これだけは押さえたい！人気の山本直樹作品のおすすめランキング１０選

青年・成人漫画の第一人者ともいえる山本直樹。1991年に著書である『BLUE』が東京都の青少年保護育成条例で有害コミック指定を受けてしまいますが、その後もその作風を変えることなく作品を発表し続けます。

山本直樹のルーツは、両親が教師で教育課程の中を育ちながらも、子供のころから「ハレンチ学園」という雑誌を読みふけ、同時に筒井康隆のSFにも興味を持ち読書を続けていることにあります。ストーリーそのものが文学的様相を帯びることにつながっていったのでしょう。

現在にも通じるメッセージ力の高さとストーリーの力強さは、漫画好きであれば必見ですね。ここでは、山本直樹のおすすめをランキング形式でご紹介していきながら、山本直樹の魅力についても触れていきます。

どの作品も根底には、家族のドラマや愛についてなどの問いが隠されているのですが、表面的にはエロスや狂気などがあります。過激な描写が人を選んでしまうところがありますが、比較的短い作品もありますので、読み切ってしまうと、案外読みやすかったりもしますね。自分の好きなジャンルや、その時の気分によって読み分けていきましょう。

山本直樹の作品はおおよそ、10～20代の若い世代が主人公となります。過激な描写とともに、その繊細な心の動きを細かにとらえていくストーリーテリングは共感を呼ぶところが多いのではないでしょうか。好きなジャンルから読めば、すんなりと読めるといえるかもしれません。

胸にぽっかり穴が開いてしまったような青春漫画が多い印象を受けます。ついつい、過激な性描写に目がいき、それが山本直樹の唯一のセールスポイントなのだと勘違いされることは多いのですが、そこから紡ぎだされる、男女の恋愛あるいは友情が揺れ動くストーリーこそがセールスポイントだといえます。

また、シリアスな展開の青春漫画もありますが、ラブコメもまた山本直樹の魅力の一つといえるでしょう。シリアスな展開もありながらユーモラスな事件やキャラクターが、ほっとさせたり、懐かしさを醸し出すようなかんじですね。

今、青春を送っている方というよりも、青春を懐かしく思える世代におすすめしたいジャンルとなります。

若い時に筒井康隆のSF小説を読んでいたこともあり、設定が現実とは違った作品もあります。そしてそういった作品の場合は、閉鎖空間で交わされる人間関係に焦点を当てている場合が多いです。

ファンタジーのような様相を呈していると思いきや、シリアスになっていくという展開が多いですね。その閉鎖空間の中で男女がどのような行動を起こし、どのような感情が吐露されていくのか、ありそうでなかったストーリーテリングは目を見張るものがあります。SF好きにもおすすめしたいジャンルとなっていますね。

2010年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した『レッド』は、革命や抗争をとりあつかった作品です。このように、思想などを取り扱っている作品もあります。人間ドラマ、シリアスを得意とする作家だけあり、非常にリアルな描写が多く見られますね。

こういったジャンルでも、若い世代を取り上げることが多いですが、他のジャンルと異なる点といえば、群像劇の構成をとっているということでしょうか。

より多くの人間関係を描き、さらに奥深くなったストーリーが楽しめます。人間の思想に興味のある方や、思索にふけりたい方におすすめです。

多くの作品がメディア展開されている山本直樹作品。すでに映像化されている作品を見た方もおおいのではないでしょうか？もし先に鑑賞されている方は、その作品を読んでみてもいいかもしれませんね。映画とは違った原作作品の魅力から、山本直樹作品のよさがわかるかと思います。

また、メディア展開されている作品は、それだけ話題をよんでいた作品、あるいは人気作品ということもうかがえますよね。メディア展開されている作品から読んでみれば、期待した分だけ楽しめることかと思います。

山本直樹作品には、連載されシリーズ化されている作品もありますが、短編が収録されているものや上下巻になっているものもあります。とりあえず試しに読んでみたいという方や、山本直樹作品の世界観に没頭したいという方まで、その時の気分や状況に応じて読み分けていきましょう。

山本直樹作品には上下巻で完結しているものや、いくつかの短編がまとまった短編集が存在します。ほかの漫画家と比べると、そういった短い作品が多い印象がありますね。サクっと読んで山本直樹作品の雰囲気を味わってみるのもいいかもしれません。

特に初めて山本直樹作品を読む方は、まず短編集から入るのがおすすめといえるでしょう。よくまとまった傑作が短編集に組まれることが多く、作品ひとつひとつが山本直樹の作風と魅力を十二分に伝えているからです。往年のファンも再発見ができるともいえるかもしれません。

長編シリーズ化、ナンバリングされている作品といっても、何十巻にもわたる作品はありません。それだけ短くまとめられており、読みやすくなっているといえるでしょう。過激な性描写などが多いので、読んでいると少し疲れてくるかもしれませんが、慣れれば一つの表現であり、また魅力とも思えるので気にしなくても大丈夫といえますね。

短編と異なる点は、より深いテーマに切り込んだ作品が多いことです。エッジのかかったストーリーから読み取れるメッセージは現代の私たちにも深く刺さります。より奥深いテーマを感じたい方におすすめです。

山本直樹作品を大別するとまさに暗い雰囲気、明るい雰囲気と分けられるといえるでしょう。比率で言えば暗い雰囲気のものが多いのですが、ラブコメといったジャンルでは明るい作品もあるので、読むときの気分に応じて選んでいければと思います。

社会的テーマや、普遍的テーマでストーリーを構成することが得意な山本直樹。それゆえ、どうしても暗い雰囲気になることが多いですね。

そのシリアスさこそが山本直樹の作風の良さともいえます。また過激な性描写もありますが、そういった描写は飾りではなくテーマへと導くものであったりもします。

深く思索したいかた、人間とはといった普遍的な問題に取り組みたい方は一読の価値がありますね。漫画というと、どうしても軽く見られる風潮がありますが、山本直樹作品は文学ともいえるような奥深さが味わえます。

比率で言えばそこまで多いとは言えない明るい雰囲気の作品。ですが、ラブコメや青春系のジャンルであれば明るい雰囲気の作品も存在します。とくにラブコメを選ぶといいかもしれませんね。

底抜けに明るい、コメディ色が強いということではないのですが、過ぎ去った青春を懐かしく思い出したり、また過去の恋愛に思いをはせたりなどしたいときにこういった雰囲気の作品を選ぶと楽しめることかと思います。

徐々に山本直樹作品の魅力である、喪失感や寂寥感、シリアスといったのも楽しめれば、山本直樹ファンといえるでしょう。

萬世院高校への入学を決めた主人公かもしだ。しかし、入寮するはずの男子寮が取り壊されてしまい、ひょんなことから沖津要という女の子と一緒の部屋で暮らすことになりました。調子がよく、ダメなところも多いかもしだと、その周囲が巻き起こすラブコメ作品。

山本直樹作品の中でも楽しく読めるラブコメ作品。山本直樹作品ではおなじみな性的展開や、恋愛模様も見られ初めての方でも入りやすい漫画といえるでしょう。主人公かもしだのキャラクターとしての魅力も存分にたのしめる一冊。まずはここからとおすすめしたくなる作品です。

山本直樹が自らセレクトした、今ままでの短編をまとめあげた短編集。表題作『明日また電話するよ』は、地方の高校の同級生である男女が、あるきっかけで東京で合うことになり、夜をともにする関係に。二人で住む場所をみつけようとするも、お互いに一緒になれない気持ちを抱きながらも…。

男女の関係を俯瞰的に、砂のように乾いた目線で描いている短編集。性的な描写が多いのですが、それが欲情を誘うといったことがなく淡々と描かれている様子はアンニュイな印象を与えています。

その分、表面的な性描写ではなく、作者のメッセージがより伝わりやすくなっているかと思いますね。読みやすいという点ではじめてのかたにもおすすめします。

主人公の堀田は「仕事場」、「神殿世界」、「過去」といった並行世界であらゆるカオスを経験します。山本直樹作品の中でもかなり性描写が描かれている本作。そして山本直樹作品の中でも最も難解な作品でもあります。

山本直樹作品の中でも特に設定が複雑な作品。非常にカオスな展開と過激な性描写で見る人を選ぶ作品ですが、それだけ山本直樹の魅力が詰まっているともいえるでしょう。

エロティックにズームしているというよりも、SF、ダークファンタジーのような世界観にズームしているともいえます。漫画「ベルセルク」が好きな方はきっと楽しめるかと思います。

舞台は80年代の日本。貧乏劇団のスタッフである主人公スエキチは、ひい爺さんにあたる大吉の葬儀の翌日、自宅で目をさますと隣には裸の美女が。すぐに姿を消す女、大吉の遺産4億5千万の受取人になることが決まったスエキチ、テンポアップな展開がたのしいラブストーリー。

ギャグ要素もちりばめながらも、テンポが楽しい展開やイベントも盛りだくさんのラブストーリーです。

ハチャメチャな展開ながらも、うまくすべての伏線を回収しラストに意外性をもってくる、すべてをたったの4巻でできてしまうことに驚きの作品ですね。個性的なキャラクターも楽しめ、娯楽作品に仕上がっています。往年のファンもはじめてのかたにもおすすめしたい作品。

主人公・全田巽は父親が倒れたため、父親が営んでいる全田葬祭を引き継ぐことにしました。幼馴染の双子・海野諸葉と一葉。全田巽ともつれあっていく恋愛関係が魅力的なラブストーリー。

全田巽と婚約関係にある姉・一葉と、一度はあきらめたはずの妹・諸葉がおりなすラブコメ作品。

奇妙な三角形を題材に選んでいるので、シリアスな面が強いかと思いきや、案外コメディの要素も強く、山本直樹独特のセンスとテンポでストーリーが痛快に進んでいきます。魅力的なヒロインだけでも一読の価値がある本作。普段ラブコメ作品を読まない方にもおすすめです。

表題作『BLUE』を含めた6編の短編がつまった短編集。主人公・灰野は学園祭が行われているときに、屋上で九谷エリという女の子と出会います。そこで彼女から手渡された青い薬。それは興奮剤でした。灰野を誘う九谷エリ。エリートそうな見た目の彼女とは思えない大胆な行動から起こる展開とは…。

山本直樹作品の中でも特に知名度のある作品。ほかにも短編が収録されており、そちらも非常に秀逸な作品ばかりです。

表題作『BLUE』は非常に性描写が多いのですが、それだけが売りではありません。10代のころにしか感じれなかった青春が詰まっており、どこか胸に穴が開いたような感覚を味わえる傑作です。

漠然とした何もない空間に佇むヒロインのミナミ。ミナミという名前はそんな場所で出会ったニシとヒガシという男からとられたものでした。謎の男リアルマン、お笑い芸人であるアイとマコト、不思議な世界観と、個性的なキャラクターが織りなす独特な世界観が魅力的な作品。

山本直樹作品でも特に幻想的な世界観が特徴的な作品。SF・ファンタジー作とくくってもよいのではないでしょうか。

はっきりと描かれているわけではない世界観や、一見難解な展開もその世界観にハマればサクサクよめてしまうかとおもいます。読みやすいという点では初めての方にもおすすめです。

どこか閉塞感がただよう田舎町を舞台に繰り広げられるラブストーリー。主人公灰野は、同級生の新井と付き合っていました。

ラグビー部ではナンバーエイト、自分自身は恵まれていると思っていながらもどこか窮屈さを覚えている灰野。そんな中、高校のOBで新しく高校の教師として赴任してきた伊沢が、灰野家に下宿しますが…。

山本直樹作品の中でも、寂寥感を味わえる名作。閉鎖空間という山本直樹の得意な設定から浮き上がる男女の関係が秀逸に描かれていますね。まだ青臭さが残る高校生の恋愛が、大人になった読者に突き刺さる、切ないラブストーリーです。

無人で、コミューンのような共同生活を営む3人。3人は「ニコニコ人生センター」とよばれる宗教団体に所属していました。「孤島のプログラム」とよばれる計画に乗っ取り、無人島で暮らす3人は、次第に理性が壊れ始め暴走していくのですが…

コメディとも、ラブストーリーとも、SFともとれる山本直樹の傑作。閉鎖空間という設定を十二分に活用し、展開されるストーリーは見事です。オウム真理教からヒントを得たという、ストーリーテリングが3人のキャラクターを際立たせています。

不思議な設定から展開していくストーリーが好きな方、狂気や暴走といった展開が好きな方におすすめです。

1960年代から1970年代にかけて起きた、学生たちによる新左翼運動を、群像劇的にとらえた作品。大学でのデモやバリケードの当時の学生運動から、ゲリラ闘争へ傾いていき、ついにはあさま山荘事件へと至る激動の時代を描いた傑作。

キャラクターの良さや、展開の妙といった山本直樹の得意な分野から、群像劇的であり時代を正確に描写した魅力が光る一作。

ほとんどノンフィクションと称しても良い描写は息をのむ素晴らしさです。2010年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した作品でもあります。淡々とした山本直樹の視線が、当時の時代背景とマッチしたすばらしい傑作です。

ここまで山本直樹作品のおすすめを紹介してきましたがいかがでしょうか？そのエロティシズム溢れる作風から男性人気が高いと誤解されがちですが、女性にもおすすめできるすばらしい作品が多くありますので、一度読んでみてはいかがでしたでしょうか？選ぶ際のポイントを踏まえ、自分にあったお気に入りの一冊を選べるといいですね。