京極夏彦のおすすめ小説ランキング10選｜初心者向けのミステリーや代表作も

数々の作品がメディア展開され、推理小説ファンのみならず妖怪好きのかたまで幅広い年代層に支持を得ている京極夏彦作品。分厚いページ数と、長期刊行されているシリーズ作品から、敷居が高く読んだ経験がない方もいるのではないでしょうか。

推理小説として推理小説ファンをうならせる見事な構成をしているとともに、妖怪や魑魅魍魎、オカルトとしてカテゴリも深く掘り下げている作風が魅力です。一度読んでしまえば京極夏彦ワールドにハマってしまうのは間違いありません。

ここでは京極夏彦作品を選ぶ際のポイントや魅力について触れながら、京極夏彦作品のおすすめをランキング形式でご紹介していきます。京極夏彦作品を読んでみようと考えている方は、是非参考にしてください。

京極夏彦の作風の特徴は緻密に張り巡らされた伏線、科学や民族学、時にはSFまで利用した幅広いミステリーです。ページ数が非常に多いため読むのをためらう方も多い作家ですが、いちど読めばその世界観の作り込みに圧倒されます。

京極夏彦のデビュー作『姑獲鳥の夏』から始まるシリーズ作品。初めて京極夏彦作品を読む方はこちらのシリーズから入るのがベターといえるでしょう。主人公・中禅寺秋彦が中野で古本屋を営んでいるなか、宮司であり陰陽師でもあり「憑き物落とし」を行う「拝み屋」でもあります。

この「憑き物落とし」と同時進行で事件の解決をするという、ミステリー作品の中でもあまり見ない特殊な展開で進んでいきます。魅力的なキャラクターもてんこ盛り。オカルト要素抜群で進むストーリーにやみつきになること間違いありません。初心者の方はこちらのシリーズから読んでみましょう。

【百鬼夜行シリーズの読む順番】

• 第一作　姑獲鳥の夏（1994年）　
• 第二作　魍魎の匣（1995年）
• 第三作　狂骨の夢（1995年）
• 第四作　鉄鼠の檻（1996年）
• 第五作　絡新婦の理（1996年）
• 第六作　塗仏の宴 宴の支度（1998年）
• 第七作　塗仏の宴 宴の始末（1998年）
• 第八作　陰摩羅鬼の瑕（2003年）
• 第九作　邪魅の雫（2006年）

現在三刊が刊行されている京極夏彦のシリーズ作品。京極夏彦のシリーズ作品の中でも、男女の心情に強く焦点が当てられたものが多いです。シリーズタイトルのごとく、江戸を舞台に展開されてる物語で、いずれも天保の間に起こった事件という設定でストーリーが進んでいきます。

怪談の古典を組み立てなおし、換骨奪胎を図った作品でもありますが、元になった古典とは内容が大きく異なります。充分なおどろおどろしさを味わえるオカルト的側面と、京極夏彦のおなじみなミステリー要素、そして恋愛物語としても読めるという、てんこ盛りなシリーズ。シリーズ自体は話が連続しているわけではありません。初めての方にもおすすめできますが、ある程度京極夏彦作品を読んだ方にこそおすすめです。

人生で起こる厭なことに焦点を当てた連作小説。「世の中にはいろんな価値判断が存在するが、好き嫌いで決めている人が多いと感じだ。普遍的に存在する、嫌いというよりも厭といったものを拾えないか。」という構想からこのシリーズが生まれたそうです。

ミステリー的展開や、博覧強記のオカルト的知識だとかはほとんどありません。ただ、登場人物がひたすら妙に厭な目に遭遇してしまうという、気味の悪い作品。しかし、その気味悪さが不思議と癖になってしまうシリーズといえます。京極夏彦の変わり種的シリーズ作で、京極夏彦作品のファンにおすすめします。

数々の作品が映画化されている京極夏彦作品。京極夏彦の代表作である、『姑獲鳥の夏』も映画化されています。堤真一・永瀬正敏・田中麗奈など豪華な俳優陣で、見事に京極夏彦の世界観を描き切っています。

2時間程度の映画鑑賞で京極夏彦の世界観や作風を把握できるので、京極夏彦の作品を初めて読む方におすすめです。特に読書に慣れていない方は、映画で一通りの作品世界をつかんでからの方が読書しやすくなります。

漫画との親和性も高い京極夏彦作品。個性豊かでたくさんのキャラクターが作品を盛り上げる京極夏彦作品だからこそ、漫画との相性が高いといえるのかもしれません。

原作に忠実で視覚化されたコミック要素が面白いものばかりです。京極夏彦作品のファンはハマります。主に京極夏彦作品ファンでもある志水アキという漫画家によって書かれています。

その分厚さから「レンガ本」ともよばれる京極夏彦作品ですが、本をアコーディオンのようにもってその分厚さを誇示してるような描写は、ファンなら捧腹絶倒です。まずは、京極夏彦作品を読んだ方、ファンの方におすすめです。

京極夏彦作品はテレビドラマ化もされています。原作からテレビドラマ化したものもあれば、京極夏彦が提供したドラマ作品も存在します。「世にも奇妙な物語」も厭シリーズからでています。

以前ドラマを見た方は、その作品から見ればおおよそのイメージをつかめた状態で読み始めることができるでしょう。また、劇場公開されたアニメーション作品もあります。メディア展開されている作品はそれだけ人気であること、また、その作品の質が高いことが分かります。

ページ数がかなり多く有名な京極夏彦作品。その中でも短編集や連作小説であれば、さくっと読めます。基本的にその作品世界に没入して楽しむのが京極夏彦作品のスタンダードではありますが、通勤・通学の合間やその時々のシチュエーションに合わせて、作品の長さを選んでみましょう。

読書になれていない、ページ数の多い作品を今までに読んだ経験がないといった方は、短編作品から読むのをおすすめします。まずは、京極夏彦の作品世界がどんなものなのか、文体はどのように書かれているのかを把握すれば、すんなりと長編作品を読み進めていけるでしょう。

長編作品が多い京極夏彦だからといって、短編作品の魅力がないわけでははありません。短編でも十分に面白い作品が数多くあります。最初の一冊は短編、その次からはシリーズといった読み方をすれば、京極夏彦作品を楽しめるといえます。

初めてページ数が多い作品を読む方で、その作品が京極夏彦であるといった方は幸運といえるかもしれません。なぜなら、そのページ数の分だけ京極夏彦ワールドに没入でき、味わったことのない読書体験ができるといえるからです。

長編作品、とりわけシリーズ作品は、すでに京極夏彦作品を読んだことのある方や、普段から読書をしている方におすすめします。初めての方はそのページ数で委縮することなく、読んでいけば意外と読み切れてしまうことが分かります。

マンションでの凄惨な殺人事件。殺されてしまった鹿島亜佐美。そして、その女性を知りたがる主人公のケンヤ。鹿島亜佐美とは4回ほどしかあったことのないケンヤでしたが、それでも何かを知りたがる奇妙な冒頭から始まり、ミステリアスが漂います。鹿島亜佐美の関係者から話を聞く一方で、関係者たちが口々に不平不満を口にしていきますが…

幽霊・オカルト現象などはない、京極夏彦作品の中でもイレギュラーな展開の作品です。人間の内面のおそろしさに焦点を当てた作品です。読んでいくうちにタイトルの意味が分かってくる、じわじわとした怖さが好きな方におすすめです。

新選組・土方歳三を主人公にした歴史小説。もし、土方歳三が人殺しを目的とする、人が殺したいだけの人物であった場合、このようになっていたのではないか、といった設定で新選組の物語を再構築した歴史小説になっています。

人を殺めることに執着していく、新選組の様相を描いています。もちろん、これは再構築された物語、フィクションではありますが、その真にしまった展開には思わず息をのんでしまいます。新選組を好きな方にもおすすめできますし、新選組について知らない方にも、作品中で新選組のことを一通り理解することもできます。ページ数は多いですが、読んでいく中でのめりこめる、すばらしい傑作です。

京極夏彦作品シリーズの『どすこい。』の登場人物のスピンオフ作品。最底辺の小説家・南極夏彦による、パロディあり、ブラックユーモアあり、なんでもありのギャグ小説。南極と編集者たち、個性的なキャラクターたちの掛け合いが面白い全8編のスピンオフ短編集。

ミステリーや怖い物が苦手な方におすすめです。読む前に『どすこい。』を読んでおけばさらに面白いですね。次から次へと矢継ぎ早にさく裂するギャグがツボにはまる怪作です。京極夏彦作品のなかでも特に笑える、コメディに特化した作品となっています。肩の力を抜いて読みたい方におすすめしたい一冊です。

人を驚かせようとしても、なかなか驚かすことのできない可愛げのある妖怪・豆腐小僧。自らの存在理由を問うため旅に出た豆腐小僧、道中で様々な妖怪などに出会い、成長をしていくストーリー。

2011年にアニメーション映画としても話題になった本作。かわいらしい妖怪が主人公で、軽い語り口で進行していくストーリーは手軽に読むこともできますね。オカルトや妖怪、江戸の知識が豊富なのも魅力的です。ホラーが苦手な方も妖怪に親しみが持てる素敵な作品です。京極夏彦作品がはじめてのかたにもおすすめしたい一冊です。

様々な「厭」なことをテーマとした全7編の短編作品。すべての作品に傍観者的存在で登場する深谷が、厭な事件、厭な出来事を目撃していきます。ついには深谷自身に厭な出来事が起きてしまうのですが…

とにかく厭な感情を催す短編集。だからといって作品がよくないというわけではありません。人間の「厭」と感じる部分を刺激するそのテクニックは素晴らしいの一言に尽きます。物語のディティールやキャラクターの設定に妙なリアルさがあり、そのリアルさが私たちの身の回りに起こったような出来事として錯覚できるような作りもいいですね。初めての方にはおすすめできませんが、往年のファンや、ホラー好きにはおすすめです。

すべての作品に力士が登場する異例中の異例の短編集。名作のパロディ×力士という、空前絶後のシチュエーシュンから繰り出される、笑いなしでは語れない傑作短編集。次々と登場する力士から地響きがしてくるような作品です。

パロディ作品というのはよく耳にし、目にしますが、パロディしただけでなく力士まで登場させるというひねりを加えた捧腹絶倒の短編集となっています。読むだけで本当に面白いんですよね。京極夏彦ファンだからこそ笑える部分もありますし、初めての方もそのユーモアさは笑わずにはいられないかと思います。コメディ小説好きにおすすめしたい一冊です。

江戸末期、元号は天保の数年間を描いた時代小説。江戸で起きるなんとも複雑で解決しにくい諸問題を、妖怪の仕業とすることで解決を図る小悪党を描いた作品。

テレビドラマ化、アニメ化、漫画化もされた京極夏彦を代表する作品シリーズ。ミステリー的展開ではあるものの、妖怪の仕業と見立てて解決していく内容になっています。江戸の情緒あふれる情景描写や、妖怪や江戸についての豊富な知識、そして魅力あふれるキャラクターが素晴らしいですね。はじめての方に是非おすすめしたいシリーズ1作目です、

近未来の世界では、ヒトとヒトとのコミュニケーションが希薄になっていました。完全な管理社会によって統制された社会でのなかで起こる少女をターゲットとした殺人事件。SF的世界観とミステリが掛け合わされ少女によるバトル展開のひねりがくわわった作品。

京極夏彦は過去を舞台とした作品や、ホラーの世界観が強い作品が多いのですが、目うzらしくSFを取り扱った作品が本作となります。SFの王道的設定でありながら、バトルあり、少女あり、ミステリーありで展開していくストーリーは爽快感が強くエンターテイメント性も高いですね。SF好きにもおすすめしたい作品です。

「お岩さん」で有名な四谷怪談を、京極夏彦に換骨奪胎を図り再構成した作品。至極まじめで有名な浪人の伊右衛門は、あることがきっかけで、お岩さんという女性と婚約するというストーリー。顔に疱瘡がありながらも懸命に生きるお岩さんと伊右衛門の恋の行方は…。

ジャパニーズホラーの定番、四谷怪談のお岩さんですが、ラブストーリーで再構成したのが本作となっています。情緒ある江戸の情景描写とともに、二人の恋の行けに焦点が当てら廷ます。元となったお岩さんとの物語とはまた違ったおそろしさと、読む進めていくたびに切なさを覚える展開は素晴らしいですね。

古本屋を営みながら、宮司でもあり陰陽師でもあり「憑き物落とし」を行う主人公・中禅寺 秋彦のもとへ親友の関口が訪れます。「二十箇月もの間子供を身籠っていることができるのだろうか」唐突に始まるミステリアスな展開から、魅力的なキャラクター達が繰り広げる京極夏彦の代表作。

京極夏彦といったら間違いなくこの一冊でしょう。京極夏彦の博覧強記のすさまじさをうかがえる知識量、オカルト要素あふれる展開、独特の世界観とミステリーの数々は時間をわすれさせてくれます。ラストの展開も素晴らしいですが、デビュー作でありながら完成された京極夏彦ワールドを味わえる傑作です。

京極夏彦の創作意欲はデビュー当時から衰えを知らず、2022年も以下の新刊が発行されています。最新作が気になる方は、ぜひお手にとってみてください。

• ひどい民話を語る会 ビジュアル＆デザインで愉しむ　京極夏彦の世界
• 遠巷説百物語 (C★NOVELS 73-9)
• ホラー・ミステリーアンソロジー 『魍魎回廊』 (朝日文庫)

ここまで京極夏彦作品のおすすめをランキング形式でご紹介していきました。分厚いページ数でなかなか手に取れない方も、京極夏彦作品を選ぶ手助けになれたのなら幸いです。ぜひこの機会に京極夏彦作品を手に取ってみましょう。