森絵都の人気おすすめランキング11選｜作品の魅力は？中学生から大人向けも

どこにでもいる普通の少女・紀子の小学3年から高校3年まで、9年間の物語が描かれています。黒魔女のように恐ろしい担任との闘い。ぐれかかった中学時代。バイト料で買った苺のケーキ。

こてんぱんにくだけちった高校での初恋など、女性なら共感できるであろう微妙な心情が巧みに描かれています。涙あり、笑いありの優しい作品なので、硬い小説が苦手という方にもおすすめです。

天然石を売る店で働く25歳の独身女性・柏原野々。厳格な父の教育に嫌気がさし、成人を機に家を飛び出します。その父も亡くなり、四十九日の法要を迎えようとしていたとき、生前の父と関係があったという女性から連絡が入る。

柏原家にとっては驚天動地の一大事。真偽を探るため、野々は父の足跡を辿ります。森絵都が大人たちの世界を初めて描いた、心温まる長編小説です。自分の人生を見つめ直そうと思える作品。大人だからこそ読みたいと思える一冊です。

ピアノ教室に突然現れた奇妙なフランス人のおじさんをめぐる表題作の他、少年たちだけで過ごす海辺の別荘でのひと夏を封じ込めた『子供は眠る』、行事を抜け出して潜り込んだ旧校舎で偶然出会った不眠症の少年と虚言癖のある少女との淡い恋を綴った『彼女のアリア』。3つの作品を集めた短編小説です。

シューマン・バッハ・サティ。3つのピアノ曲の調べにのせて、多感な少年少女の「あのころ」を描きます。13歳・14歳・15歳の中学生に特におすすめ。贈り物としてもおすすめの作品です。

こちらは、9つの物語が描かれた短編集になっています。登場人物に「自分革命」を起こすために親友との縁を切った女子高生や家系に伝わる理不尽な“掟”に苦悩する有名女優など様々な内容が散りばめられています。

大人の恋愛や10代の若者の感情表現など表現力が際立って描かれている物語が並んでおり、読者の感想としても「森絵都らしい」「巧いとしか言いようがない」など、森絵都の実力を存分に楽しめる作品となっています。

やはり森絵都の1番の魅力は短編集にあると言い切るほど惹かれるものがあり、それは読めばわかると誰もが口にすることでしょう。きっと手に取った方は、なるほどと思わず口に出さずにはいられないはずです。

9年前に家族を事故で失った環は、大学中退後に退屈な日々を送っていました。そんなある日、仲良くなった方からもらった自転車をきっかけに異世界に誘われてしまうことになります。そこには、事故で亡くなったはずの人たちが暮らしていました。

やがてとある事情によって自転車を手放すことになってしまうものの、家族に会いたい一心で自らの足で走っていく決意をします。ですが、悲しみと苦難が待ち構えている環がどうやって乗り越えていくのか、ただ過ごす日々だった環の立ち向かう姿と成長が見所です。

なにかをきっかけに大きく変わるのは、若いうちの特権かもしれません。その変わっていく姿を見るときは感動するものです。きっとこの本を読んだ後には、どこか前向きな気持ちになっているでしょう。

女子中学生が主人公で出会いとそこにまつわる出来事をきっかけに心が百合動くストーリーとなっており、がっつりと青春を感じられる作品となっています。

あらすじとして、親友との喧嘩や不良グループとの確執など毎日の出来事から主人公のさくらは憂鬱に感じてしまいます。ある日、人類を救うべく宇宙船を開発している不思議な男性、智と出会うことで事件に巻き込まれてしまいます

児童文学というカテゴリとはいえ、少し重たい内容が含まれてはいますが、多感な中高生に見てもらうと読書に熱中するいいきっかけをくれる本です。大人が読んでもじんわりと懐かしい気持ちに立ち返ることができるでしょう。

第4位は、直木賞受賞作品の風に舞い上がるビニールシートです。やはり森絵都の評価の高い短編集となっており、6つの物語からできています。大まかな要素として、日常を取り上げた物語が多く、ストーリー性よりも主人公の気持ちに焦点を当てて読みたい1冊です。

ストーリーに登場するそれぞれの主人公たちは自分の「大切なモノ」を持っており、読者は主観ではなく心を空っぽにして、主人公に自分を投影して読み進めることでこの本の良さをよりダイレクトに感じられます。

第3位は、第31回講談社児童文学新人賞、第2回椋鳩十児童文学賞の2つを受賞したリズムです。デビュー作にして、代表作と言えるほどの作品を作り上げた森絵都の才能の早熟には驚きを隠せません。

中学1年生の女の子、さゆきが主人公となっています。そのさゆきの両親が離婚するかもしれないという出来事から物語が始まり、近所に住むいとこの真ちゃんや学校のクラス、担任など周囲の出来事がさゆきにたくさんの思いを抱かせます。

多感な年齢で迎えた出来事でのさゆきの繊細さや感性、そして成長するところがとても見所でしょう。もしかすると、読者も同じような体験があり自分を重ねてみることができるかもしれず、それほど日常的なテーマであるにも関わらず、熱中してしまうものがこの本にはあります。

第2位は、DIVE!!ですが、映画化やアニメ化、漫画にもなっていることからご存知の方も多いことでしょう。それほどとてつもなく面白い作品となっています。また第52回小学館児童出版文化賞も受賞しており、誰もが納得する仕上がりです。

主人公の坂井知季が通うダイビングクラブは赤字経営によって存続の危機に陥っています。その窮地を救うべく現れた救世主の新コーチ・麻木夏陽子が提案したクラブ存続の条件はオリンピック出場という途方もないものでした。

そんな突飛な展開から物語が進むわけですが、競技に関する熱さも楽しめることはもちろん、男子ならではのくだらないやりとりなんかも描かれています。女性作家であるにもかかわらず妙な驚きを体験できるのも面白みのひとつでしょう。

映えある第1位は、カラフルです。第46回産経児童出版文化賞を受賞した今作品は映画化、劇場アニメ化、ラジオドラマ化と多方面で展開されています。高校生が選んだ文庫ナンバー1に選ばれるなどその人気の高さがよくわかります。

「おめでとうございます! 抽選にあたりました! 」 という一言から始まるのですが、おめでたいものなのか、生前の罪により輪廻のサイクルからはずされた主人公の魂が抽選にあたり、チャンスを得たという設定になっています。

命に関する話がでるため内容はシビアなものですが、設定と口調がとてもコミカルで重たさは全く感じられず、そのいい意味でのずれがまた面白いところでしょう。スタートも展開の途中もゴールそのものもすべてがテンポよく、しかも面白く、誰かに勧めたくなる1冊です。

主人公はチョコから生まれたチョコたろうという表紙のキャラクターです。旅の最中に出会う人たちにチョコを配っていくというお話です。愛らしいキャラクターとほんわかとしたストーリーで幼児期の中でも小さい子供向けです。

桃太郎や金太郎のような有名なキャラクターと比べると戦うようなものではなく、平和に溢れた作品となっています。優しい気持ちに包まれる温かい作品ですが、そこに作者の伝えたいことが現れていますね。

絵を手がけているのは青山友美さんで、ご自身でも絵本を出されています。森絵都さんの伝えたいことをチョコたろうというキャラクターにマッチングさせ、絵で表現しっかりと表現されています。

東日本大震災で起きた原発事故後、警戒区域内に取り残された牛と牛飼いたちの話を作者が強い思いで作り上げた絵本です。

絵本であるからこその強いメッセージ性を感じ取れる作品となっています。もちろん強いテーマであることも理由のひとつですが、森絵都さんの思いがダイレクトに伝わる作品となっています。

子供だけでなく大人も知るべき事実が載っており、大人だからこそ知った上で何ができるかを考える必要があります。東日本大震災の傷跡が10年たっても深く残る福島に今の日本が考えなければならない問題が提起されています。

シンプルながらも奥深い、大人になっても悩みの尽きない自分について考えさせられる内容です。小学校中学年から高学年向きで、道徳的なニュアンスを持ち合わせている印象を受けます。

主人公は男の子で兄と妹の3人兄弟の5人家族の構成になっています。「ぼく」という軸をもとに話が進み、世界に「ぼく」は「ぼく」だけ、という当たり前のような当たり前ではないような感覚を得ていきます。

ストレートに個性が大事のようなメッセージ性はなく、ふんわりと優しくささやくような呼びかけがあり、そこで読者に考えさせるような形となっています。安易に結論を出さないところも子供に考えさせたいと思う場合は、おすすめできるでしょう。