アーネスト・ヘミングウェイの作品おすすめ15選｜代表作・短編小説・名作も

ノーベル賞作家アーネスト・ヘミングウェイの書籍はアメリカの古典文学史として深く刻まれています。スペイン内戦・第一次世界大戦への出兵などその男らしい生き様から紡がれる優れた文体が特徴です。代表作として『老人と海』『武器よさらば』があります。

ヘミングウェイの屈強な男性像、「マッチョ」はアメリカ文化に広く受け入れられました。しかし実は猫が大好きであったり、些細な感情の揺れなどにとても気遣う面があったりと、そのギャップも愛される一つの要因といえます。

「ヘミングウェイを知っているが作品を読んでいない」「ヘミングウェイに興味はあるがどの作品を読むか悩んでいる」そんな方へ向けて今回はヘミングウェイのおすすめの名作をご紹介します。読みやすい短編小説も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ヘミングウェイ自身も、作品の為に戦地へと足を運んだ経験が詰め込まれているので、言わずとしれた名作として、ファンの間でも人気のジャンルです。

題材としてはスペインの内戦や、第一次世界大戦での取材経験をテーマにして執筆された作品が多いです。

実際の経験をもとにして書かれているので、読み進めるごとに戦争の生々しさを現代でも体験する事ができます。その中で、戦争によって翻弄される運命の恋人や人々の人生が、時に切なく、悲しく表現されています。

青春時代の経験をもとにしたジャンルも非常におすすめです。実際に自身が経験した、思春期特有の悩みや恋愛、作品を創り上げる際の悩みなど、さまざまな感情を詰め込んでいる作品が多いです。

青春をテーマにした作品は、長編・短編共にたくさん輩出されています。揺れ動く感情や戦争によって変化していく価値観など、繊細な感情が手に取るように感じられます。

青春をテーマとしたジャンルを好まれる方は、ぜひヘミングウェイの青春ものをご覧になってみてください。

恋愛もののジャンルは数多くありますが、ヘミングウェイの恋愛作品は、心がギュッと締め付けられるような悲しく、切ない恋愛ものが多いです。

恋人や夫婦など、作品に登場する人物の関係性はさまざまであり、その内容も作品によって大きく異なります。

ヘミングウェイ作品で題材にされる事が多い戦争での切ない恋愛や、性を題材とした作品など、一般的な恋愛作品だと思って読むと、いい意味で裏切られるものが多いので、いつもとは違う雰囲気の恋愛小説を読んでみたい方におすすめです。

ヘミングウェイは、ハードボイルドな作品を多く輩出していますが、実は釣り好きの一面も持っていました。彼の作品には釣り作品も多く、自然をテーマにしている小説もあります。

自然の驚異に対するヘミングウェイの考え方が詰まった作品が多く、厳しく優しい自然との共演は、読む者を引き込んでくれる魅力がたっぷり詰まっています。

また魚との格闘シーンも独特で非常に面白く、釣り好きであるなら共感できるシーンも多いはずです。

ヘミングウェイを語るうえで戦争抜きでは語れません。スペイン内戦、第一次世界大戦、第二次世界大戦に参加しその影響を特に強く受けているのが初期作品と言えます。

実は、彼は徴兵されて戦争に赴いたのではなく自らの意思で戦争に参加しました。19歳で傷病兵の輸送兵として活躍したものの爆発に巻き込まれ重傷を負った際に、戦地での傷をいやした看護婦との恋の経験も小説に組み込まれていたりします。

非常に勇ましく屈強なイメージは戦争体験後から生まれた文体ですが、同時にまだ成熟していない心の微妙なエッセンスも感じられる作風です。どこか無理して猪突猛進を繰り返す幼さも感じられたら、ヘミングウェイのファンといえるかもしれません。

第二次世界大戦に北米新聞連盟の特派員として参加したヘミングウェイですが、彼の勇敢さはどこまでも続きます。同時に彼に潜む攻撃性もまた増長していきます。戦時中の体験が勇敢さと攻撃性の二つをもった表現が特に多かったのが中期です。

また、この時期はメジャーではなかったスペイン闘牛を取りあげ文章にし、世界に闘牛を広めたのはヘミングウェイと言われています。狩りを好んでいたヘミングウェイならではの体験が詰まっている時期とも言えます。

晩年はショットガンによる自殺で自らの人生に終止符をうったヘミングウェイですが、彼の家系は自殺が多く躁鬱が遺伝していたのではないかと考えられます。後期の小説を読んでいくとヘミングウェイの心境も少し理解できるような気がします。

『老人と海』を発表し、ノーベル文学賞を受賞するも、飛行機事故による後遺症のため出席を辞退した経験も作品に影響しています。また生活の拠点をキューバに写しカストロとも仲が良かったので、FBIに追われている妄想にとりつかれてしまいます。

さまざまな困難に打ち勝ったヘミングウェイの晩年は必ずしもいいとは言えませんが、その間に紡がれた作品は文学にハードボイルドの完成形を与えました。

通勤・通学の合間に軽く読めるような作品を好む方や、じっくりと腰を落ち着けて重厚なヘミングウェイのハードボイルド作品を楽しみたい方へ、ここではヘミングウェイ作品を短編・長編とわけてご紹介していきます。

『老人と海』『陽はまた昇る』など長編小説は、映画にもなっているため知っているかたはかなり多いはずです。ただヘミングウェイの短編作品はなかなか知っているかたは少ない方と思います。

短編小説はヘミングウェイの思想や、センシティブな心の動きを追える作品が多いので、まずはヘミングウェイの入門編として、初心者でもサクッと読める短編作品がおすすめです。

どの時期にも短編小説を発表しているので、時代の好みがあればそれに合わせるのもいいです。頑健な男性像からふと漏れる哀愁を感じれます。とくにおすすめなのが「父と子」です。こちらの作品は、ヘミングウェイの父親への複雑な心境が読み取れます。ヘミングウェイをより理解したい方はぜひ手に取ってみてください。

アメリカ文学、世界の文学に影響を与えたヘミングウェイの長編作品は、どれも文章の質は最高といえます。ただ文庫本でも手に取ってみると結構な量なので、躊躇されるかたも多いはずです。

ヘミングウェイの文章は非常にシンプルで、読み始めると止まらなくなるような魅力が特徴的です。その力強いキャラクターにあこがれを持つ方も多くいます。

もし長編小説が苦手な方でも、ヘミングウェイの小説は意外とすんなり読み進める事が出来ます。独特なハードボイルドの世界観をじっくり楽しみたい方は、長編作品がおすすめです。

その時々の気分でどんな小説を選ぶか迷う場面はありますよね。ヘミングウェイの小説は重く・血なまぐさく・男らしい印象がありますが、作品によって変わってきます。ただどの作品も一級品ですので、まず手に取った作品を読むのがおすすめです。

ヘミングウェイの作品は、戦争をモチーフにしているものが多いので、どちらかと言えば明るい雰囲気よりも、人間の複雑な感情を表現している作品が多いです。

特に回顧録や短編小説だと比較的暗めなものが多いので、明るい雰囲気の小説を好む方は長編をおすすめします。

長編の中でも前期・中期あたりの作品が適しているといえます。まだ読んでないかたも上記のような基準で選んでいただければ、ヘミングウェイ作品に親しめます。

晩年を自殺で幕引きしたヘミングウェイの後期作品は、はすこし暗めの作品が多かったりします。一方で初期の短編作品は、まだ成熟していないヘミングウェイが行間で感じられたり、キューバやパリでの生活が及ぼした影響や、人生観の考察が語られたりします。

もし、暗めの雰囲気を好む方であれば短編小説をおすすめします。暗いといってもヘミングウェイのハードボイルドな長編と比較すれば、ジメジメしたものではありません。

後期作品は大人の静寂を感じれた作品が多いです。ヘミングウェイの長編では語られない、繊細な感情や思索について読めます。

いきなり小説を読むのは抵抗がある方は、ビジュアル化された作品から入るのもおすすめです。ここではビジュアル化された代表的なヘミングウェイ作品を紹介します。ぜひ参考にしてください。

• 誰がために鐘は鳴る：ゲイリー・クーパーとイングリット・バーグマンが主演した映画。宝塚歌劇団でミュージカル化もされている。
• 老人と海：複数回映画化されている。また日本では漫画にもリメイク済。
• 武器よさらば：第一次世界大戦のイタリアが舞台。1932年・1957年にアメリカで映画化。

ヘミングウェイと言えば、アメリカを代表するマッチョイズムの持ち主です。男性的な強さやたくましさを美徳と考えたその思考は、活動的なヘミングウェイそのもの、と言えます。

アウトドアやボクシング、趣味の釣りなどを楽しむ反面、非戦闘員として戦地に赴いた経験も、作品中に生かされています。その後、アメリカへ帰国し当時の経験を作品とした事で、作家としての成功も収めます。

ただ、その後は順風万風とは行かない後期を送ったそうです。航空機事故に遭い後遺症に悩まされるようになった辺りから、精神的にも不安定な状況が続き、やがて自らの手で人生を終えてしまいます。

1. “If something is wrong, fix it. But train yourself not to worry, worry fixes nothing.”

   「何かが間違っているのなら、正しなさい。だが、くよくよしないよう自己を鍛錬しなさい。くよくよしたところで、何も解決はできないのだから…」

2. “Courage is grace under pressure.”

   「勇気とは、窮地における気品だ」

3. “Always do sober what you said you’d do drunk. That will teach you to keep your mouth shut.”

   「酔っているときに言ったことは、素面のときにこそ実行してみるといい。そうすれば、黙っているほうがいいってことに気づくだろう」

ヘミングウェイの作品は英語を学習する際にもおすすめです。一文一文が短いため、初心者でも理解しやすく勉強になります。洋書で英語を学ぶと、よりナチュラルな表現も学べるため、挑戦してみてください。

ノーベル賞作家アーネストヘミングウェイの魅力を紹介してきました。知っているが、実際に手に取って読んでないかたは多いと思います。この機会にヘミングウェイの作品を通して読書にふけるのもいいかもしれません。