融雪剤のおすすめ10選｜ホームセンターで買える？錆びない？代用品も

雪の多い北国では、安全に車で走行したり歩行者が歩いたりできるよう、道路に融雪剤を撒く機会が多いです。融雪剤は、道路に撒くだけで路面に積もった雪を溶かしやすくするだけではなく、凍結防止効果も期待できます。

融雪剤はホームセンターで購入できるほか、100円ショップの「ダイソー」でもコンパクトサイズのものが販売されています。玄関先といった少しのスペースに使用できるのが魅力です。しかし、融雪剤の効果により思わぬ被害が起こる場合もあります。

そこで今回は、融雪剤が雪を溶かす仕組みや融雪剤の選び方、おすすめ製品10選に加えて、自宅でできる簡易融雪剤の作り方を紹介します。冬に備えて、融雪剤について詳しい情報を身につけてください。

積もった雪は自然に溶けていくのに時間がかかり、溶けたとしても気温が低い夜間に凍ってしまうこともあります。では、なぜ融雪剤は撒くだけで雪を溶かせるのか気になりますよね。まずは、融雪剤の仕組みから解説します。

水が凍ったり雪になったりする温度である「凝固点」は0度ですが、塩水の凝固点は水よりも低いです。また、融雪剤には主に塩分が使用されており、中でも塩化カルシウムは水と反応すると化学反応を起こして発熱する性質を持ちます。

つまり、雪に撒かれた融雪剤が化学反応によって発熱するため雪を溶かしています。さらに、融雪剤の塩分が混じって塩水になると凝固点が下がり、溶けた雪が凍りにくくなります。

撒くだけで雪を溶かして凍結防止も期待できる融雪剤ですが、メリットだけではなくデメリットがあります。デメリットの原因は、融雪剤の主成分である塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどに含まれる塩分です。

融雪剤の塩分が車に付着すると、錆びの原因になります。また、塩分は除草効果があるとされているため、花壇や樹木の周囲に撒くと雑草だけではなく花や樹木にまで塩害による悪影響が及ぶ恐れがあります。

塩化ナトリウムは、食塩にも入っている融雪剤で最もメジャーな成分です。化学反応を起こさないので溶けるまで時間がかかりますが、撒いた後の持続時間が長いのが特徴です。溶けた雪の凍結を防ぐ効果もあるため、凍結防止剤としても使用されています。ただし、塩分が含まれているので植物や樹木の周囲への散布はおすすめできません。

融雪剤の成分としても最もよく使用されているのが、塩化カルシウムです。最大で凝固点が約マイナス50度と低い特徴を持っており、先述のように化学反応で溶かした雪の凝固点を下げる効果を持ちます。

塩化カルシウムは発熱効果によりスピーディーに雪を溶かせるため即効性が高く、雪の多い地域や気温が低い地域での使用に適しています。人体への影響を心配される方もいるかもしれませんが、一般的な使用方法ならば問題ありません。

しかし動物は中毒症状が出る場合があるため、雪道の散歩では融雪剤を食べたり舐めたりしないよう注意してください。

塩化カルシウムと同様、塩化マグネシウムも化学反応で雪を溶かす性質を持っています。塩化カルシウムよりも凝固点が低めで雪を溶かすスピードが遅いですが、塩害による植物への影響が少ないのがメリットです。

また、塩化カルシウムは素手で触ると発熱して、やけどや手荒れの原因になる場合がありますが、塩化マグネシウムは比較的人体にも優しいので、肌が弱い人にもおすすめです。

酢酸マグネシウムは塩化カルシウムの融雪剤より1.5～2倍高い値段ですが、塩化カルシウムと違い塩害がありません。土壌改良剤にも含まれているため比較的環境に優しいのが特徴です。植物が枯れたり、金属が腐食する危険性がなくコンクリートにも安心して使用できます。

酢酸カルシウムは化学薬品・食品添加物にも使用されています。酢酸カルシウムも酢酸マグネシウムと同じで塩害を抑えた環境に優しい融雪剤です。凝固点降下の作用によって雪を溶かします。食材としては廃棄になるホタテを原料にして作られた製品もありエコなのも魅力です。

尿素は金属を腐食させない性質のため、空港の滑走路の融雪剤として使用している所があります。また微生物によって分解されるため植物・農作物・家庭菜園の近くにも使用可能です。ただし塩化カルシウムのような有塩の融雪剤より、速効性は劣ります。またアンモニア臭を放つため、使用する際は周囲への配慮が必要です。

これまでの融雪剤は水が氷になる温度を下げて雪を解かす仕組みでしたが、カーボンブラックは細かな炭素の微粒子により雪を着色し、太陽の熱を吸収させて雪を溶かします。他の融雪剤とは全く手法の異なる画期的な融雪剤です。

ただし太陽の光がない所では効果がないため夜間に使用できません。また昼でも太陽が出ていないと効果が発揮できません。塩害がなく植物などにも影響がないため安心して使えますが雪が解けた後は、使用した場所が黒くなってしまうのも考慮してください。

無塩タイプの融雪剤も販売されています。おすすめ商品を紹介するので、参考にしてください。

• ロードクリーンUREA（無塩凍結防止剤）：環境に配慮されている商品。尿素が主成分
• 凍結防止剤 融雪くん（無塩・凍結防止剤）：即効性・持続性に優れている

前述のように、融雪剤には塩分をはじめとしたさまざまな成分が使用されています。スピーディーに雪を溶かすなら塩化カルシウムがおすすめですが、塩害が発生する可能性もあります。また、肌が弱い人は塩化カルシウムで肌を痛める場合があるため、塩化マグネシウムや塩分を含まない酢酸マグネシウムを選ぶのがおすすめです。

融雪剤には、粒状の固形タイプと液体タイプの2種類の形状があります。細かな粒状の固形タイプは、広い範囲に撒きやすいのが特徴です。液体タイプは固形タイプよりもピンポイントの範囲内で均一に撒きやすく、すぐに雪を溶かせるメリットがあります。

固形タイプはコストパフォーマンスに優れていますが、開封後は固まりやすいため一度で使い切る必要があるのがデメリットです。

融雪剤を使用する場所によっては、適さない融雪剤もあります。特に塩分を含む融雪剤を使用する際は、植物や樹木が生えている場所やその周囲に撒くと塩害によって枯れる恐れがあります。植物の周りに撒く融雪剤は、塩分を含まないものを選びましょう。

また、車も塩害によって錆びや故障を引き起こすケースがあるため、駐車場の周囲に撒く融雪剤も塩分を含まないものを選ぶのがおすすめです。

車で走行する路面のような、できるだけ路面凍結を防ぎたい場所には持続性があるものがおすすめです。長時間雪を溶かしながら、溶けた雪の凍結防止効果もあると便利です。塩化ナトリウムの融雪剤は効果が持続する時間が長いので、持続時間を重視するなら塩化ナトリウムを主成分とした融雪剤を使用しましょう。

ここまで紹介してきたように、市販の融雪剤は塩化ナトリウムなど塩分が含まれる成分でできています。そのため、「食卓やキッチンにある食塩でも雪が溶けるのでは？」と考える人もいるのではないですか。

実際に、雪に食塩を振りかけても凝固点は下がります。また、凍結防止として雪が降る前に塩をふりかけると、簡易的な融雪剤や凍結防止剤として機能する場合があります。しかし、食塩はあくまでも食用に加工された塩で粒の大きさも融雪剤より小さいため、大きな効果は期待できません。

家庭用の除湿剤や乾燥剤には白い粒状のものが入っていますが、実はこれらの中身は融雪剤と同じ塩化カルシウムです。そのため、除湿剤や乾燥剤の中身を融雪剤代わりに雪や氷の上に散布しても、融雪剤と同様の効果が期待できます。

ただし、すべての除湿剤や乾燥剤の成分が融雪剤として使用できるわけではなく、乾燥剤に使用されるケースが多いシリカゲルには融雪効果がないので注意しましょう。

「雪は水やお湯をかければ一気に溶かせるのではないか？」と思われがちですが、これは避けるべきです。お湯をかけて溶けた雪は気温が下がった状態で凍結しやすくなり、雪が積もった状態よりもさらに滑りやすくなります。

道路上で溶けた雪が凍ると歩行者や車にとって危険なアイスバーンとなり、転倒やスリップ事故の原因となる恐れがあります。水やお湯で雪を溶かすのは絶対に止めましょう。

融雪剤が積もった雪の上に撒いて効果を発揮するのに対して、凍結防止剤は雪が降る前に撒いておくのが効果的です。融雪剤は即効性があり、凍結防止剤は持続性があります。それぞれ撒くタイミングは違いますが、併用すると上からも下からも雪を解かせるので効果はあるでしょう。

雪国では毎冬の悩みとなる積雪ですが、融雪剤を使えば雪を効率良く溶かせ、事前に撒いておけば凍結予防にもなります。成分によって融雪剤の効果は異なるので、それぞれの効果を知って融雪剤を上手に使いましょう。