水彩紙のおすすめ14選｜初心者向けや安いもの・コットマンも！レビューもチェック

水彩画の仕上がりに最も影響するのは「水彩紙」だと言われています。水彩紙はどれも同じような見た目ですが、紙目・厚み・素材などに違いがあり、使用感や作品の仕上がりに影響する重要な要素です。

水彩紙は表現したいイメージや技法に合わせて選ぶのが大切です。水彩画がなかなか上達しないとお悩みの方は、水彩紙が適切でないのかもしれません。そこで今回は、初心者の方にもわかりやすく「水彩紙の選び方」を解説します。

また、ウォーターフォードなどの初心者さんにおすすめの水彩紙や、安い価格でコスパよしのコットマン・使用者のレビュー・水彩紙の適切な保管方法などもご紹介しますので、ぜひご参照ください。

表現したいものや技法によってベストな水彩紙は異なります。そのため理想の水彩紙に出会うには、いくつかの水彩紙を実際に試して、思い描いた通りの表現がしやすい好みの紙を見つけ出すのが一番確実な方法です。紙の種類による特徴・特性を理解した上で良さそうな紙を試して比較してみましょう。

水彩紙がふやける原因は、絵具に含まれている水分がしみ込むからです。とくに薄い紙だと、すぐにふやけてしまいます。ふやけるのを避けたい方は、400g/m2くらいの厚い水彩紙を選んでください。300g/m2はふやける場合が多いですので、ご注意ください。

荒目はラフとも呼ばれ、水彩紙の中で最も凹凸のある紙目です。凹凸のくぼみに絵の具が留まりやすいので発色が良く、色に奥行きを感じられます。また、見る角度や光の当たり具合によって作品の表情が変化するのも面白いところです。

凹凸を利用して、絵の具をかすれさせるなどダイナミックな表現をしたい場合に向いています。また、絵の具が乾く速度が緩やかなので、グラデーションの調整をしやすい点もメリットです。

中目はコールドプレスとも呼ばれ、凹凸具合は荒目と細目の間に位置します。適度な表面の粗さによって均一に色を乗せやすく、初心者にも扱いやすい水彩紙です。

凹凸がそこまで激しくないので繊細な表現や「にじみ」「ぼかし」も取り入れやすく、幅広い技法に対応できるメリットがあります。また乾く速度もゆっくりめなので、「拭き取り」の技法にも対応可能。水彩画の技法の練習用としてもおすすめの水彩紙です。

細目（別名ホットプレス）は表面の凹凸が少なく、きめ細やかで光沢感が感じられます。すべすべとした表面は筆の滑りがスムーズで、繊細な表現をしたいときにおすすめです。

他のタイプと比べると水の吸い込みが早いので扱いにはコツがいりますが、最初に全面を水で湿らせておくと色ムラを軽減しやすくなります。また不透明水彩を用いて、マットな質感の力強い作品を描くのも可能です。

理想の表現をするには、技法に適した紙の厚みを選ぶのが大切です。厚口・薄口などの表記はメーカーによって基準が異なるため、1㎡あたりの重量を示した "グラム数" を目安にするとブレがありません。

水彩紙の重量は約150～300gが一般的です。重ね塗りをする・水をたっぷり使用する場合は厚め、ほぼ重ね塗りしない場合は軽めを選択するのがおすすめです。また、厚みがあるほど長期保存に向いています。

作品を印刷したい場合は、ハガキの厚みと同じ200g/平方メートルまでの紙を選びましょう。ただし、コピー用紙以外は使えないプリンターであれば水彩紙は使用不可なので、注意してください。

コットンパルプの採取と精製には手間がかかるため、値段はやや高めですが、描きやすさや幅広い技法に対応できるなど、質の高さは金額に見合うものがあります。

筆で擦っても表面が毛羽立ちにくく、保水性・発色性が高い上質な素材です。また、水分を多く含んでも波打ちにくい耐久性があるので、特に重ね塗りやぼかしの技法に向いています。

木材パルプは、針葉樹のチップを原材料にして作られます。手に入りやすい原料なので比較的リーズナブルな価格設定です。紙の繊維が長く耐久性も高いため、ノートや印刷用紙の素材としても重宝されています。

使用感としては、水弾きがよく速乾性に優れるので修正しやすいのがメリット。ただし、絵の具の定着が弱いので重ね塗りはおすすめできません。

近年では「針葉樹の伐採を抑える」環境保護の目的で、一年草であるケナフ・麻・竹などを原料とした非木材パルプが積極的に販売されるようになりました。

やや荒めな質感ではありますが、木材パルプの繊維に似ています。また、使用感も木材パルプの水彩紙とあまり差を感じないものが多く使いやすい印象です。

紙の色味は、作品の雰囲気に大きく影響します。水彩紙本来の ＂白さ＂を利用して光を表現したい場合は、できる限り白さの度合いが高いものを選択しましょう。

また、原料が天然素材の水彩紙は「ホワイト」の表記であっても、薄っすら黄味がかっている場合がほとんどです。微妙な色味にこだわるなら、実物を見て判断してください。

スケッチブックタイプは何枚もの水彩紙がリングで綴じてあり、1冊にまとまっているので持ち運びに便利です。外出先でのスケッチや技法の練習にも最適で、初心者からプロにまで幅広く愛用されています。

ただし、水を含ませすぎると次のページに水気が移って紙がよれてしまう場合があるので注意しましょう。また、色移りを防ぐために、しっかりと乾燥させてからブックを閉じる必要があります。

カットタイプは1枚ずつ独立した水彩紙を、10～30枚程度にまとめて販売されている場合が多いです。切り離す手間がない分、水を含ませると伸縮して波打ちやすいので、水張りをしてから使用しましょう。

商品によって、質感の違う水彩紙がセットで販売されているものもあり、お試し用にもおすすめです。また水張りについては後述しますので、ぜひ手順などをご参考ください。

パットタイプは、水彩紙の一辺がのり付けで綴じられたものを指します。スケッチブックタイプと同じく1冊にまとまっているので、旅行先などに持ち運ぶにもおすすめです。

簡単に1枚ずつをキレイに切り離せるので、用途に合わせて綴じたままか、1枚ずつバラして使うかを選択できるのが便利なところで、練習用だけでなく作品用としても使えます。描いてすぐに切り離してしまえば、乾燥を待たなくてもいいのもメリットです。

ブロックタイプは10～20枚ほどの水彩紙の四方を、ロウもしくは糊で固定してブロック状にしたものです。四方が強く固定されているため水張りがいらないうえ、水分を多く含んでも波打ちにくくなっています。

また、描いている最中に紙が浮いたり動いたりしないので、精密画などの繊細な作業にもおすすめです。作品の完成後や1枚ずつ使いたいときは、ペーパーナイフではがして使用します。

ボードタイプは、厚紙や木製ボードにあらかじめ水彩紙が貼り付けられています。自分で水張りをする手間がかからないのが一番のメリットです。

作品を描きたい時、すぐに制作に取りかかれて、完成した作品をそのまま飾っても見栄えします。ただし、水彩紙の種類は限られるので、好みの紙質がないと妥協が必要な場合もあります。

ロールタイプは規定のサイズにカットされていない、大きな水彩紙をロール状に巻いて販売されています。10メートル巻きなどの大容量がお手頃な価格で手に入り、はがきサイズから大判サイズまで、好みのサイズにカスタマイズできるのが魅力です。

また大きな作品を描く以外に、大量に絵を描きたい場合にも、コスパよく作品制作ができます。

水彩紙のサイズは、四つ切（392×542mm）・八つ切（392×271mm）・全紙サイズ（788×1091mm）などの一般的なものの他に、「F」といったサイズ表記もあります。サイズ感は以下の表をご参考ください。数字が大きくなるほどサイズも大きくなります。

日本は湿度が高く、デリケートな水彩紙にとってはいい環境とは言えません。しかし、日本で製造されている水彩紙は、日本の気候を考慮して作られており品質管理が徹底されています。どの水彩紙を買うべきか悩んでいる方は、ぜひ国産の良質な水彩紙にも注目してください。

以下に挙げた特徴は、メイドイン・ジャパンの水彩紙におけるメリットです。国内生産ならではの品質の良さや安定感は、特に、長期的に水彩紙を使用したい方には安心感があります。バランスが取れた扱いやすい水彩紙が多いので、初心者の方にもおすすめです。

【日本製水彩紙の特徴】

• 日本の気候を考慮した優れた保存性
• ロットブレの少ない優れた品質管理
• 描きやすさと価格のバランス◎

maruman(マルマン)は老舗の大手文具メーカーとして有名です。特にスケッチブックは1920年の創業時から製造されており、オレンジと緑の表紙を一度は見た経験があるのではないでしょうか？

幼稚園・小学校での授業でスケッチブックが採用されるなど、信用の厚さがうかがえます。1000円以下でも気軽に購入できる、リーズナブルな価格帯も魅力です。

Muse(ミューズ)は、はじめて国産の水彩紙を開発した会社です。その後に発売した「ランプライト」は、これまた国内初のコットン100％の水彩紙として注目を集めました。

さらに、Museの名を有名にした「WATOSON(ワトソン)」シリーズは、今でも揺るがない人気があります。ミューズの水彩紙は修正しやすいなど扱いやすいので初心者にもおすすめ。価格も1000∼3000円ほどとお手頃です。

絵の具などの画材でも有名なホルベインですが、スケッチブックや紙のラインナップも豊富です。オンラインショップでは、紙の種類ごとに水彩画を描く様子が動画で紹介されており、実際の使用感をリアルに想像できます。

また画材の取り扱いも豊富なので、これから水彩画をはじめたい場合に一式そろえるにも便利です。

国内だけでなく、海外にも使いやすい水彩紙を出しているブランド・メーカーはたくさんあります。ここではその中でもおすすめの、ウインザー&ニュートン・ポールルーベンスについて紹介します。

ウインザー&ニュートンはイギリス・ロンドンの画材メーカーです。科学者と芸術家が創立したメーカーで、科学に基づく耐久性と透明度の高さを備えた絵具などで人気を集めています。

ウインザー&ニュートンの「コットマン水彩紙」はリーズナブルな価格と、初心者からプロまで使える品質の高さが特徴です。リング・パッド・ポストカードなどさまざまなタイプがありサイズも豊富で、使いやすいものを選べます。

ポールルーベンスは中国の画材メーカーで、設立は2008年と比較的新しいものの、個性的な商品で注目されています。ポール・ルーベンスの水彩紙はコットン100%でラメ入りなのが特徴的です。

ラメが作品をキラキラと輝かせながらも色塗りの邪魔にはならず、紙質に癖が少ないため初心者にも使いやすいです。かわいらしいピンク色のパッケージも、絵描きの心をくすぐります。

水彩紙を目で見て比べたい方は、大型の画材専門店で購入するのがおすすめです。詳しい店員さんも常駐している場合が多いので、相談しながら選べます。

近くの店舗で手軽に調達したい場合は、東急ハンズやダイソーなどの100均でも水彩紙を取り扱っています。ただし種類はかなり限定的です。豊富なラインナップを比較したいなら、Amazon・楽天などの通販でレビューを参考にしながら選ぶのもおすすめです。

作品制作をする前に『水張り』しておくと、より快適に描けます。めんどくさいと省きがちな工程ですが、描いている最中に紙がたわむなどの変形を防ぐために必要です。手順は以下をご参考ください。ちなみにボードタイプなど、あらかじめ紙が固定されているなら、水張りがいらない場合があります。

1. 水張り用のテープを用紙サイズに合わせてカットしておく
2. 水彩紙（ボードより大きめサイズ）の裏面にハケで水を塗る
3. 濡れた面をボードに当て、乾いたハケで中央から外に空気を抜きながら貼る
4. 周囲を水張りテープで固定し、乾燥させる

水彩紙の表面には、絵具がすぐに紙に吸い込まれて着色されるのを防ぐために「にじみ止め」が塗られています。しかし、長期保存によって湿気を吸ってしまうと、にじみ止めが紙の奥に吸い込まれ効果がなくなる現象が起きます。これが、水彩紙の風邪ひき現象です。

水彩紙が風邪をひくと、塗り広げる前に絵の具が吸い込まれてしまい、塗りにくくムラが目立ちます。さらに発色も悪くなるのでイメージ通りの仕上がりになりません。

水彩紙を保管するときは、湿気を排除するのを徹底しましょう。おすすめはジップロックに乾燥材を一緒に入れての保管です。入りきらない大きなサイズなら、衣類収納袋もしくは布団用の保存袋も使えます。ポイントは水気を通さないよう密閉です。

また、日光に当たる場所に置くと、水彩紙が日焼けして変色を起こします。くれぐれも日陰で形状を維持して保管するようにしてください。

未然に「風邪ひき現象」を防ぐには、短期間で水彩紙を使い切るのが一番です。長期保存をしないようにしましょう。日本はもともと湿気が多く、水彩紙の長期保存には不向きな環境です。

それに加えて四季があるので、季節の変わり目には気温の変化により、密閉環境で保管していても結露などで湿気が発生する可能性があります。なるべく水彩紙はシーズンをまたいで使用しないのがおすすめです。

試すと分かる使用感の違いは、水彩画の魅力のひとつです。また同じ技法を用いても、水彩紙の性質によって作品の表情は大きく変化します。ぜひ、気になった水彩紙を試して、お好みの描き心地を見つけてください。