沈丁花の香水おすすめ5選！香りを楽しむ方法やポプリの作り方も

春風に乗って漂う沈丁花（じんちょうげ・ちんちょうげ）の香りはすばらしく、昔から庭木に植えられてきた人気の花です。沈丁花の咲く時期はちょうど別れや出会いのシーズンと重なるので、悲喜こもごもな記憶を呼び戻したり歌詞に登場するなど、誰もが嗅いだ経験のあるどこかエモーショナルな気持ちになる香りです。

その沈丁花の香りを再現した香水が欲しいと思っていても、あまり種類がないため存在を知られていなかったり、見かける機会が少ないかもしれません。沈丁花の香水に関する情報がないと、購入するにもためらわれます。

そこでこの記事では、沈丁花の香水について特徴や選び方、おすすめ5選を紹介します。また、香水の基本的な付け方や保管方法、沈丁花の香りを楽しめるアイテムなどもピックアップするので、ぜひ参考にしてください。

沈丁花は何種類かありますが、よく見かけるのは表が白色・裏が赤紫色のコントラストで、毬のような小花の塊が枝先で咲いています。中国原産の常緑低木ですが、夏のクチナシ・秋のキンモクセイと並んで三大香木のひとつとなるほど香り豊かで、遠くまで漂うため千里香の別名を持ちます。

香りの主成分はリナロールというスズランに似た甘い香気がありますが、全体ではなんと120種類の成分で構成されています。甘いけれどピリッと引き締まるようなあの独特な香りは、このように複雑な香気が融合して生まれると思うと、より魅惑的に感じますね。

かわいらしく香りのいい沈丁花ですが、花以外の樹皮や根・実などには毒性があるうえ、精油の抽出も難しいので天然の香料を使用したものは製造されていません。そのため、香水は沈丁花の香りに含まれている香気成分を利用した“沈丁花をイメージした香り”となります。

とはいえ、各メーカーの技術により香りの再現度が高いものがあるので、これから紹介する沈丁花の香水をぜひチェックしてください。

「パルファム」はフランス語で「香水」の意味ですが、英語では「パフューム」と読みます。香水の中では最上級の位置づけであり、メーカーによって異なるものの、一般的な濃度は15％～30％、持続時間は5時間～12時間と使用する香料などにより幅があります。

香水のなかでトップに君臨するパルファムは、高価な原料や濃度の高さゆえに価格もトップクラスです。しかし、少量でも豊かに香って長続きするところやパルファムへの憧れから、大人のたしなみとして1本は持っておきたい香水です。

オードパルファムの「オード」とはフランス語で“水”と訳しますが、香水においては濃度がやや薄いことを指します。濃度は約10％～15％、持続時間は5時間～12時間程度です。

パルファムよりも濃度や持続時間がやや劣るものの、実際の香りレベルはそう大差ありません。ただ、パルファムとオードパルファムとの線引きによって価格は変わります。オードパルファムのほうが若干求めやすいので、パルファムと同等の濃厚な香水を購入したい場合におすすめです。

オードトワレの「トワレ」は“化粧をする・身支度をする”と意味するので、直訳すれば化粧水です。もちろん顔に使用するものではありませんが、オードパルファムよりもさらに薄いものと理解しましょう。

そのため濃度は5％～10％、持続時間は2～5時間程度です。すれ違いざまなどにふわっと香るので、日常のどんなシーンでも一番使いやすく、種類も豊富です。

オーデコロンの濃度は1％～5％、持続時間は1～2時間と短いので、物足りない場合は途中で付け足す必要があるかもしれません。気分転換や少しだけ香りをまといたいときなどに向いています。また、価格が手ごろなので、香水デビューする機会にぴったりです。

以下、香水の種類別に濃度や持続時間についてまとめているので、改めて違いなどに注目してみてください。

スプレータイプはシュッと吹きかけて使用する、一番多くみられる形状です。香水がミスト状になって出てくるので、ワンプッシュで容易に広げられるうえ使いやすいところが特徴です。また、ブランドごとにデザインの凝ったボトルであるところも注目したいポイントです。パウダールームなどインテリアに華を添えます。

ロールオンタイプは、肌の上にロールをコロコロと転がすように香水を塗り付けます。香らせたい場所を定めて付けられるので無駄がありません。また、コンパクトなサイズ感なので、携帯して外出先などで手軽に付け直せて便利です。

練り香水は、ワックスやオイルなどに香料が練りこまれた固形タイプの香水です。ソリッドパフュームとも呼ばれ、手に取って肌になじませるようにして使います。香り方がやわらかくほのかなので、さりげなく香らせたい場合に適しています。

また、原料にアルコールを含んでいないので、肌にマイルドなうえ保湿もできるところが特徴です。

和の香水ブランド「武蔵野ワークス」は、日常で感じる懐かしい花の香りをテーマに、パフューマー自らフィールドワークを行いフレグランスを創り出しています。

四季に咲く花を香りで再現した“フローラル・フォーシーズンズ”シリーズの沈丁花は、最初にシトラスの爽やかさを感じ、ラストは沈香やムスクのしっとりと落ち着く香りです。控えめでありながらきちんと沈丁花をイメージさせる完成度の高さを感じます。

創業440年の歴史を誇るお香の専門店「香十」は、オリジナルオードトワレブランドも展開しています。“ジュエモン花HANA”の香りは、沈丁花の美しさを連想させる華やかさがあり、和の装いにも合います。

また、パッケージやボトルのデザインも高級感があるので、自分へのご褒美やギフトにも最適です。

自然素材にこだわったコスメブランドの「SHIRO」は、すべてにシンプルでナチュラルな心地よさを感じるコスメを展開しており、男女問わず人気があります。数量限定販売された“パウダーリリー　オードパルファン”は、可憐な沈丁花が咲く春を感じる爽やかな香りで、口コミでも人気となりました。

なお、こちらの“パウダーリリー　オードパルファン“は現在販売を終了しています。再販は未定のようですが、フリマサイトなどで入手が可能かもしれないので、気になる方はチェックしてください。

香水選びはなんといっても香りを確認するのが一番重要ですが、店頭で確認する場合は試香紙（ムエット）を使用しましょう。スプレータイプは空間にひと吹きすれば嗅げますが、香りが拡散してしまうので分かりづらいです。

可能であれば、肌の一部に直付けをするのがおすすめですが、香水に含まれるエタノールの刺激に弱い方は控えましょう。

ネット上で「沈丁花　香水」と検索すると、「くさい」などネガティブなワードがヒットしたり、香りについての口コミも賛否両論であったりと、いろんな情報に翻弄されてしまいがちです。そもそも沈丁花の香りそのものを使用した香水がないので、あくまでイメージした香りであることを忘れないようにしましょう。

沈丁花の香りに限らず、香りは個人によって好みが分かれるので、感じ方もさまざまです。あまり口コミに頼りすぎないことが大切です。

香水は付ける場所で香り方の強弱が決まる重要ポイントです。香水は揮発するので、体温が高い部分がより強く香ります。よって、肌の上から確認できるような血管の上にある手首や耳の後ろ、ひざ裏などがおすすめです。

また、付ける量は香水の濃度にもよります。「香水くさい」と思われないよう、先述のパーセンテージや持続時間なども考慮してみましょう。

香水は、どこに置くかで劣化を防げます。まず、原料であるエタノールは直射日光や人工的な光を嫌うため、温度変化の少ない冷暗所での保管がベストです。また、揮発性が高いため、キャップはきちんと閉めましょう。この2点を守れば、揮発や劣化のスピードを抑えられます。

いつでも手軽に沈丁花の香りを楽しめるアイテムとして、ルームフレグランスがあります。スティックから吸い上げて香らせるリードディフューザーなら、お部屋にやさしく漂わせられます。また、ルームミストやファブリックミストもあるので、香水よりもまずは間接的に試してみたいときにおすすめです。

生花の沈丁花の香りをそのままに閉じ込められるフレグランスとして、モイストポプリがあります。モイストポプリとは、塩を使用して花を保存する方法です。ここでは作り方をご紹介します。半分乾燥した状態のため、香りを長期的に楽しめるのでぜひトライしてみてください。

１．沈丁花の花を新聞紙などに広げて1時間程度乾燥させる

２．瓶の口まで花と天然塩を交互に詰めて、冷暗所にひと月保存する

ふたを開けたら濃厚な沈丁花の香りが立ちのぼります。キンモクセイで作るのもおすすめです。

沈丁花の香りは多くの日本人を魅了する、素敵な春の使者ですね。本記事で紹介した香水以外にも、心をつかまれる香水がきっとあります。そんなお気に入りの香りに出会えますように。