福岡県立明善高等学校卒業を卒業後、西南学院大学文学部外国語学科のフランス語専攻を卒業しており、学生時代から語学に興味があったことがうかがえます。
卒業後は地方紙記者、そしてラジオニュースデスク等を経て、2005年に江戸時代元禄期の絵師だった尾形光琳と陶工尾形乾山の兄弟を描いた「乾山晩愁」という作品で、第29回の歴史文学賞を受賞し、作家として名を広めます。
歴史小説や伝記小説を主に執筆しており、歴史文学賞や直木賞といった数々の賞を受賞しています。2017年に亡くなるまでに発表されて作品は膨大で、比較的短期間での作家活動にかかわらず、発行数は他の小説家に引けを取りません。
葉室麟の書いた小説はたくさんあるため、普段小説を読み慣れていない方や、時代小説に挑戦してみたいという方におすすめの選び方を紹介します。
「直木賞」という言葉は普段小説をあまり読まない方でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。出版社の文藝春秋社の社長、菊池寛が名作家で親交があった直木三十五の活躍をを記念し、芥川龍之介賞とともに昭和10年に企画されました。
直木賞の対象は、無名新人作家からベテラン作家までの幅広い作家たちによって発表されたで作品、その中で審査員による評価が最も高い作品に贈られるます。テーマは作品全体にエンターテイメント性があり、誰でも楽しむことができる作品である大衆文学です。
受賞者には正賞として懐中時計と、副賞に100万円が授与されます。年に2回の選考が行われており、受賞作品は文芸雑誌の「オール讀物」に掲載されます。対象となる作家の幅が非常に広いため、受賞した作品はあらゆる候補から選ばれた傑作であると言えます。
松本清張賞は文芸春秋社が運営する文学賞で、各年4月に選考が行われたのち受賞作はオール読物6月号誌上で発表されます。6月の贈呈式では受賞者には正賞として時計、副賞として500万円が授与され、受賞作が文藝春秋から単行本として刊行されます。
第1回から第5回までは短編のみの募集でしたが、第6回からは長篇作品を募集しています。当初は「広義の推理小説又は、歴史・時代小説」と比較的対象の少ない文学賞でしたが、第11回以降からは「ジャンルを問わぬ良質の長篇エンターテインメント小説」を対象とした文学賞になっております。
歴史小説、時代小説を得意とする葉室麟にふさわしい文学賞であるといえるこの松本清張賞を、彼は2007年に受賞しています。受賞作はNHK総合テレビの木曜時代劇にてドラマとして放送されました。
歴史文学賞は1976年から2007年まで毎年開催されていた文学賞で、運営は歴史読本という雑誌の発行元である歴史図書専門出版社の新人物往来社が行っていました。現在は中経出版に吸収合併されています。
後に直木賞を受賞することになる葉室麟や杉本章子のデビューや宮部みゆきが広く注目されるきっかけとなったことで注目されたこの賞ですが、2008年度の募集が中止となり、リニューアルして再開予定になっています。
賞の名前にもなっている通り、「歴史小説」について書かれた小説のみが対象となった賞であり、このことからも葉室麟の作品がいかに優れた歴史小説であったかをうかがうことができます。
葉室麟の作品は歴史に関する作品が多く、ページ数に大きな差があります。普段から小説を読むか否かで読みやすさが変わります。後述のランキングでは、作品と併せてページ数を紹介していますので購入の参考にしてみてください。
葉室麟の作品中でも特にページ数の短いものは287ページと非常に短く、通勤や通学、お仕事の休憩時間などの隙間時間に読み読み終えることができるため、あまりまとまった時間の取れない方にお勧めします。
文字数が少なくても、歴史をテーマにした作品は作中の出来事や人物に関連した情報を調べる楽しみもあり、それらすべてを含めると一つの作品で多くの時間を楽しむことができます。また、短い小説は短時間で読み切ることができるため、より多くの作品に触れることができます。
普段小説をあまり読まない方は、ページ数の少ないものを手探りでも良いのでゆっくりと楽しむことをおすすめします。
吉村昭の作品中でも特にページ数の多いものは、656ページと膨大で、特に短いもと比べると約2.5倍です。
ストーリーのボリュームが大きいため、対象となる大衆文学としての魅力がたくさん詰まっており、一つの作品にどっぷりと浸かることができます。また長期的に読み続けることができるので、読むの速い方も満足できるでしょう。
反面、作品中の展開が目まぐるしく変わったり、登場人物の把握が困難であったりする作品も一定数あり、読み終えるまでに頓挫してしまう可能性があります。普段は他ジャンルの小説を読むが吉村昭の大衆文学に挑戦してみたい、という方には良い足掛かりになるでしょう。
小説をあまり読まない方でもご存知かと思いますが、文庫本の帯や背表紙に数100字程度のあらすじが書いてあります。このあらすじは小説選びの重要な要素の一つであると言えます。
あらすじには、作者や編集者によって小説の導入や大まかなストーリーの解説が書いてあるため、作品選びに困ったときはあらすじを見ることで自分の好みで興味がわく内容か、といった判断が可能です。
ネットショップにおいてもこのあらすじは役立ちます。商品ページにおける商品説明や概要といった情報にそのままあらすじが載せてあることがほとんどなので、ぜひ参考にしてください。
ジャンルを問わず文庫本のほとんどには最後にあとがきが書かれています。このあとがきは、作者による解説や、作品に対しての意気込みや関係者への感謝が書かれていることが多いです。
あとがきには主に作者の心情が書かれていることが多いため、あとがきから作者が伝えたいこと、意識していたこと、作品を書こうと思った心情をうかがうことができ、魅力的な作品選びの重要な要素の一つになります。
このあとがきから興味がわく作品を選ぶことをおすすめしますが、あとがきは文庫のページの一部であり、作品の一部でもあります。そのため、立ち読みに該当することもあるので注意しましょう。
蛍草
家族を守る幕末の母
※公開時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので商品販売サイトでご確認ください。
主人公の菜々は、藩士の父親がいわれのない罪で切腹し、さらに16歳の時に母が病気で亡くなってしまったため、城下にある武家の一族である風早家に奉公に行くようになりました。風草家は主人の市之進とその妻の佐知、4歳の正助と3歳のとよの4人家族で、とても暖かい家族でした。
そんなある日、妻の佐知が病により他界、主人の市之進はとある容疑にて島流しに。残された正助ととよを託された菜々は、自分のような苦労はさせまいと正助ととよのために奮闘します。
登場人物たちははじめこそ菜々に冷たいですが、菜々のひ前向きな姿勢に心を打たれて、菜々に力を貸すようになります。ひたむきな菜々に勇気づけられ、読者に活力を与えるような作品です。
- ページ数
- 376
- 文学賞
- なし
いのちなりけり (文春文庫)
すれ違う想い
※公開時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので商品販売サイトでご確認ください。
主人公の雨宮蔵人は小城藩の重臣で、武術の名家である天源寺刑部の入り婿となります。しかし、婚姻の儀式の夜刑部の娘の咲弥から夫婦になる前に、「これこそ自身の心だと思われる和歌を教えてほしい」と頼まれるが蔵人は答えられず、その歌に出会うまでは、寝所をともにすることができないと宣言されるところから物語は始まります。
後に離れ離れとなってしまった雨宮蔵人と咲弥は、一つの和歌をめぐり命をかけた再会を果たしますが、幕府と朝廷が絡んだ巨大な陰謀に気が付き、大きな渦に巻き込まれてしまいます。
この小説は和歌や儒学といった江戸の学術をふんだんに物語に取り入れており、より没入感が楽しめる歴史小説になっています。また、第140回直木賞の候補作品に選ばれています。
- ページ数
- 294
- 文学賞
- 直木賞候補
散り椿
妻の遺言の秘密
※公開時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので商品販売サイトでご確認ください。
亡き妻、篠の遺言に書かれていた、実家の庭にある椿が散る様子を見に行ってほしいという願いをかなえるため、関りを立っていた故郷に帰ってきた新兵衛が本作の主人公です。
実家で暮らす篠の妹である里美の夫は切腹して亡くなっており、その息子である藤吾は亡き父親と母のために出世しようと誠実に暮らしていました。そんな藤吾は、突然現れた伯父の新兵衛が過去に藩に追われていたことを知っており、自分の出世に影響がないかと不安になります。
新兵衛の過去や男女関係などの経て、人生におけるたくさんの障害を痛感しつつも、夫婦、友情、家族という関係を再認識することができ、大切な人への感謝を伝えたくなるような一冊です。
- ページ数
- 422
- 文学賞
- なし
花や散るらん (文春文庫)
妻への一途な思い
※公開時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので商品販売サイトでご確認ください。
雨宮蔵人と咲弥は香也という一人娘を得て鞍馬の山裾で村人達に慕われて暮らしていたが、将軍綱吉の叙任のために上京してきた吉良上野介と関わったことで、幕府と朝廷の暗闘に巻き込まれてしまいます。
そして二人は良き相棒である片腕の僧、清厳とともに江戸におもむきますが、赤穂・浅野家の吉良邸討ち入りを目の当たりにする事となり、さらなる困難が彼らを襲います。
「何度生まれ変わろうとも、いのちに代えて咲弥を守る」と言う蔵人の妻へのいちずな思いが魅力的な作品です。葉室麟の他作品の続編ではありますが、本作品だけで話が独立しているため十分に楽しむことができます。
- ページ数
- 308
- 文学賞
- 直木賞候補
月神
北海道へ監獄を作りに向かう男と妻
※公開時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので商品販売サイトでご確認ください。
前半の“月の章”の舞台は福岡藩です。藩士の月形洗蔵は、攘夷派の中心人物として福岡藩を盛り上げるため奔走します。しかし、藩主である黒田長溥は西洋文化に否定的で東洋の蘭学を中心とした藩づくりを考えていたため、洗蔵は葛藤します。
後半の“神の章”は税藩から数年後の北海道が舞台です。かねてから洗蔵に憧れていた月形潔が主人公で、政府の役員のひとりとして北海道に監獄を建設するために北海道へ訪れますが、苦難の日々が続きます。
前後半を通して、われわれ日本の先人たちの偉大な活躍のおかげで今の日本が成り立っていることを痛感することができ、まさに歴史小説と言える作品です。
- ページ数
- 287
- 文学賞
- なし
おもかげ橋 (幻冬舎時代小説文庫)
藩を二分する政争に再び巻き込まれる男たち
※公開時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので商品販売サイトでご確認ください。
一流の剣術師でありながら道場は過疎状態で弟子もいないため、月に数回の出稽古だけで生計を立てている弥と、武士の身を捨てて飛脚屋を営む喜平次が物語の中心人物です。この二人は、16年前に共に藩の不正を追及したことで脱藩し、江戸に流れて来たという経歴があります。
故郷とは縁を切った弥と喜平次でしたが、行方不明になった夫を捜すために江戸へ出てきた萩乃の護衛を引き受けることになり、ふたりは再び故郷の藩の政争へと巻き込まれてゆきます。
一見すると堅苦しい歴史小説に見えますが、弥と喜平次と荻乃の恋愛関係も描かれており、女性の読者も読みやすい、一種の恋愛小説という一面もあります。歴史小説に挑戦したい女性の方にも特におすすめの作品です。
- ページ数
- 366
- 文学賞
- なし
陽炎の門
武士の挫折と再生
※公開時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので商品販売サイトでご確認ください。
藩の執政に就いた37歳の桐谷主水は、下級武士の家に生まれたうえに両親を早くに亡くし孤独に生きてきたため、苦労が実った就任の日に意気揚々と城へ勤めに向いますが、すぐに違和感を覚えます。
執政職の人々に主水の出世を祝うどころか冷たい視線を送られわけのわからぬまま家に帰ると、17歳年下の妻、由布も朝とは違って暗い表情をしています。悲しい過去を乗り越えた夫婦ですが、二人の関係が崩壊するような出来事が起こっていたのでした。
時代小説でありながらもミステリーの要素も強い作品のため、時代小説に抵抗があった方でも楽しめる作品であると言えます。上の人間とその取り巻きに仲間が一切いない状況でも公平に生きようとする姿は、今の日本においても重要な人物像であると言えます。
- ページ数
- 384
- 文学賞
- なし
影ぞ恋しき
家族と共との絆
※公開時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので商品販売サイトでご確認ください。
京の鞍馬山にて雨宮蔵人は妻の咲弥と娘の香也と静かに暮らしていましたが、ある日、吉良左兵衛の家人である冬木清四郎が訪れます。諏訪藩に軟て禁されている左兵衛はが重病で、吉良と血のつながりがある香也に会いたいと申し出ます。
のちに左兵衛は亡くなってしまいますが、清四郎は左兵衛の無念を晴らすために軟禁の原因となった不公平な裁きをした地である江戸へ向かいます。そして香也の許嫁となった清四郎に協力すべく蔵人江戸へ向かい、陰謀へ巻き込まれてゆきます。
深い夫婦愛と絆、そして将軍家の政争を史実に忠実に書いた一冊です。敵をも味方につける雨宮の男気溢れる行動に皆が魅了されていく様が非常に読み応えがあります。
- ページ数
- 580
- 文学賞
- なし
春雷 (祥伝社文庫)
鬼の生きざまと正義
※公開時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので商品販売サイトでご確認ください。
羽根藩の藩主である三浦兼清は、15年前に藩の新しい主君として初めてのお国入りをしました。 その際に乗っていた馬が暴れだし、あわやという場面で 偶々通りすがりの浪人がこの窮地を救います。 この浪人こそが、本作品の主人公である多聞隼人です。
しかし、殿の馬に蹴られたことが原因一人娘の弥々が亡くなり、さらには身ごもっていた妻女の楓は流産してしまうというアクシデントがありましたが、殿の威厳のために穏便に済ませてほしいと頼まれ、妻の制止を振り切り藩の仕官になることを決意し、やがて世直しのための鬼となっていきます。
人々から鬼と恐れられながらも藩政改革を断行し、ついに家老にのし上がった多聞隼人には、誰にも明かされることのない思いがありました。正義のあり方を問う葉室麟の傑作です。
- ページ数
- 375
- 文学賞
- なし
蜩ノ記 (祥伝社文庫)
日本人の心を震わす傑作時代小説
※公開時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので商品販売サイトでご確認ください。
豊後の国を治める羽根藩に使える主人公、檀野庄三郎が本作の主人公で、向山村という場所に捉えられている藩士の戸田秋谷の見張り役を任されたところか物語は動き出します。
秋谷は罪により3年後に切腹によって自死することが決まっていました。それまでに彼の一族の家系図をを書き上げるよう命じられていましたが、3年後までの間に逃げ出さないため見張り役が必要でした。
秋谷とともに過ごし秋谷が無実であることを確信し、秋谷の切腹を回避できるように奔走します。第146回の直木賞受賞作品で、2014年に本作品を原作とした映画が公開されており、迫りくる死のためにできることを尽くす彼らからは、まさに武士の姿を見ることができます。
- ページ数
- 416
- 文学賞
- 直木賞
葉室麟のおすすめ商品比較一覧表
商品画像 | ||||||||||
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メーカー |
双葉社
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文藝春秋
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KADOKAWA/角川書店
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文藝春秋
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角川春樹事務所
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幻冬舎
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講談社
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文藝春秋
|
祥伝社
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祥伝社
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商品名 |
蛍草
|
いのちなりけり (文春文庫)
|
散り椿
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花や散るらん (文春文庫)
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月神
|
おもかげ橋 (幻冬舎時代小説文庫)
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陽炎の門
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影ぞ恋しき
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春雷 (祥伝社文庫)
|
蜩ノ記 (祥伝社文庫)
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説明 |
家族を守る幕末の母
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すれ違う想い
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妻の遺言の秘密
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妻への一途な思い
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北海道へ監獄を作りに向かう男と妻
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藩を二分する政争に再び巻き込まれる男たち
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武士の挫折と再生
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家族と共との絆
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鬼の生きざまと正義
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日本人の心を震わす傑作時代小説
|
価格 | 730円 (税込) | 648円 (税込) | 734円 (税込) | 637円 (税込) | 352円 (税込) | 702円 (税込) | 778円 (税込) | 2,106円 (税込) | 756円 (税込) | 741円 (税込) |
リンク | ||||||||||
ページ数 |
376
|
294
|
422
|
308
|
287
|
366
|
384
|
580
|
375
|
416
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文学賞 |
なし
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直木賞候補
|
なし
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直木賞候補
|
なし
|
なし
|
なし
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なし
|
なし
|
直木賞
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いかがでしたか。葉室麟の歴小説は史実が忠実に再現されているだけでなく、ミステリーや恋愛といった現代人にとっても魅力的な要素が詰まっています。ぜひ今回のランキングを参考に、葉室麟の霊小説に挑戦してみてはいかがでしょうか。
葉室麟の作品中でも特にページ数の多いものは、580ページと膨大で、特に短いもと比べると約1.5倍です。
作品中の展開が目まぐるしく変わったり、登場人物の把握が困難であったりする作品も一定数あり、読み終えるまでに頓挫してしまう可能性があります。普段は他ジャンルの小説を読むが葉室麟の歴史小説に挑戦してみたい、という方には良い足掛かりになるでしょう。
ストーリーのボリュームが大きいため、歴史小説としての魅力がたくさん詰まっており、一つの作品だけでも非常に読みごたえがあります。さらに長期間読み続けることができるので、小説を読み慣れている方でも満足できるでしょう。