乙一のおすすめ作品13選｜映像化作品から中田永一名義の作品までご紹介

最大の特徴は、死体となってしまった「わたし」という特殊な視点で物語が進行するという点でしょう。16歳という年齢のキャッチーさとは関係なく、物語の面白さと少しの滑稽さ、乙一の淡々とした表現がすでに確立されていて読み物として非常に面白いので、まだ読んでない人にはおすすめしたい長編です。

人間の暗黒面に深い関心を持つという共通点を持つ、森野夜と僕の高校生2人の物語。彼らが行動を共にする中で、猟奇的な事件に遭遇していくミステリー作品です。黒乙一の代表作とも言われる作品で、テーマに違わずダークな描写が多い作品となっています。短編から長編まで収録されているので、読みごたえもしっかりあります。

表紙の不気味さで誤解する人もいるかもしれませんが、比較的長編の白乙一に代表されるミステリー作品。目の見えない一人暮らしの女性ミチルのもとに、逃亡犯のアキヒロが逃げ込んでくることで、二人の奇妙な生活が始まります。孤独という共通点を持った2人の共同生活の行く末がどうなるか、ハラハラしながら読み進めてみてください。

「Calling You」「失はれる物語」「傷」をはじめとする、白乙一の傑作集とも言われる短編集です。乙一らしい淡々とした描写でありながら、切なさと優しさにあふれた、心を揺さぶる物語に触れたいという人には、ぴったりの作品です。コミカルなものまで収録されています。長編と異なり1冊で複数の作風に触れられます。

母からの虐待にあう姉妹「カザリとヨーコ」、謎の場所に監禁された姉弟の命がけの脱出劇「SEVEN ROOMS」に代表される、やや刺激的で読後感も含めてなかなかハードなものが多い傾向にあります。一話一話がしっかり重厚にできていて、オムニバス形式の短編集でありながら、長編を読んだような満足感があります。

長編ではなく、集英社の運営サイト「オツイチ小説再生工場」から生まれた短編集です。読者が書いたもののボツにした小説を、乙一がリメイクし再生するという商業企画で、元作品がどのように生かされたかなども含めて非常に面白い1冊です。乙一がリメイクに当たってどのように元作品と向き合ったかが語られる後書きも必見です。

事故により左目を失った少女が、移植手術を受けたことをきっかけに、移植された目の持ち主の記憶を見るようになるという物語。表紙の絵の通りカラスが眼球を咥えていたりと、ホラーファンタジーなテイストではありますが、残虐描写やホラーの色合いはそんなに強くありません。一風変わったミステリー作品を読みたいときにおすすめです。

先生から目を付けられ、いじめを受けるようになってしまった小学5年生のマサオの前に、ある時から肌の青い「アオ」が現れるようになります。いじめの冷酷な表現は、黒乙一らしさ全開で、やや辛く感じる人もいるかもしれませんが、最後まで読んだ時の読後感は、白乙一らしいものになっています。映画化もされていますが、ぜひ原作に触れてほしい作品です。

講談社ミステリーランドから出版されたジュブナイル向け作品。テーマが「死」という乙一らしさはそのままに、怪盗・探偵・財宝など、ちいさいころにドキドキワクワクできる物語となっていて、子供にはもちろん、大人になってから子供のころの感覚を思い出しながら読むのにもピッタリな1冊です。

タイトルの少し硬い字面から長編を思い浮かべるかもしれませんが、脱力系のエッセイとなっています。もとはブログなどに記したものをまとめており、その内容は、読めば虚実入り混じっているだろうことは容易に想像のつきます。肩の力を抜いて、少しクスっと楽しみたいときにおすすめの1冊です。

4年ぶりの長編で、映画原作となった作品。親友の変死を目撃した女子大生と、同じように弟を亡くした青年は、自分たちの共通点である怪談話にたどり着きます。ホラーのお約束である伝播する呪いを、乙一らしい切り口と描写力で綴っています。多少グロい描写はありますが、奇妙な説得力からどんどん読み進められます。

夏、使われなくなった飛行場で花火をすると現れるという幽霊に会うために、ネットで知り合った3人が織りなす青春ファンタジー作品です。俊英・loundrawによる初アニメーション映画の脚本を務めた乙一によるノベライズ版です。アニメーション版では語られなかった部分なども掘り下げられているので、映画のファンにもおすすめです。

17歳の時に死んだはずの幼馴染の一ノ瀬ユウナが、彼女のお気に入りの線香花火を灯すと姿を現すという切なさを覚える物語。乙一が脚本・ノベライズを担当した「サマーゴースト」の姉妹作品という位置づけのオリジナル作品です。「花火と幽霊」というモチーフで描かれた、青春ファンタジー作品となっています。