日本酒おすすめ20選｜辛口・甘口や初心者向けもご紹介

日本全国で作られている日本酒は、各地で育まれたお米やお水によって作られる縄文時代～弥生時代から起源があるといわれている歴史のあるお酒です。最近では世界的に和食が人気になっている影響もあり、国内だけでなく海外からも注目が高まっています。

今では全国に1,500以上の酒蔵があるといわれ、それぞれ酒蔵の杜氏によって受け継がれてきた伝統技術によって、現在もさまざまな日本酒が製造され続けています。幅広い温度帯で風味の変化を楽しむことができる世界でも珍しい酒でもあり、四季の変化を楽しむ日本の文化がよく反映されています。

この記事では、そんな日本酒の魅力やプレゼントにもおすすめな銘柄をご紹介します。種類が多くて自分好みの商品がわからないと悩んでいる方もぜひ参考にしてみてください。

日本酒とは日本国内産の米・米麹と水を原料として、それらを日本国内で発酵させて醸造するお酒のことです。そのため、海外産の米を使用した清酒や日本以外で製造された清酒が国内に輸入されたとしても「日本酒」と表示することはできません。

とにかく種類が多く、食事とのペアリングでは素材の味をうまく引き出してくれる繊細で奥行きのある味わいが特徴です。麦や大麦から作られるビールやウイスキーと違い、日本酒は体を温めるため、お酒で体を冷やしたくない人にとっても人気です。

純米酒は米・米麹・水のみで造られた日本酒です。純粋に米のみを原料にしているため、米本来の旨味や深いコクを強く感じることができます。気候や料理に合わせて、幅広い温度帯で楽しむことができます。

さらに精米歩合の要件がない「純米酒」と、精米歩合60%以下または特別な製造方法を要件とする「特別純米酒」の2種類に分類ができます。「特別純米酒」の特別な製造方法とは酒造の裁量に任されているため、酒造の特徴が出やすくなっています。ラベルに表示に注目して、その酒造がどのようなことに力を入れているのかを見てお酒選びをするのも楽しみ方の1つです。

吟醸酒と本醸造酒は、米・米麹・水の他に「醸造アルコール」を添加している日本酒です。精米歩合は60％以下のものを吟醸酒、70％以下ものを本醸造酒とよばれています。

吟醸酒は吟醸造りという製法で、よりよく磨いたお米を、通常よりも低い温度で長時間発酵させるため、フルーティで華やかな香りが特徴です。対して本醸造酒は、香りは控えめでスッキリとした辛口のお酒が多い傾向があります。

純米吟醸酒と純米大吟醸酒の違いは、原料に用いる米の精米歩合にあります。純米吟醸酒に用いる米は精米歩合60％以下とされています。精米歩合60％とは玄米の40％を削った状態の事で、全体の60%が残っている米になります。

純米大吟醸酒は精米歩合50％以下の米を使用します。純米吟醸酒は、すっきりとした味わいと華やかな香りのバランスが魅力です。淡麗でキレのある味わいをより引き立てる、10～15℃程に冷やした冷酒がおすすめです。

日本酒は「日本酒度」として甘口や辛口などの味わいを表記しています。日本酒度が高くになるほど辛口な味わいになっていき、低くなるほどに甘口となります。辛口のお酒は、爽快感のある喉越しが特徴的です。一方の甘口は口当たりがいいため、初めての方にも比較的飲みやすいと言われています。

そんな辛口と甘口の中間に位置するのが旨口です。辛口の深いコクと喉越し、甘口の芳醇さを兼ね備えた旨口は、甘さは控えめでありながら旨味成分が多いのが魅力です。

お米のふくよかな香りがする純米酒には、しっかりとした味付けの料理を合わせるのがおすすめです。煮物や肉料理・魚の煮付け・味の濃い珍味など、白米に合うおかずは純米酒とも相性がいいです。洋食では、バターを使った料理ともよく合います。

純米酒はそのままで味わって飲んでも十分に濃厚な味わいのものが多いので、その風味に負けないくらい味付けがしっかりとした食事と合わせるとバランスがいいでしょう。

フルーティな広がる香りと軽快で爽やかな味わいが特徴の吟醸酒には、素材の味を活かしたあっさりとした味付けの料理がよく合います。刺身・カルパッチョ・天ぷらなどの食事にぴったりです。

風味は純米酒とかなり似ていますが、よりさっぱりとした味わいになるので濃い味の料理との相性はあまり良くありません。食前・食後酒や食事のお口直しとしてお飲みいただくのもおすすめです。

清涼感がある味わいが特徴の本醸造酒は香りが控え目で端麗辛口なものが多く、純米酒や吟醸酒に比べてアルコールによる刺激や渋みを感じやすいです。あっさりとした軽めの料理にも濃厚なこってりとした料理にも合わせることができ、さまざまな種類の料理の味を引き立てます。

冷奴・天ぷら・カルパチョ・ロールキャベツなどとお試しください。3種類のなかでは一番安価に手に入るので、晩酌で日本酒をよく飲む人におすすめです。

いくつもある酒米の中で、代表的な種類といえば山田錦（やまだにしき）です。日本で最も多く栽培されていますが、その中でも兵庫県で栽培されているものが最高品質だといわれています。

大粒で粘度と強度が高い品種のため精米しやすく、雑味のもとになるたんぱく質が少ない特徴があります。長期低温発酵の吟醸造りに向いているので、大吟醸酒によく使用されています。雑味が少なく香り高い日本酒に仕上がる山田錦は、品評会に出す日本酒の原料としても多くの蔵元に人気があります。

五百万石（ごひゃくまんごく）は、山田錦と肩を並べる代表的な酒米です。米どころとして有名な新潟の気候風土に合うよう開発されました。北陸地方が主な生産地となっていますが、作付面積は全国でもトップクラスです。

五百万石から造られる日本酒は、淡麗辛口な味わいに仕上がります。米の粒が小さいので、高精米にはあまり向いていません。芳醇な山田錦と比べてキレががよく、スッキリとしてクセが少ないので飲みやすいものが多いです。

美山錦（みやまにしき）は長野を代表する酒米です。たかね錦という酒米に放射線処理を行った時に、突然変異として発見された品種と言われています。前述の山田錦や五百万石に次いで、全国生産量第3位となっている人気の酒米です

寒さに強く、東北地方の酒蔵で使われることが多いです。硬さがあるので醸造するときに溶けにくく、シンプルな仕上がりになります。美山錦から造られる日本酒は、スッキリとして軽めな味わいと繊細でフルーティーな香りが特徴です。

雄町（おまち）は江戸時代から続く伝統のある酒米で、山田錦や五百万石のルーツともいわれています。原生種ゆえに、栽培が難しい品種です。一時は絶える寸前になっていましたが、地酒人気の影響により岡山県で再び栽培されるようになりました。

雄町から造られた日本酒は、力強い濃醇な米の旨味とコクを持つのが特徴です。熟成を経て秋上がりする傾向があるので、造り手の技術によって多様な味わいが楽しめるのも魅力のひとつです。

日本酒のアルコール度数は15度前後が平均値です。また、醸造が終わった日本酒をそのまま製品にした「原酒」のアルコール度数はおよそ20度となっています。

アルコール度数が高いものは、お酒本来の味をよりストレートに感じることができます。しかし、最近ではアルコール度数を低く造ることでより飲みやすくしたものも人気があります。はじめて日本酒を飲む方は、アルコール度数が15度以下のものから試してみるのがおすすめです。

日本酒度は、プラスになるほど糖分が少ない辛口、マイナスになるほど糖分が多い甘口と表現されています。日本酒の甘辛さはアルコール度数や酸度とのバランスによっても変わるため、日本酒度は好みのお酒を探す際の目安として取り入れるのがいいかと思います。

まだ日本酒を飲み慣れていない方には、甘口のものからお試しいただくのがおすすめです。日本酒度では、-1.5から-3.4のやや甘口か-3.5から -5.9の甘口のものを探してみてください。

精米歩合は、日本酒の香りに大きく影響を与えています。基本的に精米度合いが40%などの低い数値のものは、華やかでさっぱりした香りに仕上がります。反対に米の外側にある脂質やたんぱく質などをあえて残したものは、原料由来のコクのある芳醇な香りを感じやすくなります。

そのため、初心者の方には精米歩合の数値が低いすっきりとした味わいの日本酒がおすすめです。中でも「純米吟醸酒」や「純米大吟醸酒」を選ぶと飲みやすいでしょう。

「冷や」は常温の状態で飲むことを指します。名前が似ているので冷酒と勘違いしやすいのですが、冷やは一般的に冷蔵していない室温程度の20℃ほどがバランスがいいとされています。日本酒本来の旨味が一番感じられる飲み方だといわれています。

純米酒の上品な味を楽しみたい時には「冷や」で飲むのがおすすめです。これを冷蔵庫に入れて冷やしていくと、冷たくなるほどに香りが立ちすっきりとした味わいへと変化していきます。

「涼冷え（すずひえ）」は、15℃で味わう飲み方を指します。「冷や」より少し冷たく、冷蔵庫で冷やてからしばらく常温に戻し、手に持ってひんやりと冷たさを感じる程度が飲み頃の目安です。穏やかな香りと、とろみのある味わいを楽しめるのが魅力です。

香りが立つので、淡麗タイプや、お米の風味を感じられる大吟醸酒・吟醸酒といった薫酒向きの温度です。特に吟醸酒のフルーティーな香りは温めると消えやすいため、涼冷えが好まれる場合が多いです。

冷酒のなかでは温度が高めなので、酒器はガラス製以外に陶器や金属も使えます。口が広いラッパ型の酒器なら、香りをより楽しめるのでおすすめです。

「花冷え」は10度で飲む場合の名称です。花さえ冷たくなる温度という表現で、人によっては非常に冷たく感じられる温度です。香りだけでなく少しのキレや味のまとまりを楽しみたいお酒に適しています。

冷蔵庫のドアポケット部分の温度が大体6～9℃なので、ポケットから出してグラスにゆっくりと注いでいるうちにちょうどいい花冷えの温度になります。そのまま少し時間をおき、常温に近づけると「冷や」になります。 

「雪冷え」は冷酒のなかでもっとも冷たい温度帯の名称です。冷蔵庫で瓶に結露ができるほどにキンキンに冷やし、5℃前後が基準となっています。個性の強いお酒を味わうときや、強い風味が苦手な方にはおすすめの飲み方です。

雪冷えにすることで、スッキリとした清涼感とシャープな味わいになります。とても飲みやすくなるのですが、アルコール度数は変わらないため飲む量やペースには配慮が必要です。

「日向燗（ひなたかん）」30℃の日本酒を指します。日本酒の香りが立ってくる30～35℃の絶妙な温度で、なめらかな味わいが特徴です。体温よりは低いため、口に含んだ時は冷たくも熱くもなく飲みやすく、日本酒の香りを楽しみたい方から人気の飲み方です。飲み口がなめらかなので、日本酒に不慣れな方にもおすすめです。

名前のとおり、人肌に近い35℃で飲む飲み方です。手で触れるとほんのりあたたかく感じる程度の温度です。 日本酒はあたためると口当たりがまろやかになり、香りがふわりと立ちます。

米や麹のいい香りがやわらかく楽しめる一方で、アルコールの刺激も強くなるため、アルコールのツンとした香りも感じやすくなります。吟醸香が特徴の吟醸酒や、雑味の多い普通酒は温めない方も多いです。

「ぬる燗」は40℃で飲む場合の名称です。やけどするほど熱くはありませんが、じわっと指先があたたかく感じる程の温度です。各温度帯のなかでも日本酒の香りがもっとも感じられる温度といわれ、日本酒の香りを楽しみたいときには「ぬる燗」で注文するのがおすすめです。

純米酒・吟醸酒・本醸造酒などで米や麹の風味を感じたい時にお試しください。新酒の時期にも楽しめる飲み方です。お酒をあたためるときには、徳利のそそぎ口にラップをすると香りのが飛ぶのを防ぐことが出来ます。

「上燗（じょうかん）」は、45℃で飲む方法です。徳利から注ぐと湯気が出るほどしっかり温めますが、飲めないほどの熱さではありません。ぬる燗との差はたった5℃ですが、香りからやわらかさが少なくなり、やや引き締まった強い香りを感じられるのが特徴です。上燗で飲みたいなら、吟醸酒よりも本醸造酒や普通酒がおすすめです。

「熱燗」は50℃程度の飲み方の名称です。さわると熱く感じ、湯気がはっきりと見える温度です。香りは一層華やかに・味わいはまろやかになるので、キレのある辛口の日本酒酒におすすめの飲み方です。

特に純米酒や本醸造酒は熱燗で飲むのに適しています。温度をあげるのに時間がかかると香りやアルコール成分が飛んでしまうので、沸騰したお湯で3分ほどでさっと湯煎するように徳利をつけるのがコツです。

約55℃が基準となる熱めの飲み方が「とびきり燗」です。日本酒の飲み方としては熱めで、徳利を持った時にかなり熱く感じられる温度です。香りはまろやかなものからシャープになり、辛口さが増してくるのが特徴です。

お湯をはった鍋で徳利を温めるのが一般的ですが、電子レンジで温めても作れます。電子レンジの場合は温度が急激に上がるので、徳利の口にラップをしてから行いましょう。また、徳利の上下で温まり方にむらができるので、10～20秒ほどあたためてから取り出して混ぜ、再度温めるのを繰り返してください。

日本酒は原料や製法にこだわった奥深いお酒です。膨大な種類と幅広い飲み方がありますが、楽しみ方は十人十色。まずは自分の好みを知っていき、日本酒の美味しさを存分に味わってみてください。