕から造られているため、和食との相性はバッチリです。くせが強めの正調粕取り焼酎を飲むなら、さっぱり・あっさりとした淡白な味付けの料理や鍋料理が合います。飲みやすい吟醸粕取り焼酎を飲むなら、熟成年数によってウイスキーのような風味があるため、チーズや洋風のメニューとの相性もいいです。

食中酒として飲まれる日本酒のごとく、粕取り焼酎もぜひ食事と一緒に楽しみましょう。

焼酎にも賞味期限があるのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実は、焼酎には賞味期限はありません。焼酎などの蒸留酒は、作る過程で不純物が取り除かれアルコール度数が高いお酒になり雑菌が繁殖することがないため、一般的には賞味期限をもうけません。

ラベルに日付が印字されている場合もありますが、その日付は瓶詰めをした日付です。開封後しばらく飲んでいなくとも腐ることはありませんが、だんだん酸化していき味は多少落ちていくので、開封後は早めに飲むことをおすすめします。

また保存する際には、日光・室内光を避け、できるだけ空気に触れさせず、冷蔵庫に入れずに常温で保存しましょう。

あまり注目されてこなかった粕取り焼酎ですが、現代風に改良されてずいぶん飲みやすくなっています。とはいえ、昔ながらのくせが強いタイプも昭和世代の根強いファンがおり、飲みやすいタイプは新たな世代に受けています。本記事をおさらいして、ぜひ好みに合う粕取り焼酎を試してみてください。